表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/31

# 第十五話 期限


 昔から、俺はやたら期限を決める。


「今年まで」


「今月まで」


「三カ月以内」


 そんな感じで。


     ◇


 理由は単純だった。


 終わりが無いと耐えられないからだ。


 精神も。


 身体も。


 もうかなり削れている。


 だから、

「ここまで頑張って駄目なら終わり」

 と決めないと動けない。


     ◇


 今もそうだ。


 〇月まで。


 そこで結果が出なければ死のう。


 本気で考えている。


 別に悲劇ぶってる訳じゃない。


 脅しでもない。


 ただ、本当に限界が近い。


     ◇


 勘違いしてる人間も多いが。


 死にたい奴って、

「死ぬのが好き」

 なんじゃない。


 生きる理由が消えてるだけだ。


 俺もそうだった。


     ◇


 自己肯定感なんて無い。


 本当に。


 昔からずっと、

「価値が無い」

 側だった。


 教師にも。


 親にも。


 周囲にも。


 問題児。


 危ない奴。


 面倒な奴。


 そういう扱いだった。


 だから今でも、

「自分には価値がある」

 なんて全然思えない。


     ◇


 カウンセラーは言う。


「自分を許しましょう」


 無理だった。


 本当に。


 そんな簡単な話じゃない。


 俺の中では、

「許す」

 以前に、

「壊れた」

 が先にある。


 しかも、その原因になった連中は普通に生きている。


 教師も。


 親も。


 多分、何も覚えていない。


 だから余計に腐る。


     ◇


 最近は特に危ない。


 どうでも良くなる時が増えた。


 店。


 金。


 動画。


 全部。


 急に意味が無くなる。


 すると頭の中が極端になる。


 ムカつく奴を殺そうか。


 俺が死のうか。


 それしか残らない。


 かなり危ない状態だと思う。


 自分でも分かる。


     ◇


 それでも、一応まだ生きている。


 動画も上げている。


 包丁も研いでいる。


 雑貨屋も開けている。


 だから完全には終わっていない。


 だが正直、かなりギリギリだ。


     ◇


 別に救われたい訳じゃない。


 ただ、

「こういう人間が実在している」

 と残したいだけだ。


     ◇


 もし更新が止まったら。


 死んだか。


 捕まったか。


 そのどっちかだと思ってくれ。


 最近は、それくらいしか考えられない。


     ◇


 店の奥。


 静かな夜。


 包丁だけが光っている。


 昔の俺なら、もう突っ込んでいた気がする。


 だが今は違う。


 完全に壊れる寸前で、まだ止まっている。


 多分。


 俺はずっと、

「死にたい」

 んじゃない。


「この地獄を終わらせたい」


 それだけなんだと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ