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振り向かない彼女を飼う方法  作者: 一会
第3章
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 僕は両親と兄さんの前で、僕も結婚すると報告した。

 結婚相手を言うと、父は悲痛な顔をした。


 「その彼女のことを、幸せにできるのか?」


 父の言葉に、僕は淡々と答える。


 「彼女は、前に紹介したように、ちょっと変わった人で、お兄さんが大好きなんだ。

  姉さんと僕のことも理解して、応援してくれている。

  僕は彼女をきちんと大事にするよ。」



 「あなたのことを、理解して受け入れてくれているのね?」

 「そういうこと。」


 母に心配ないと伝えた。



 「彼女はお兄ちゃんが好き、お兄ちゃんは妹が好き?」

 「話を聞く限りだと、僕たち姉弟(してい)ほどではないにしても、十分ブラコンとシスコンだよ。」


 兄さんの質問に、僕は正確な情報を伝える。



 兄さんは楽しそうに、一つ提案をしてくれた。


 「四人で近くに住んだらいいのに。」

 「君は、こんな状況で、これまで辛くなかったのか?!」


 父が兄さんを見て、眉を寄せて言った。


 兄さんはまず父を見て、次に母を見つめた。


 「私は、ずっと幸せだったよ。諦(あきら)めて離れなくて、本当によかった。  

  苦しくても辛くても、幸せと言えることがあるんだ。

  完全な幸せが手に入らない以上、辛くても幸せだと言いきれる人生を、子供たちにあげたい。」

 


 母の目に、涙が浮かんでいる。

 父が気づいて、母の涙をティッシュで押さえて拭(ふ)いてあげていた。


 母は目を閉じて、心を静めている。

 母は歳をとっても、愛らしい感じのする綺麗な女性だ。

 父と兄さんが母を見つめている。


 母は再び目を開けると、僕に真っすぐな強い視線を向けて言った。


 「四人全員が幸せになる道を選びなさい。誰かが不幸になるのは、ダメよ。」


 母の強い意思を感じて、僕は自分を戒(いまし)めた。


 「わかった。考えるよ。父さんも、了承してくれる?」


 「どうしてそんなに辛いことを選びたがるのか、正直理解できない。

  だが、子供の選択だ。親だから、君たちを信じることにする。

  相手の両親に安心してもらえるよう、よく考えて行動しなさい。」



 父の許可をもらい、僕は僕たち全員が、幸せを掴む道を模索し始めた。




 

 大学に入学した。

 女の子が相変わらず苦手な僕は、比較的女の子が少ない大学の理系学部を選んで入ることができたので、少し安心していた。

 男に関心を持たない女の子が集まったようで、女の子は全員僕にまとわり付くこともなく、適切な距離をとってくれている。



 僕は、姉と同じ大学に進学した。

 入学した大学は文系学部もあるので、大学全体においては、僕が最初に選んで受験しようとした理系学部しかない大学よりも女性の比率が高い。


 しかも、この大学の男を狙っている女性が多いと知ったとき、僕はここは入ってはいけない大学だと認識した。 


 姉は僕が姉と同じ大学を選ばないことで少し寂しそうにしていたけれど、こればかりは譲れないと思っていた。



 僕の意識が変わったのは、姉を愛していると自覚したからだ。

 いくら女の子が苦手といっても、全く関わらずに生きていくことはできない。

 どうせ最低限でも関わらないといけないのならば、小さくなっていないで、やりたいことをやる方がいい。


 これくらいできないで、どうやって姉を世間から守れるというのか。




 姉は大学生活についてあれこれ教えてくれた。


 「一緒に大学に通えたら楽しかったのにね。」


 姉は何を想像したのか、ぽわっとした表情で、幸せそうだ。

 姉は修士2年、僕は大学1年。通う場所が違うので、一緒にいることはできない。


 僕たちは、5歳という年齢差を、大きく感じていた。




 僕が結婚する予定の彼女は、大学3年になった。

 彼女は文系学部で、大学を卒業したら就職するらしい。


 彼女の兄と僕の姉の結婚後について考えているようで、僕と姉が離れずに済む方法をあれこれ提案してくれる。


 目をきらきら輝かせて「僕と姉に協力する」と言い、僕に擦(す)り寄って来ることもなく、無駄にプレゼントをくれたり露出することもない。


 僕にとってとても理想的な擬似彼女だけれど、彼女の望みがいま一つ分からない。


 彼女はブラコンといっても、僕の姉のように肉親に恋してるわけではない。

 実の兄の結婚を応援しつつ、姉と彼女の兄の進展を阻む理由が分からないのだ。



 「創作活動の為よ!」


 彼女は謎(なぞ)の言葉を言って満足げに笑うので、僕は彼女のお兄さんに彼女は何か創作しているのか尋ねてみた。


 「知らないほうがいいこともある。」


 彼女のお兄さんは、これまでになく親密な表情で僕を見て言った。


 長年彼女と共に生活している兄の言葉だ。

 忠告に従い、僕は彼女にそれ以上理由をきくのはやめておいた。




 彼女も含めて四人ともが幸せなるように考えたい。

 僕はこの、謎の思考を持つ彼女を、どう幸せにするか困っていた。


 彼女は僕を性の対象にしないし僕も姉しか興味がわかないので、性的な関係になり得ない。

 恋の対象としても同様で、結婚しても彼女には何のメリットも満足感もないのだ。


 僕は親たちとの約束どおり、彼女を大事にし、幸せにしようと思うのに、彼女を幸せにする方法がわからない。



 僕が悩んでいると、彼女の方から僕に提案してきた。


 「婚外恋愛してもいい?」


 僕は結婚しても彼女と恋愛関係にならないので、他の人と恋愛してくれた方が気が楽だ。

 それで彼女が妊娠したとしても、夫である僕の戸籍にいれたらいいので問題ない。



 僕がそう伝えると、彼女は意外そうに僕に言った。


 「妊娠は、協力してもらうかもしれないわ。どんな方法があるか、調べておくね。」


 彼女の言い方だと、妊娠する方法がいろいろあることになる。


 僕は僕ではない人と子供を作って欲しいのだけれど、彼女の予定では、僕は子作りに協力しなければならない。


 僕は一気に気が重くなった。

 結婚後に彼女に素敵な男性が現れることを、ひたすら願った。




 婚外恋愛・・・既婚者同士の恋愛。お互いの家庭を壊さないことを前提としている。

 

 姉弟での未来を真剣に検討してみました。

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