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人災派遣TRPGリプレイ  作者: 紫電改
第二話:『その声を守るため』
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10/20

第二話:『その声を守るため』02

●ブリーフィング


『サンプロミュージック』に到着した一同。

「CCCのみなさんですね、お待ちしておりました」と、四十歳くらいのスーツ姿の男性が出迎える。


カヤカ:軽く頭を下げます。

チシャ猫:「(ぽふぽふぽふ)チシャなんだにゃー、宜しくだにゃ」(握手求め)

GM:「……は、はじめまして。サンプロミュージックでマネージャーを務めている片山と申します」

チシャ猫:いの一番に礼儀正しく握手を求める猫、やはり常識人は違う。

カヤカ:常識人はぬいぐるみと握手することを考えないと思う。

天美:上司を差し置いて握手しにいくのはマナー違反な気も……。

秀史:「ドーモ」シンプルにオジギ。

GM:「そしてこちらが、」と片山さんが振ると。


「あの、皆様、依頼を引き受けてくださって、ありがとうございますっ!」と勢い良くお辞儀する女性が一人。

「サンプロミュージックの高千穂ひなたと申します。よろしくお願いいたしますっ!」

二十歳前後と思われる、真面目だが快活そうな女性だ。


天美:「こちらこそよろしくお願いします。ご活躍、テレビでいつも拝聴させていただいています」

GM:「あ、ありがとうございますっ!」

秀史:「さすが声優さんだな。元気な声だ」

カヤカ:「この人が声優さんかあ。よろしくお願いします」

天美:えーと、設定によると結構売れてる子なんですよね?

GM:はい。アニメに詳しいPCなら「本物の高千穂ひなただ!」と盛り上がっていただけるのですが(苦笑)。誰もそっち方面に詳しくなかった。

カヤカ:あとで、そう言えば聞いたことある声だなあって思う程度。

チシャ猫:「わーほんものなんだにゃー!すごーい。サインしてもらっていいですかにゃ!」

天美:「猫さん、めっ! お仕事ですよ!」

チシャ猫:(チッ、このぬいぐるみに書いてもらってあとでネットオークションで売る計画がっ)

GM:「あ、はい。ちょっとまってくださいね、今ペンを……うはあ!(どんがらがっしゃーん)」

カヤカ:「あっ!?だ、大丈夫ですか!?」

GM:「すみません、すみません」

チシャ猫:「所謂、ドジっ子属性ってやつなんだにゃ」

天美:「しーっ! 猫さん、しーっ!」

GM:ちなみに来てる服もあんまり垢抜けてない。たぶん街ですれ違っても気づかないんじゃないかって感じだ。

カヤカ:片づけを手伝います。


一同はそのまま、事務所の一角にある小さな応接室に通される。


GM:「……ええと、皆様、お仕事の話よろしいでしょうか?」と片山さんと藤村さん。

秀史:「失礼、お騒がせした。この連中は放っておいて始めさせていただこう」(笑)

天美:愛想よくしておきます(にこにこ)。

チシャ猫:馴れ馴れしくしておきます(にこにこ)。

秀史:椅子には座らず壁を背にして立っていよう。

GM:片山さんは重い表情で切り出す。「実は藤村さん……」「もしかして、今朝もですか?」「はい」

カヤカ:礼儀正しそうにしつつ、「今朝、ですか?」

GM:「これを」というと、封筒を一つ。

天美:カミソリレター!?

GM:少し違う。中に入っているのは、A4プリント用紙だね。


 どこにでもあるプリント用紙に、無個性に印刷された文字が一行。いわく。


 『明日のライブイベントで、高千穂ひなたには災いが起こるだろう』


天美:「――気分の良い内容じゃないですね」

チシャ猫:「ご丁寧な予告なんだにゃー。典型的なかまってちゃんだにゃー」

秀史:「ギリギリ脅迫に当たらない言い回しか。気に入らないな」

カヤカ:「……災い?」うわぁいかにもだ、とは思いつつ顔には出さずポーカーフェイス。

GM:「依頼しましたとおり、近頃ひなたの周囲ではこのような脅迫行為や誹謗中傷が相次いでおります」

カヤカ:「有名税っても、なあ。あんまりだ」

GM:「これまでははこんなものが……」マネージャーは紙を取り出す。同じようなプリント用紙に、『傲慢な女に災いあれ』『魔女に天罰を』などなどと書かれている。

秀史:「『傲慢』に『魔女』か。ひなたさんのイメージには合わないが」

カヤカ:「よくもまあ、これだけの語彙を脅迫につぎ込めるもんだ」

チシャ猫:「あー、これは辛いにゃよね。チシャも経験あるけど落ち込むんだにゃー。かねかえせ!とか 詐欺師、死ね! とか心無い誹謗中傷」

カヤカ:「猫は自業自得って言葉を辞書で調べような」

チシャ猫:「ふむん、でもまぁあれにゃね。具体的な内容じゃなくて抽象的な脅迫が多いから、ある程度距離がある相手にゃんだろうね」

カヤカ:「度が過ぎていて、距離のある相手。真っ暗闇だ、手掛かりにはならないなあ、うーん」

天美:「ストーカーに心あたりは?」

GM:「いえ。正直あまり心当たりが……。こういう仕事ですから全くないというわけでもないのですが、ここまで恨まれるほどのことは」

天美:「過去に問題を起こしていたり、過剰に入れあげているファンがいたりすれば手がかりになるのですが」

秀史:「売り出し始めたばかりの声優にしては不自然だとは感じるな」

GM:「一応、藤村さんに言われて心当たりになりそうなことはまとめておきました」……ゲーム的には、調査判定に挑戦すればアクセスできます。

天美:「了解です」

チシャ猫:「まぁ、SNSとか匿名掲示板とか書き込んだ相手の特定がんばってみるにゃねー」

GM:「警察には結局いいようにあしらわれてしまいました。こうなってはお願いできるのはCCCさんしかいないのです」

秀史:「ちなみに『排除』はどの程度のことまで指す?必要なら某国ダムの建設現場10年コース行きの船を手配しておくが」

カヤカ:「どっからそんなコネを……」

天美:「まあ、物的証拠があれば名誉棄損やストーカー禁止法違反で警察に突き出せるでしょう」

GM:「はい、ストーカー行為の犯人が突き止められれば、こちらも事務所ですから、それなりに打つ手があります。皆様にお願いしたいのは、ストーカーの正体を突き止めること。そして、明日行われる『おおかみケン太と森の仲間達』の顔出しイベントまで、妨害行為を排除していただくことです」

チシャ猫:「でも普通に警察に突き出したら逆恨みしそうだから、もう二度とバカなことを考えないぐらいにボコボコにしとかないとにゃねー。ガンバレカヤカ!」

カヤカ:「オレかよ!」

天美:「よろしくね、カヤカさん」

カヤカ:「シタナガサンだっているじゃん!」

チシャ猫:「シタナガ君じゃ洒落にならないでしょ(真顔)」

カヤカ:「ごほん。明日のイベントまでってことは、脅迫状の内容からですよね。もしストーカーを取り逃がしたら、以後も行為が続く可能性はあると思いますけど、それは?」

GM:「はい、このイベントは、声優高千穂ひなたにとっての重要な飛躍のポイントとなります。それを見越してか、脅迫文については「このイベントで不幸が起こる」という内容に集約されているようなのです」

秀史:「ここをクリアできれば向こうも諦める可能性が高い、か?」

天美:「諦める、は多分ないですね。この手の類いは成功するまで何度でもやります」

カヤカ:(天美サン、ケッコー過激な感じか?)

GM:「残念ながら、我々も皆さんにずっと守ってもらう資金はありません。ゆえに、ストーカーの正体探しも依頼にお願いしております。それから、これはカンなのですが……。ここ最近、急速に脅迫の回数と度合いが悪化しているのです。まるでこのイベントに合わせるように」

カヤカ:「このイベントに合わせて、犯人が大きく動くかもしれない」

天美:「過激な行動に出るタイプの犯人は、自己顕示欲が強いものですからね」

秀史:「リスクはあるが、正体を特定できるチャンスでもある、ということだな」

チシャ猫:「ふふふ、仕事の成否は別にどっちでもいいにゃけど、こういったアホの子を釣り上げるのは楽しいからにゃー」

GM:「あ、あの、よろしくお願いします……」とひなた。

天美:「(にっこり)心配しないで、高千穂さん。私達はこう見えてプロフェッショナルです。CCCに依頼していただいた以上、あなたの安全も、安心も、必ずお守りします」

チシャ猫:「にゃるほど、こうやって結局仕事全力でやっちゃうタイプにゃんだなー、天美ちゃん」

天美:たぶん単にプロ意識が強いんだと思います。父の反面教師で。

一同:ああー。

チシャ猫:今言おうと思った。

カヤカ:移動費ケチって酒飲んでたよな。

天美:「あの父と四六時中顔を突き合わせていたら、誰だってああはなりたくないと思いますよ」

秀史:「よく母親についていかなかったものだ」

天美:母親についていかなかったというか、割とがっつり魔術習っちゃってたので捨てられちゃったんじゃないかと。「あんた達みたいな異能者とはもうやっていけない!」みたいな感じで……。

カヤカ:せっちがれえーーー!!!!

天美:「明日のイベントについて、詳細をお聞きしてもいいですか?」

GM:「はい、それでは、今日明日のひなたのスケジュールを」 ということで、こちらをごらんくださいまし。



1.土曜日朝:サンプロ事務所で説明(練馬)/混雑度2

2.土曜日午前:スタジオでアニメを二本収録(荻窪)/混雑度5

3.土曜日午後:トークイベント(秋葉原)/混雑度6

4.土曜日夜:ネットラジオ収録(新宿)/混雑度2

5.土曜日深夜:CCC本社で就寝(新宿)/混雑度0

6.日曜日午前:スタジオでアニメを二本収録(荻窪)/混雑度5

7.日曜日午後~夜:劇場版公開ライブイベント(お台場 巨大映画館)/混雑度6



秀史:(チェック中)全部で7ターンか。その間守りきり、その間に犯人を探す、と。

GM:「最終日のライブイベントですが、これはお台場のシネコンで、『劇場版おおかみケン太』の試写会が行われるのです。試写会終了後、着ぐるみのキャラクターたちと、顔出しのひなたとが登壇し、ステージでお芝居とトークショーを行い、映画の宣伝をするという内容です」

カヤカ:着ぐるみ……嫌な予感が(笑)。

秀史:ここは猫の出番か(笑)。

チシャ猫:壇上にいても何も役に立たないんだにゃ。

天美:壇上にいればその割とカタいチョッキを活かして『かばう』ができますよ!

チシャ猫:絶対にNO!てか、混雑度6で出たら登場だけでEP+4なんだにゃ!

GM:今回のテーマは「人前でいかに戦うか」ですので、存分に悩んでください(笑)。

カヤカ:「声優って顔出しなんかもするんですね。イベント中に何かされたら手に負えないな」

チシャ猫:「正直、イベント中に壇上に上がられただけでもこっちの負けにゃよ」

GM:「はい。イベントはぶち壊し、悪いのは犯人であっても、結局は『ひなたのせい』ということになってしまいます」

秀史:「ま、子供に泣かれる内容になったら負けだな」

カヤカ:「つまり、実際にはイベントが始まる前に犯人を捕まえなければならない。いつものことだけど、無茶振りな任務だ」

天美:「大丈夫。藤村さんは無理だと思う仕事を回す人じゃないから。カヤカ君も自信もってね」



GM:「では皆様、班分けをしたいと思います。具体的には『護衛班』と『調査班』ですね。まあ途中で入れ替わっても構いませんが、分けておいたほうが色々作戦も立てやすいでしょう」と藤村くん。

カヤカ:「わかりました。じゃあオレは護衛の実働、っと」……カバーリングの見せ所だ!

天美:「私もやはり護衛班ですね。直接の危害を『障壁』でブロックできますし」

秀史:「俺は調査班で。護衛対象の傍にいても盾にはなれんし、いざとなったらスリケンが届く距離にいれば問題ない」

チシャ猫:「当然調査班。チシャが人前出るわけないんだにゃー。クーラーの聞いたお部屋で高級な事務椅子に座りながら優雅にお仕事ですにゃよ」

GM:了解。護衛:カヤカさん、天美さん、調査:シタナガさん、チシャさんですね。


天美:「よく見たらカヤカ君年下じゃないですか! わーい! お姉さんぶるぞー!」

カヤカ:「アッハイ、17歳デス」

天美:「18歳!(えへん)」

GM:やはり偽装JK……。

天美:なんで偽装なんですか(笑)高3で7月に18歳は普通ですよ。

GM:藤村「では、私は本社に戻ります。ここから任務開始となりますが、よろしいでしょうか?」

天美:「わかりました。バックアップよろしくお願いします」



挿絵(By みてみん)



●第一ラウンド 調査班


●チシャ猫のターン


GM:ここから第一ラウンド、ファストフェイズでございます。『高速移動』などなど、やりたいことがある方は宣言を。

秀史:現状では特に移動しなきゃならないポイントもないので、『ひなたの護衛』のまま動きません。

GM:了解です。エリア移動はありませんが、ひなたさんはスケジュール通りに仕事を開始します。電車に乗って、荻窪のスタジオへ。ここより『混雑度 5』となります。

天美:普段着に着替えて近くで見張りつつ、一緒に移動。登場露出は0なので、異能使わない限りは問題なし。

秀史:同じく。スパイスーツが早速役に立ったな。

カヤカ:ジャージのまま、部活動にでも行く学生みたいにしてましょう。登場場露出1頂きます!ああ、ジャージは浮くのか……!

チシャ猫:(ひそひそ)(ねえあの人、ジャージとかダサくない?)(都内でジャージとかマジありえなくない?)

カヤカ:動きやすくていいじゃん!!最近のジャージかっこいいんだよ!?

GM:と言ったやり取りを交え、ひなたの収録がはじまりました。……すみません、イニシア的には天美さんですが、進行のわかりやすさから、まずは調査組からアクションお願いします。

天美:はい、待ちまーす。

チシャ猫:では私からかな。

GM:はい。現在チャレンジできるのは、この2つです。


★1『ひなたについて』


高千穂ひなたの来歴について調べる。


達成値:4


目標値:

 ビジネス:5  公式の情報を集めて整理

 アウトサイダー:5  アングラ情報や噂話を収集

 他:7



★2『ストーカーについて』

 ストーカーの正体について調べる。


達成値:15

 ※達成値を積み上げていくごとに

  新情報が開示され、状況が変化する


目標値:

 アウトサイダー:12 アングラ情報や噂話を収集

 サーチャー:12 遺留物や写真から推理

 トラフィッカー:12 犯人の足取りをたどる

 ハッカー:12 電脳上での痕跡を探す


 他:15



チシャ猫:★1と★2、どっちがいい?

カヤカ:★1なら普通に全部開けられそうだな。

天美:★1を先に明らかにしておいてほしいかもです。★2は他の人も挑戦しやすそうですし、狙われる原因を先に特定できれば、★2の目標値が下がるかもしれない。

GM:もちろん達成値15×12とかマトモにやって突破できる数字じゃないですしね。

チシャ猫:はいはーい。では★1をハッカーで。(ころころ)35。

天美:はわわ……!それは一発オープンですね。

カヤカ:さ、さすが猫……。

チシャ猫:ほいほいっとにゃー。おやつのドーナツもぐもぐしながら集めた情報を皆に配信にゃよー。

GM:はい、では君にかかれば、一個人の来歴を洗い出すのは造作もなかった。……彼女の情報はこちらだ。



★1:高千穂ひなたについて


 本名:宮崎 春子、九州出身。

 高い演技力と歌唱力で近頃ブレイクした人気声優。

 アニメ、ゲームの出演多数。

 

 最初は大手事務所ゼウス・プロモートに所属していたがなかなか芽が出ずにいたところを片山に見いだされ、サンプロに移籍した。

 弱小事務所からの遅咲きデビュー、『仁義にもとる引き抜き』としてゼウスプロからの有形無形の妨害もあり苦労したが、現在は彼女自身の演技力で役を勝ち取っている。

 

 今まではコアな声優ファンのみが知る程度だったが、半年前に教育番組『おおかみケン太と森のなかまたち』で、歌が得意な『森の妖精』役として顔出し出演をすることでブレイク、一気にアイドル的な人気を得つつある。



天美:「これがチシャ猫さんの実力ですか。……父から聞いていましたが、凄いものですね」

チシャ猫:インコムから流れる軽快な音楽、そしてタイトルコール『おしゃまなチシャ猫のあの人の過去、洗いざらい調べちゃうゾ♪のコーナーァァァ』

カヤカ:「……いや何してんだよ」

チシャ猫:「今回の生贄ちゃんは声優のひなたちゃん、皆も秘密知りたくてもんもんとしてたんじゃないかにゃー。というわけでもっと追加情報欲しいお友達は今からいう口座に5万円振り込んでくれれば追加で防犯カメラに映っていたマル秘映像を渡しちゃうぞ☆」

カヤカ:「スルースルー」

チシャ猫:「皆ノリわるいにゃねー」

秀史:「猫は置いといて、ゼウスプロとやらが実に怪しいな」

天美:「なんかあからさまですね」

秀史:「引き抜きが嫌なら正しく活躍させればいいものを」

カヤカ:「遅咲きデビューなんだな。あんまり年上って感じの人じゃなかったけど」


GM:調査の結果を受けて、エリア『ゼウス・プロ』が開示されました。都内飯田橋の方にあって、どちらも通常移動で行ける距離です。混雑度は2だね。

カヤカ:ふむふむ。

GM:そして、調査項目★3『ゼウス・プロについて』が新たに発生しました。


★3『ゼウス・プロについて』


ゼウス・プロとひなたの確執について調べる。

挑戦条件:

 どこからでも挑戦可能。

 エリア:「ゼウス・プロ」に居るPCは判定に+1D

 

 PCの誰かが判定クリア時点で『ゼウス・プロ』に居る、

 もしくはクリア後に『ゼウス・プロ』に移動することで達成となる。


チシャ猫:(確認)ハッカー対策が施されているー!?

秀史:判定に成功するだけじゃなく、誰かが現地に移動する必要があるのか。

GM:こういうのは電話で問い詰めてもシラを切られるのがオチですからねえ。

カヤカ:証拠を押さえて直接問い詰めろ、ってことかあ。

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