67 弟 22
姉を、抱く.....。
いくら姉の夫が許したころで、実の弟が姉と交わるなんて、倫理的に許されるされることではない。
姉と僕は、恋人と姉弟の関係の狭間で、甘い時を過ごしてきた。
そこから抜け出して、どちらかに近づこうとすると、心身のバランスを崩してしまう。
姉は今、僕との関係を正常なもの、つまり正しい姉と弟の関係になろうとして、心も身体も壊している。
では、反対の方向、つまり恋人になろうとしたら、姉はどうなる?
僕は寝ている姉の唇に、そっと指で触れた。
抱こうと思ったらいつでも抱けるくらい、姉は僕のそばにずっといてくれた。
今、本当に抱いてもいいときなのか?
抱くことで、姉の心は正常に戻るのか?
姉の症状が酷い有様の今、失敗は許されない。
僕は、最近の交信手段である姉のスマホに、僕との行為を匂わせてみた。
「たくさんキスしている」、「夜にしている」という内容に、姉は少し表情をつけた。
姉は、僕との行為を期待している?
さらに、姉がかつて僕としたと匂わせてみる。
これまでの反応よりも大きな反応を得た。言葉に出さなくても、姉の表情が豊かになったのが、面白い。
僕の恋人だということが、姉にとって嬉しいことなのだと思い、調子にのってみた。
『まだ食べ足りないから、早く戻って来て。』
「何を、勝手なこと言ってるの?!」
姉に感情が戻ってくる。
姉は僕を叱るとき、とても楽しそうだ。
僕を叱っている姉が、一番元気な姉なのかもしれない。
僕は姉をからかって、姉の感情を引き出すことにした。
結婚前、僕と姉は恋人まがいの行為をしていた。
夜中には姉の意識がないことをいいことに、恋人まがいではなく、恋人にしか許さないところを、起きない程度に軽く触れたり口づけたりした。
姉は知らない。知ってしまったら、ふたりが合意して先に進んだことになる。
姉が途中で起きたら、きっと姉は喜んで僕を男として迎えるだろう。
そして僕たちは、この世界から居場所をなくすことになる。
僕からの一方的な行為は、僕が中学3年のクリスマスイヴの夜に始まった。
僕は、姉の交際相手に激しく嫉妬していた。
姉は美しく着飾り嬉しそうにデートをするくせに、帰宅後は僕に隙を見せて僕の機嫌をとろうとする。
ーーそんなに機嫌をとりたいなら、僕の彼女にしてあげる。
姉と彼女の違いは何か?
僕にとって一番違うのは、性的な関係のあるなしだ。
僕は親たちに相談して防衛手段を持っていたにもかかわらず、姉を襲うことをためらわなかった。
計画では、僕は姉の部屋に行く予定だったのに、姉の方から僕のところに来てくれた。
姉ちゃんが、僕のベッドに、入った。
ーー姉ちゃんは、僕のものだ。
一度だけ。僕は、姉ちゃんとほんの少しだけ、繋がる。
ただ少し、触れるように繋げるだけ。
こんなことでも、もしかしたら、姉は妊娠するかもしれない。
いけないことだという意識よりも、姉を繋ぎ留めたい気持ちでいっぱいだった。
もし妊娠してくれたら、姉ちゃんは僕から離れていかない?
でも、姉ちゃんの人生はどうなる?
子供じみた独占欲だとわかっていても、嫉妬に耐えていくのは苦しかった。
姉との、強い、繋がりが欲しかった。
抱いてしまったら、僕たち姉弟に未来はない。
でも、少しだけ。僕しか知らない間の出来事だったら?
姉ちゃんが気付かなかったら?
今後何十年も続く姉弟の関係を、間違わずに生きていける?
僕の一生をあげるから、姉ちゃんが欲しい。
一度だけ。二度としないから、少しでいいから身体を繋げたい。
・・・・・一瞬で、楽しい時は過ぎてしまった。
少しのはずなのに、触れた瞬間、もっと、と身体が姉という女性を求めだした。
僕は自分の欲望が怖くなり、急いで姉から離れて服を着た。
後悔どころか姉を感じた興奮で、眠れない。
汚れ防止で下にひいたタオルを外して、姉を拭いて服を着せた後、一晩中起きていた。
ーーこの人は、もう僕のものだ。
最後まで抱いてないけれど、姉の"初めて"の行為だったはずだ。
僕の"初めて"でもある。
完全なカタチでの"初めて"ではなくても、触れ合ったところが熱くて、ありえないくらい幸せな気持ちになった。
最後までしないからもう一度、と思ったけれど、欲張ってはいけない。
姉が起きなかったのは、僕たちが姉弟でいるように、という何かの存在による取り計らいなのだと思った。
一度少しでも繋がると、さらに嫉妬が渦巻くことを、僕は知った。
姉は僕のものだけど、ふたりが起きているときは先に進むことができない。
姉が僕を挑発しても、僕は姉の身体に触れることができない。
姉弟の関係を、壊してはいけない。
姉の甘美な肌を、弟の僕は味わうことができない。
その間、姉の彼氏は姉を味わうのだ。
姉を知ったからこそ、さらに苦しんだ。
高校に入ってから、僕は姉の意識がないときを狙って、もう一度、姉と繋がろうとした。
しかし、中学3年の蛮行を、僕は繰り返すことができなかった。
何度考えても、僕は弟で、姉に相応しい相手ではない。
相応しくないのに姉の身体に触るのは間違っている。
僕は、ぐらぐらと煮えたぎるような欲望に負けて姉を傷つけないよう、姉を僕から切り離した。
そして、姉の魅力に再度負けて、意識のない姉どころか、意識がはっきりした姉にまで手を出しはじめた。
僕は今もあの時姉とわずかに繋がった、とろけるような熱い感覚を覚えている。
二度と得られないと思った。
僕が、姉と、最後まで関係する?
姉は、本当に、僕としてもいいのか?
僕は姉の胸をしっかり触って姉の反応をみた。
見事に無反応で嫌になる。
以前、夜中に触っていたときには、寝ていても反応があった。
夜中の姉は、もしかすると、起きていた?
起きていたのに、寝たふりをしていた?
そこまでして、僕の姉でいたかった?
それなのに、起きているときは、僕を受け入れようとしていた。
ーー姉は、僕と、どうなりたい?
弟のままでいて欲しい?
僕の恋人には、なってくれない?
悔しいので、口づけて、行為の痕跡を残す。
姉のスマホに連絡を入れて、胸の痕跡に気付かせた。
これまで、夜中を除いて、僕は二人のときに姉の胸にできるだけ触れないようにしてきた。
これは、姉に期待を持たせる恋人の行為で、意識のある姉にしてはいけない行為だからだ。
姉は胸の赤い痕に驚いているけれど、嫌がっているようには見えない。
身体中を撫でても無反応だ。
これはいよいよ、すべきなのか?
本当に、してもいいのか?
僕は自信が持てず、結論を翌日に持ち越した。




