13 捜索、開始
一行がそこへたどり着いたのは、日が中天に差し掛かる頃合いだった。
昼前に、とはいかなかったが、遅くもない時間帯だ。
「首尾よくいけば、夕方くらいには村へ戻れそうね」
「と、そうは言っても……」
ハルカの横で、黒猫がそこを覗き込んで困惑を浮かべる。
「何もない広場みたいだけど……?」
最後の木立を抜けたそこは、ここまでの道中もたびたび見かけた枯草の広場だ。つまり、ルリー・ロウズの浸食を受けた土地ということだが。
「ほんとにここで合ってる?」
困惑はアレスクほか村の一行も同様だ。だがハルカは、魔法の地図も確認した上で頷いた。
「ええ、ここで間違いない。ルリー・ロウズの親株は、この広場にある。この広場のどこかに……埋まってるの」
踏み込んでいくハルカに続き、一行は広場に入っていく。改めて見ても、これまでのそれと大きな違いがあるようには見えないが。
それじゃあ、とハルカが皆を振り返る。これから捜索を……と話そうとしたところで、言葉が詰まった。
皆が、こちらを見ている。
十人ほどだ。彼女らは、ハルカの指示を待っている。これから、何をするかを説明しなければならないのだが。
注目。
皆の視線を正面から受けて、口の中が乾上がる。
言葉が出ない。
視界が揺れ、手が震える。一対一ならともかく、こんな大勢の前で話すことは経験がない。慣れていない。魔導院での研究発表は黒猫に影武者をさせていたくらいだ。
「…………?」
唇を引き結んだまま固まってしまったハルカに、アレスクらは首を傾げる。
しばらく固まってから、ハルカは傍らのエカリーにすすっ…と近寄った。
ん? と顔を寄せるエカリーに、ぼそぼそと耳打ちする。
うん、うん、と頷くと、エカリーは皆へ口を開いた。
「えーっと、これから皆でこの広場を掘り返します。探すのは、種? おっきい種です。この猫ちゃんよりちょっと大きいくらい」
ひょいと黒猫を持ち上げてみせる。へえ、とアレスクらは驚きの声を漏らす。
「この広場のどこかに埋まってるんだけど、正確な場所はわからないです。なので、これから皆で探します。深さは、結構深いかも。掘ったら、多分根っこがいっぱい広がってるからそれを辿るのが確実だけど、根っこも深いところにあるから、今回は違う探し方をします」
成程、と一行は頷く。それでいいんだよね? とエカリーはハルカを見た。うん、とハルカは頷く。
それじゃあ、とエカリーは拳をひょいと突き上げ、
「捜索、開始~」




