大坪公園
ついた……。
とりあえず辺りを見渡してみると、いかにもサッカー部っぽい服装に、サッカー部っぽい靴、っぽいネックレスをした男が1人ベンチに座ってスマホをいじっている。
まさしく彼がたかしだ。
「たかしー!」
僕は放課後のテンションもあってか普段より数倍馴れ馴れしく大きい声で名前を呼び彼の元へ向かっていった。
あぁ、友達の名前、というか人の名前をこんな大声で呼ぶなんて久しぶりだ……。
「……おぉ、マジで来たんだ!」
「当たり前だろっ」
そう言って僕もベンチに腰をおろした。
「さんきゅ」
たかしは不敵な笑みをうかべながらそう言うと、再びスマホをいじりだした。
その不気味な笑みを僕は見逃さなかった。
……どういう意味の笑顔?
……たんに僕が来てくれたから?
……なにか嫌な予感がする。
いや、それより今一番の問題はたかしとの会話が終わってしまったことだ。
僕が話題をふるべきか? でも、なんと?
今まで全く接点がないのになんと?
冷静に考えると名前を呼んだのも呼ばれたのも今日が初めてじゃないか?
本当に今さらだが、何故僕を誘った? 今、聞いてみるか? いや、なんか聞きづらい。
そういえば、どっかの雑誌にこういうときは天気や気温など100%互いに共感できる話題から会話を始めるべきと、書いてあったような……。
空を見て、肌で気温を感じとる。
……微妙な天気に微妙な気温だ。
たかしはスマホに夢中。
くそっ、どうすればいい……。
「今から、雀高の奴ら10人くらいここにくるけどいい? 皆で練習した方が効率いいしさ」
口を開いたのはたかしの方だった。
ちなみに雀高とは我が朱雀高校の略である。
おそらくさっきからずっとスマホで連絡を取り合っていたのだろう。
「全然いいよー」
勿論、決定権のない僕はこう答えるしかない。
「よかった!」
たかしはまた不敵な笑みをうかべた。




