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17 ねえやの登場 ~~幼女だけどなっ!~~

投稿したつもりになっていたのに、投稿できていませんでした。

前回の猫に犯される信長というのが、まずかったのだろうかと心配していたところでした。面白いですよねっ!

幼女の名は、ミーレと言った。幼女の母は、レイナというらしい。

僕が赤ちゃんだから、僕に伝わっているとは思っていないだろうが、主に仕える者として、一応形だけでも挨拶をしようという趣旨らしい。

どうやら、クロティルドが雇ったみたいだ。


レイナは、処理に慣れているようで、僕のお尻から背中に掛けて飛び散った、白い液体を拭いてくれた。特にコメントがなかった点に配慮とやさしさを感じたぞ。大人の対応として、何もなかったように済ませてくれるようだ。


クロティルドも部屋に戻ってきた。


「奥様!テウ様のお尻に、錆猫の白いおしっこが、


ぶ ち ま け ら れ て た の ! ! 」


ミーレは、幼女だ。幼女だから、仕方がないんだ。分かっているのだが、ここは流して欲しかったところだ。如何に僕が赤ちゃんとはいえ、尊厳というものがある。


そういえば家康は、敵に追い立てられて恐怖の余り脱糞したそうだが、あれは、恥ずかしい話を逆手にとって、なんか、流石三河殿(家康のことな。)じゃ、みたいな雰囲気の話にすり替えられている。

この前会ったとき、「いやいや、それがしもあのときは、恐怖の余り脱糞いたしましてな。」と、穏やかな笑みとともに、静かに語るものだから、

「そうか、脱糞したか。どのようにして脱糞したのかね。」と何度もしつこく聞いてやった。そうすると、だんだん不快そうな顔になっていた。やっぱりみっともないものはみっともないのだ。本人だって、本当は、恥ずかしいことだったとわかっているのだ。

そういう意味で、雄猫に犯されるのと、脱糞するのとでは、どちらが恥ずかしいのだろうか。いや、あれは未遂だった。僕は最後まで死守したのだから、やはり家康の脱糞事件の方が恥ずかしいだろう。なので、僕は何ら恥ずることなく、堂々としていることになる。


クロティルドは大人の対応をした。

「あらそうなの。不思議ねえ。」といいつつ、侍女のレイナから、小さな声で事情を聞いている。


二人で、大人の話をして、くつくつ笑っている。おい笑うな。


そう思いながら見ていると、クロティルドがこっちに気付いた。


「あら、テウデリク、レイナとミーレが珍しいの?」

まあ、赤ちゃんがじっと見ていたらそう思うよな。


「レイナは、私のお付きになって貰う予定なの。ミーレは、あなたの遊び相手よ。」


なるほど。まあ、予想どおりではある。


「もちろん、お父さんが帰って来てから、きちんと相談して決めるんだけどね。ちょうど良かったわ。下の村の人は使ったら駄目だってロゴに言われていたんだけど、旅の途中の人だったら、人手を食わないものね。」


おおっ、なかなか良い判断ではないか。城に人間が増えると、働く人数が減る。そうすると不経済だから、城の要員は、できるだけ浮いている人間をあてるか、他領の人間を使うのが良い。もちろん有能かどうかとか、信用できるかどうかという問題はあるのだが、僕のみたところ、敵城に間者を入れるような高等戦略を使える人間は、このガリアの地にはいないだろう。


それから、クロティルドたちは、ミーレも含めて、女の話を始めた。俺の世話の要領とか、その他の仕事、レイナたちの住む部屋や食事の仕方などを説明し始めている。


おっと。


すっかり忘れてしまうところだった。

もう一度自分の手を見る。

赤い光は消えていた。

仮説を立てる。


赤い光は、力の譲渡と発揮の際に見ることができるのではないか。もっとも、誰にでも見えるというものではないようだ。つまり、僕には才能がある。

ある、ということにしておこう。これはあくまでも仮説だし。


そして、力は、血をかぶったり、「白い・・・(言いたくない)」を身体にかけたりすることで、譲渡することができる。

魔法は、継続時間が限られている魔法、そして瞬間的な魔法とがあるのではないか。


テウトニ族が何百年も前に使っていた戦場での魔法は、継続時間が限られている魔法。

この前からサビが使っている跳躍は、瞬間的な魔法。


そして、僕は、錆猫から力を譲渡された。今なら使えるだろうか。


・・・


赤ちゃんな僕だから、跳躍してみることができないから、試しようがないことに気付いた。


では、ハイハイをしてみようではないか。


両手両足に力をこめてみる。


これは自慢ではないのだが、僕は、そういう身のこなし的なものについては、ものすごく勘がいい。大名をしていたころから、礼儀作法だとか、お茶の飲み方とか、もちろん馬の乗り方、弓の引き方など、なんでも一度見たら、かなり正確に再現できる。言葉で説明された場合でも、要点を質問して、おおまかには要領を掴むことができる。

いや、本当にこれ自慢するわけじゃないんだけど、これは子供のころから、僕が、自分でいろんな活動をしてきて、いろんな人の仕事などを仔細に観察してきたからなのだ。いうなれば、才能と努力だな。まあ、自分ではすごいと思っている。


ハイハイの仕方は忘れたが、あんなものは誰にだってできることだ。

やってやろうじゃないか。


僕の身体は、おそらく生後1か月程度の赤ちゃんなので、本当なら四肢に力がついていない。ハイハイどころか寝返りもできないくらいだ。あ、寝返りって、敵に通じることじゃないぞ。寝ている途中に姿勢を変えることだよ。


だが、精神を統一して、水のように鎮める。目を閉じて、身体の奥底に眠る不思議の力の存在を信じる。


前に言ったかな、僕は、妖術とか怪異話とか、本当に大好きなのだ。これは本当に内緒の話なのだが、幼い頃には、修験道に憧れて、那古屋の城の裏の山の滝に打たれたこともあったのだ。滝といっても、子供の身体で屈まないと、打たれることもできないくらいの高さだったけどさ。


そういうわけで、僕は、その手の力の使い方には、ものすごく詳しいんだ。


ああ、いかんな。なんか、今日は、ものすごく自慢モードに入ってしまっている感じがする。ちょっと自重していこう。


もう一度改めて精神を集中する。

心を無にする。

そうっと目を開けると、自分の身体が薄く赤い光を放っているのが見えた。


できた。できたよ。


力をこめて、身体を起こす。腹が布団から浮き上がる。


よしっ!


僕は、手足を立てて四つん這いになり、一歩一歩進み始める。どんどん速く進んでいく。布団から出てしまいそうな、って、っお!


布団だと思っていたが、どうやら箱の中に藁を敷き詰めて、上に布をかぶせてあったようだ。布団の縁は畳ではなく、段差があって、下には木の床がある。クロティルドが、以前、「ベッド」と言っていたことがあって、何のことか分からなかった。あれは、このことだったのか。僕はそれに気が付かず、布団から出てしまった。当然、転げ落ちるはずだったのだが、僕は、そのまま空中を二、三歩、進んだ。妙な感覚だ。何も見えないのに、手のひらや膝が地面についているような感触がする。


その目に見えない土台は、すぐに消えてしまって、僕は落下した。


「うぇーん!!」


泣くのはやむを得ない。赤ちゃんなので、これは生理現象だ。恥ずかしくもなんともない。いずれにせよ、泣きながら、にやりと笑う。魔法だ。野蛮魔法の初歩を習得したのだ。笑わずにはいられようか。しかも、あのテウトニ族がやっていたような捕虜の血をかぶるという、見るからに嫌な感じの儀式も不要だった。サビにお礼を言わなければならないな。


「うぇーん、うぇーん、ふふふ。ふはっ。はっ、はっ、はははばば。」


わけの分からない声を出してしまった。


クロティルドたちが、慌てて抱き上げて慰めてくれたが、それどころではない。ここ何日か、ずっと頑張ってきたことが、突然できるようになったのだ。これほど機嫌のよいことはなかろう。


この、野蛮魔法というのは、他にどんなことができるのだろうか。

究極の奥義まで極めてやろうと決意しつつ、僕は、さりげなく、つとめてさりげなくクロティルドの胸を触り、おっぱいを要求した。

ちょっとうっかり手が当たってしまっただけなんですよ、おや、ちょうど良いところにおっぱいが。そういうことでしたら、頂きましょうかね、というような流れを頭の中で作っていた。


「ねえ、テウデリク、生後1か月でハイハイするって、ちょっとおかしくない?」

クロティルドが戸惑いながら、乳を出してくれた。俺は黙って飲み始める。


レイナも、

「特に体格がすごい赤ちゃんでもないのに、これは早いですね。きっと立派におなりになりますわ。」

と返しているが、やはり戸惑っている。


まあそうだな。ちょっとやりすぎたか。もっとも、自重しないのが僕の信条だ。とことんまで突き進むつもり。


ご一読ありがとうございました。

ここ数日、全然書く時間が取れていませんが、できるだけ頑張って続きを書きたいと思っております。気長にお読みいただけましたら幸いです。

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