51回転目
普段回転の力を使う時、特に意識もせずに行使してる。歩く事や物を手で拾うとかそんな感じだ。
そして今、咄嗟にショットガンを回転させて普段なら射出する所をあえて目の前で回転させる事で防御に使うという方法を取ったんだが……変だ。
確かにショットガンは回転しクモの毒液や足からの攻撃を弾いている。
だが普段の回転と違う。
まず『速度』。普段なら物を全力で回転させてもこの銃程回転速度が出ない。車で言えば回転数を上げれば上げる程に空気抵抗が増えて負荷もかかる。その法則
がまんま当てはまるって訳でも無いが回転数を上げまくると反動が俺にくる。
だから普段使う回転数は『10s-1』これは1秒間に10回転する速度で普段はコレが限界……というか反動が来ない速度だ。
なのに今目の前で回転している銃は明らかにそれを超えてる。回転数は『30s-1』……いや、感覚的に分かる、もっと上げれる。
次に『回転の中心』。普段なら物の『重心』がある場所で回転をするはずなのに目の前の銃は『グリップ』部分を中心に回転してる。
普段なら負荷がかかる原因になるのでやらないが、そのお陰で防御できる面積が増えて結果として上手い事クモの攻撃を抑えられてる意外なメリットだ。
銃の回転数をじわりと上げながらクモを睨む。
回転速度が『40s-1』を超えた辺りで反動が来た。それでも回転数を上げる事を止めない。
45……50……55……60……。
回転速度が『60s-1』つまり1秒間に60回転、分に直すと『3600rpm』スペックだけ見れば相当な回転数。
ゴウゴウと風を切る音を立てながら俺の目の前で回転しクモの攻撃を防いでる。
回転数を上げたお陰で先ほどまではクモの足を弾くだけだったのがついにクモの足を砕き始める。
「ギヂヂヂッ!!?」
これにはクモも驚いたようでついに後退し始める。
当然それをコッチが見逃してやる道理は無い訳で、そのまま攻勢に出る。
直感だった、普段ならこいつを射出したら手元に引き寄せる術は無いがコレは大丈夫と勘が告げてる。
直感を信じてショットガン自体を射出、するとクモの硬い外殻など無いかのようにその体を押しつぶしながら回転し、進む。
やられた方は堪らず声を上げる。
そりゃそうだ、体を削られ、潰され、無理矢理引き裂かれたのだから痛いだろう。
だが止めない、クモの体を引き裂いた銃を引き寄せる。
思ったとおり銃は俺の思考に従ってクモの体を実に8つの塊に分解した。
「やれやれ、未だに生きてるとか……生き物ってすげぇな」
8つの塊に分解されて尚、クモは、クモの頭部はまだ動いていた。
「けどよ、俺のモノに手を出したんだ、素直に死んでくれや」
先ほどまで回転させていたショットガン……既に銃としての形を取ってないソレを手に取りクモの頭部に叩き付け、潰す。
何となく、俺の『回転』が成長したのはコイツのお陰の様な気がしてトドメは自分でやらなきゃならない気がした。
「ッチ、さっさとキャシーを運ばねーと」
取るものも取らずにキャシーを抱えて地上を目指す。何はともあれ何事も命あってのモノなのだ。




