# 第十五話 期限
昔から、俺はやたら期限を決める。
「今年まで」
「今月まで」
「三カ月以内」
そんな感じで。
◇
理由は単純だった。
終わりが無いと耐えられないからだ。
精神も。
身体も。
もうかなり削れている。
だから、
「ここまで頑張って駄目なら終わり」
と決めないと動けない。
◇
今もそうだ。
〇月まで。
そこで結果が出なければ死のう。
本気で考えている。
別に悲劇ぶってる訳じゃない。
脅しでもない。
ただ、本当に限界が近い。
◇
勘違いしてる人間も多いが。
死にたい奴って、
「死ぬのが好き」
なんじゃない。
生きる理由が消えてるだけだ。
俺もそうだった。
◇
自己肯定感なんて無い。
本当に。
昔からずっと、
「価値が無い」
側だった。
教師にも。
親にも。
周囲にも。
問題児。
危ない奴。
面倒な奴。
そういう扱いだった。
だから今でも、
「自分には価値がある」
なんて全然思えない。
◇
カウンセラーは言う。
「自分を許しましょう」
無理だった。
本当に。
そんな簡単な話じゃない。
俺の中では、
「許す」
以前に、
「壊れた」
が先にある。
しかも、その原因になった連中は普通に生きている。
教師も。
親も。
多分、何も覚えていない。
だから余計に腐る。
◇
最近は特に危ない。
どうでも良くなる時が増えた。
店。
金。
動画。
全部。
急に意味が無くなる。
すると頭の中が極端になる。
ムカつく奴を殺そうか。
俺が死のうか。
それしか残らない。
かなり危ない状態だと思う。
自分でも分かる。
◇
それでも、一応まだ生きている。
動画も上げている。
包丁も研いでいる。
雑貨屋も開けている。
だから完全には終わっていない。
だが正直、かなりギリギリだ。
◇
別に救われたい訳じゃない。
ただ、
「こういう人間が実在している」
と残したいだけだ。
◇
もし更新が止まったら。
死んだか。
捕まったか。
そのどっちかだと思ってくれ。
最近は、それくらいしか考えられない。
◇
店の奥。
静かな夜。
包丁だけが光っている。
昔の俺なら、もう突っ込んでいた気がする。
だが今は違う。
完全に壊れる寸前で、まだ止まっている。
多分。
俺はずっと、
「死にたい」
んじゃない。
「この地獄を終わらせたい」
それだけなんだと思う。




