第2話Part.4~王姉妹、花関索の次妻となる~
花関索は王令公を見事に下した。そして負けを認めた彼女の気質からしたら見苦しく抵抗することもないだろうと花関索も槍を引いた。
「さあ王令公、私が勝ったのだ、言うことを聞いてもらうぞ。」
「分かったよ。しかしねアタイはアンタについて行くとしてコイツらの食い扶持をどうするかだよ。」
「ちょっと!何勝手に決めてるの?!」
花関索は勝負に勝ったので彼女に約束通り賊をやめるように言うが、ここで王令公は妙な事を言いだす。花関索について行くと。
当然目を剥いて怒るのは鮑三娘だ。おまえは何を言っているんだと王令公に食って掛かる。そして花関索の方も困惑して怪訝そうな顔で彼女を見た。
「アタイは花関索が気に入ったのさ!さあ私を娶りな!」
「い、いや待ってくれ。さっきも言った通り俺には妻がちゃんと居るんだぞ。」
「そうよ!私が妻です!」
「じゃあ次妻でもいいから娶りな!」
「言うだけ無駄だと思いますよぉ。姉さんああなったらまっっっっったく人の話聞かないんでぇ。」
そう言えば闘っている時に勝てば花関索は自分のモノにと言い。そしてこうやって負けても結局妻にしろと言い出す王令公の強引さにタジタジになる花関索。
鮑三娘が妻なのだと言ったもののじゃあ次妻でもいいからと何としてでも彼の妻になろうとするんだ。鮑三娘が口を挟んでも全くの無視で一歩も退かない。
そして後ろでこのやり取りを聞いていた王令公の妹は、姉がああなるともう人の話を聞かないから諦めろと付け加える。だが何か新しい玩具でも見つけたかのようにニヤニヤとしながら3人を見ていた。
王令公の提案は花関索も驚きの提案だった。そして花関索はそんな強引な求婚をする王令公を見る。彼女の姿形、特に髪型はかなり厳つく見えて更に釣り目気味で切れ長な目、そして眉頭が少し近めな彼女は戦いぶりと同じく負けん気の強さを表すよう。
だが顔立ちは非常に大変な美人で、今の奇抜な髪形を普通にして正装させてみればどこぞの高貴な出の女性と見紛うほどになるだろう。
そして長い盗賊生活故か非常に引き締まった肉体、だが戦斧を振り回す時にしきりに邪魔そうにしていた胸。その大きさはまさに嵩山が如き大きさ。
ハチャメチャなのは間違いねえんだが、魅力的なのもまた間違いねえ。
「そうか次妻か……。分かった。次妻として迎えよう。」
「さすがだねえ。アタイの名は王桃だよ。じゃあこれからよろしく頼むよ!」
「す、すまない。」
「英雄色を好むと言いますから……。花関索様が望むなら私は何も言いません。」
王令公改め王桃の求婚を受けたはいいが、正妻の鮑三娘の様子が気になり彼女の方を見る花関索。鮑三娘の表情はやはり複雑そうだった。
父の関雲長の元へ行くという目的がある故に急いで出てきているため、まだ真の夫婦としての契りも交わしていないのに次妻ができてしまったのだから当然の話だが、この時代は第二、第三の夫人が居るのはよくあること。
鮑三娘も早すぎるとは思っても覚悟はしていたようで王桃を次妻に迎える事に異論は挟まなかった。
「じゃあ、あたしも姉さんと一緒に次妻にしてください。」
「はっ?」
「あたしも強い人が大好きなんでぇ。」
王桃を次妻に迎えた花関索だったが、それを見ていた彼女の妹が軽い雰囲気で求婚してきた。まさか彼女にまで求婚されるとは思っていなかった花関索は驚きの声を上げる。そして鮑三娘の方を向く。鮑三娘はもう勝手にしてと呆れた表情を見せていた。
彼女の名前は王悦。王桃の妹で目元は彼女によく似ているが勇ましい姉に比べるといくらか柔らかい雰囲気を感じさせる美女。
身長は姉よりも低く体つきは姉よりも少し丸みを帯びた柔らかそうな雰囲気。姉も相当大きいのだが、王悦の胸は姉のそれを上回っている。
そして柔らかそうな雰囲気は髪型や髪質からも感じさせ、真っ直ぐな髪ではなく、彼女が動くたびにふわふわと動くような柔らかさを持った髪質だ。
「それで旦那様はアタイらを討伐しに来たわけだけど、劉備軍かなんかなのかい?」
「まだ劉備軍ではない、な。」
「まだって?」
王姉妹を次妻として迎えた花関索。結局彼女らの同道が決まったわけだが、王桃に劉備軍なのかと尋ねられた花関索。劉備軍に加入するつもりではある花関索だが、当然まだ父にも会えていないのでまだとしか答えようがねえ。
少し歯切れの悪い返事をする花関索に、王悦がどういうことかと続けて尋ねると
「実は私は劉皇叔の配下、関雲長殿の子なのだ。それで父の助けになろうと父の元に向かっている。」
「関雲長だって?!」
「はぁ~。姉さんが勝てないわけだぁ……。」
花関索は妻となった王姉妹に自分の出自を明かす。盗賊稼業をしていた王姉妹も劉玄徳、関雲長の名とその強さも知っているようで、花関索のその強さの理由が分かり2人の顔は納得とそして特に王桃の目は憧憬の眼差しになっていた。
「劉備軍ってんならコイツらもなんとかなるかもしれないねぇ。」
「どういうことだ?」
「多分兵が1人でも多く必要だろ?」
「なるほど。だが元盗賊を連れて行っても大丈夫だろうか……?」
「ま、そこは旦那様のお力次第だね!」
「またそんな無茶を……。」
王桃は花関索が劉玄徳の軍に合流しようとしていると聞いて、配下の盗賊たちを連れていくことを提案した。王姉妹は花関索の妻となって同道するから良いが、残された部下はこのまま路頭に迷うか結局盗賊稼業を続けるかのどちらかになるだろう。
だが彼女らの部下は食うに困って盗賊稼業に手を染めてしまった者が多く、盗賊稼業をすることは本意ではないようだ。
そして花関索の父は劉玄徳の軍の中でも重き役割を担う関雲長。その彼が劉玄徳に兵として斡旋してほしいということだ。
花関索は彼女が中々無茶な事を言うとは思ったがそれと同時に中々悪くないとも思った。劉玄徳の軍には廖化なる元黄巾賊の将も居ると聞いたことがあり、存外受け入れて入れてもらえるのではないかと。
花関索は王桃のその提案を受け入れ、花関索の旅は正妻の鮑三娘、次妻の王桃・王悦姉妹、母の胡金定。そして元盗賊500人という大所帯になった。




