8 ネイたちの状況 ~~羊たちを守れ!~~
開いて頂いてありがとうございます。
今日は、短い目の話を2話投稿しました。
これは2話目です。
テウデリクがスライムの群れから逃げているそのころ。
ミーレは幼児たちを指揮して羊の群れをまとめ、村の方に向かった。
しばらくして、ネイと黒千代が傷ついた羊を連れて追いついてきた。黒千代は、口にテウデリクの片手斧を咥えていた。
「黒千代! テウ様はどうなされたの?」
ミーレは黒千代から片手斧を受け取りながら聞いた。
ネイが、
「あいつは、スライムを引きつけて逆側に逃げた!俺たちに逃げろって!!」
ミーレは少し考えた。
「分かったわ。テウ様がそうおっしゃったのなら、それが一番良い考えなのでしょう。黒千代! 私を館まで乗せて行ってくれる?」
普段ミーレは黒千代には乗らない。主君の乗犬であるし、ここだけの話、ミーレは黒千代に乗るには少し重いのだ。
黒千代も非常事態だと分かっているから、すぐにミーレに背を向ける。ミーレは薙刀をネイに投げ渡し、
「助けを呼んでくる!」と言い捨てて走り出した。
(間に合って! テウ様にもしものことがあったら、私は切腹する!)
ミーレは堅く決意した。
ネイたちは、残された。
「さあ、早く村に戻ろう。」ネイは子供たちに励ますように声を掛けた。
「うん。。。」子供たちも躊躇いながらも歩き始める。
「にいちゃん、怪我はない?」
ガーリナが質問をする。
「ああ、俺は大丈夫だ。」ネイは歯を食いしばりながら答えた。
遅れていたり、離れていた羊を追い立ててきた幼児が帰って来た。肩で息をしている。3歳児のヴェルナーだ。
「あいつ、大丈夫かなあ。」
ヴェルナーは心配そうにネイに話し掛けた。
ヴェルナーは、この中で一番頭が良い。
ネイも、ヴェルナーと相談して物事を決めることが多い。
面魂の割には、ガーリナも頭がいいのだが、ヴェルナーの頭の良さとは、ちょっと質が違うのだ。
「無事だといいけど・・・。」ヴェルナーが続ける。
泥玉を投げるのは、半分いたずらだったのだが、別にテウデリクが憎いわけでもない。魔物に仲間が殺された悔しさをどこかにぶつけたかっただけだ。同年代の幼児が危険な目に合っているのに、心配でないはずはない。
「ああ。村に帰ったら、すぐに大人に話して助けに行って貰うようにしよう。」
ネイは答え、足を速めた。
しかしその必要はなかった。
しばらく歩いて、村に近づいたら、先日コボルトを退治した老人が騎馬で通りかかったのだ。
「お前ら! テウデリク様と遊んでた子らか。怪我はないか!」
大声で話しかけられた。
ネイは、代表して、
「あ・・・はい。」と答えた。やはりこの片足の老人は怖い。ついつい萎縮してしまう。
「家に帰って、怪我がないか確かめて貰え。今日は外に出るな。」
そういって、ゴームルは走り去って行った。老人とはいえ、武人であった過去を滲ませ、庶民には恐ろしい気迫があった。しかし、この老人、なぜ腰に木の板を挟んでいるのだろうか。下手な木工細工をしていたかのように、あちこちに削り跡がついていた。
ご一読ありがとうございました。
明日からは通常ペースに戻ると思います。




