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おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第四章 (大陸放浪編)

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完成!飛行艇!

ついに飛行艇ひこうていが完成した!

 一週間後、俺らはガントに呼び出されてある所に来ていた。


 集まったのはユニオン【ティンクルム】のメンバー全員だ。

 

 ここは、街の一角にある造船場。

 そこにはいくつもの建造中の船が並んでいる。


 それだけでも、かなり心が躍る光景だが目的はそれではない。


「おー、来たか!」


「ついに、出来たんだな?」


「ああ、結構頑張ったんだぜ?手伝ってくれたみんなも自分の仕事を放っぽいて、こっちを優先してくれたんだ!見てくれ、これがそうだ!」


 ガントに案内された先には、ひと際大きな箱舟が出来上がっていた。

 俺らは目の前の大きなものを見上げる。


 船というには、かなり四角い感じがあるがだがそれでも船だという事は分かる。

 ただ違うのは、帆の代わりにデッキの真ん中部分に大きな魔石を組み上げた魔道具が設置されている事。


 そして、家のようなものが載っている事だ。


「一応浮遊することは確認済だ。これから進水式ならぬ進空式を始めるところだ、みんなも乗ってくれ」


「そういや、ゴンドラも必要だって渡してたけど解体して使ったのか?」


「まさか!ゴンドラは小回りも聞くからチーム単位で運用にするのに便利だろ?だから、ゴンドラも搭載出来るように作ってある。あの横についているのがそうだよ」


「おお、マジか。すげーなぁ。しかし、よくこんな大きさのものを1週間で作ったなぁ」


 普通、小さな船でも半年は掛けて作るらしいので1週間はかなりのハイペースだ。

 そこは手伝ってくれた船大工たちも驚愕していたらしい。


「ほんと、スキルで作ると一瞬でパーツが作れるからな。船大工たちには殆ど大物の組み上げをやってもらってた。まさに魔法のように一瞬で終わるんだが、すごいよなぁ」


 とガント自身も驚いていた。


 ちなみにLBOで船とか作った場合は、その場で完成する。

 材料を選んで、ボタンをポンで完成だ。


 それに近いことをこの世界で再現されると、もう笑うしかない感じだ。


「俺が手で作ったのと同じレベルの加工品が一瞬で出来上がるイメージだよ。でも、作れないものや精度の悪いものもそのままのレベルで出来上がっちまうから、スキルが上がっていて良かったよ」


 そんな説明をしながら、俺らを船内に案内してくれた。

 中にはキャビンもあり、寝泊まりにも不自由しないらしい。


 ちなみにこの船の大きさだが、なんと全長50mにも及ぶ。

 この国の一番大きな船に匹敵する大きさだ。


 それが空を飛ぶのだ、この世界の基準からしてもぶっ飛んでいた。


「動力源はなんだ?」


「この魔道具に注いだ魔力だよ。飛ぶ前に充填しないといけないが、飛んでる最中も空気中に含まれる魔力を吸い込んでいるらしいから、魔力切れでいきなり落ちる事はないみたいだぜ」


 それでも長期の運用するには、事前に満タンにしないといけないらしい。

 魔力量からいっても俺とかミラやアイナといった上位魔力保有者が補給しないといけないだろう。


 ちなみにMP=魔力量と考えて貰ってくれればいい。


「主よ、我なら魔物から吸い取りそのまま補給することも出来る。精霊から集める事も出来るし、我らが居れば主が供給しないでも問題ないぞ?」


 とカルマが言ってくれたので、交代で供給することは出来そうだ。


 進空式を執り行い、空での無事とこれからの冒険の祈願して滞りなく終えた。


 式には国王や大貴族などが参加していて、かなりびっくりしたけど国王が認めないと造船所自体使う事が許されないので、この式自体が王国が取り仕切っている。


 試運転でこの船が空に上がった時は、見ていた人物だけでなく噂を聞きつけた街の人々からも盛大な歓声と拍手が沸き上がった。


 この船の所有を【ウィンクルム】と認められた証書を貰い、すぐに王都を出る事を許可された。


 予め準備していたので、式が終わってからはすぐに荷物搬入となった。

 これでやっと王都からサニアに帰る事が出来る。


 

 全員が乗り込み終わり、いよいよ出発となった。

 デッキに上がるまで、皆わいわいと話しながらアレが凄いとか、これはどうだとか言っているのを見ていると修学旅行生を引率する先生の気分だな。


 リンやシュウ等の子供達も大はしゃぎで騒いでいたが、コケた拍子に武器で船内の壁を傷つけそうになってセツナに怒られている子もいて、ちょっと苦笑いした。


 みんなをデッキに移動させた後、俺とガントと仲間ペット達が船長室に入った。

 操舵はここで行うらしい。


「船長は?」


「そりゃ、お前だろユート」


「え、船舶免許持ってないぞ?」


「この世界にそんなもの必要かよ。この魔道具に手を当てて、魔力を流し込むイメージをすればいい」


 ガントに言われて目の前の大きな半球体に手を当てた。

 すると…。


 ゴウンゴウンゴウンゴウン…


 と何か機械が動くような音が聞こえてきた。

 そしてしばらくすると…


「わーっ!浮いてる!船が浮かんでるよ~!」


「すごい!本当に飛んでる!」


 と子供たちの声が遠くから聞こえてきた。


 どうやら成功したようだ、ちょっとホッとする。


「この箱舟の名前は決めたのか?」


「そういや考えてなかったなぁ。そもそも俺にそういうセンスとかないぜ?ユート、盟主として決めてくれよ」


 そう言われても、こういうネーミングセンスは俺も無いからなぁ。

 一瞬"ノア"とか浮かんだけど、地上が洪水で沈みそうで縁起悪いな。


「うーん。そうだなぁ。飛行艇ウラノスってどうだ?」


「ウラノス?」


「そう、空って意味なんだよ」


「ほー、いいじゃないか!じゃあ今日からこの箱舟は飛行艇ウラノス号にするぜ」


 こうして、出来上がった箱舟は"飛行艇ウラノス号"となった。


 今日はとりあえず、試運転も兼ねて王都からサニアへ向かう事になっている。


 王都の借りていた屋敷にあった荷物もすべて搭載済みで、さらに乗務員とメンバー合わせて50人くらいの人、その他にも仲間ペット達や資材等、様々なものが乗っているが全く問題なく浮いている。


 ちなみに各所に簡易的に結界が張られているらしく、鳥や低位のモンスターなどは近づいてこないようになっているらしい。


 古代文明すげー!


「しかし、降りるときとか場所を選ぶな」


「そうだなぁ。まぁ、降りれないときはゴンドラに移って少人数だけ降ろすとか可能だから、なんとかなるだろう」


 なるほど、そういう使い方もあるか。

 ゴンドラの代わりにコンテナを積んで商品を大量に運ぶことも出来るらしいし、商売をするのにも色々と幅を利かせられるだろう。


 王都から空の旅は、快適そのものだった。

 途中から操舵をカルマに代わり、俺らもデッキに出た。


「あ、パパ!ガントさん!本当に凄いね~、この空飛ぶ船。飛竜と違って全く揺れないし、歩き回れて快適だね~」


「ああ、さすが古代文明の箱舟だよ。こんなに凄いとは」


「そこは、さすがガントじゃないのかよ!」


「ははははっ」


 ガントがもっと俺を褒めていいんだぞというが、実際かなりの功績だ。

 これからは、この船を作ったと知って、王族、大貴族、豪商などがガントにこの船の製作を依頼するためにアプローチを掛けてくるに違いない。


「さて、そろそろ時間だな。メイア!」


「はい、準備は整っております旦那様」


「よし、はじめようか!」


 そう言うとメイド達が一斉に動き出し、デッキ上にパーティーの準備がされていく。

 散らばっていたメンバー達もぞろぞろと集まりだした。


「これからこの【ウィンクルム】は、様々な困難に立ち向かっていく事になると思う。

 王都が先日あのような事になり、俺らも他人ごとではいられなくなった。」


 あの魔族の襲撃は、王都に大きな爪痕を残す事となった。

 生活していた多くの国民に多大な被害が出ていた。


「王より直命を受けて、魔族に奪われた秘宝を取り返す。

その調査のために、この空を飛ぶ箱舟。飛行艇ウラノス号をガントが建造してくれた。

 これで準備は整った!これより、【ウィンクルム】は活動を再開する!みな協力して欲しい。

 では、サニアに着くまでの時間大いに楽しんでくれ!カンパーイ!」


「「「カンパーイ」」」

 

 最近ずっと復興の手伝いやら何やらで、なかなかこういう息抜きになるようなパーティーもしてなかったので、皆楽しんでくれている。


 レーナとアーヤはなんとか立ち直ったが、他の子供達があの惨状を目の当たりにしていたら、精神的に立ち直れていないかも知れない。

 それくらいに酷かったので、連れて行かないで良かったと思っている。


 もちろんリン含めて連れて行った子供3人は、常にケアする様にしているし、メイアやアリアがサポートしてくれているようで今ではすっかり元気な様子だ。


 流通の関係もあり、しばらく食事も質素にしていたのだが、今回はパーティーと言う事もありかなり奮発した。

 ステーキやら、ケーキやら、フルーツの盛り合わせやら、どれも豪勢な作りだ。

 もちろん、パーティーの食事は全部ルガーが作った。

 久々に大勢の食事を作るとあってか、かなり気合が入っていて、


「お館様!死ぬほど食っていいぞっ!俺は一回死んだがなっ、がはは!」


 と上機嫌で言っていたよ。

 いや、そのネタ笑えないからね?

 

 まぁ、子供たちも口にいっぱい頬張って幸せそうだし良しとしよう。


 サニアまでは4時間程でつく予定だ。

 この世界の規格からすれば超高速移動なので、この大きさでこの速度で移動が可能なのは俺らくらいだろうな。


 途中ワイバーンの群れや魔鳥などの魔物が近くを通ったが、飛行艇を見るなり慌てて逃げていった。


 まぁ、ドラゴンより遥かに巨大な、しかも得体の知れない物が飛んできたら逃げるのは当然と言えるだろう。



 予定通り、4時間でサニア上空に到着。

 一応ギルドを通して通達してあったが、その巨大な空飛ぶ船を見て町の人々はかなり驚いていた。


 屋敷の近くの大きな空き地に着陸し、そこからはゴンドラを使って荷物の搬入を行った。


 流石にこのサイズはストレージに納める事も出来ないので、そのまま停泊させる。

 予め雇った乗組員と護衛の冒険者にウラノスを任せて、俺と数人のメンバーでギルドに報告しに行った。

 他のメンバーや家人は搬入を手伝ってくれている。


 ちなみに、起動キーが無いとウラノスは動かないようになっているので、盗んで持ち逃げとか出来ないようにはなっているから心配はしていないが。



 サニアのギルドも久々だなぁ。

 相変わらず魔物の数が増えたせいで忙しそうだな。


「あっ、ユートさん!おかえりなさい!」


 ギルドに入るなり、ミルバが駆け寄ってきた。

 相変わらず元気そうで何よりだ。


「おう、久しぶりだな」


「本当ですよ!でも、王都の件は本当にご苦労様でした。まだまだ復興には時間が掛かると聞いてましたが…」


「ああ、かなり酷い状態だったが一先ずは住めるようにはなったって感じかな。今は職人たちと冒険者達が協力して修繕にあたってるよ」


「そうなんですね。それで、今日はどんなご用件ですか?」


「ああ、ゼオスに会いに来たんだがいるか?」


「はい、少しお待ち下さい!」


 ミルバが奥の方に消えて数分すると、ゼオスがやって来た。


「待っていたぞ、取り敢えず奥で話そうか」


 と言われ、奥の応接室に通された。



「まずは今回の依頼の件、本当に有難う。ギルドの一員として、感謝する」


 席につくなり、開口一番に感謝を伝えてくるゼオス。

 

「大袈裟だなあ…と言いたかったけど、今回はマジでやばかったな」


「ああ、お前達が首謀者を撃退していなかったら、この国は終わってた。同行していたグランドマスターがそう言っていたよ」


「ドルガーが?まぁ、間違いではないかな。それでも、かなりの犠牲者が出たな…」


「ああ、王都人口の3割くらいが亡くなったらしいな。今は冥福を祈るほかないが…。本当にお前達が居なかったらと思うと、ゾッとするよ。王都だけじゃない、近隣の町や村への被害ももっと酷いことになっていた事だろうしな」


 王都の周りには、小さな村や町が多数存在するが、王都が魔族に占領されてからかなり魔獣の被害が出たみたいだ。

 冒険者の派遣もままならない状況だったらしく、サニアの冒険者もあちこちに派遣されていた。


 ちなみにセツナとセリオンも近隣の案件だけという条件で請け負っていたが、かなりの数の依頼を受けたらしく、好きなものが買えるようになったと喜んでいたのは内緒だ。


「この先も、まだまだ依頼が来ると思うのでお前のユニオンには協力して欲しいんだ」


「なるほど、そう言う話ね。ああ、もちろんさ。うちのメンバーも育てていかないといけないし、丁度いいさ」


「そう言ってもらえると助かる。そういや、国王の直命受けたんだってな」


「ああ、その件で来たんだ。当分の間はサニアに拠点を戻してあちこち飛び回るつもりだ。で、あの空飛ぶ船、飛行艇ウラノス号が飛び回るから町の人に通達しておいてくれ。いちいち騒ぎになると面倒だしな」


「それは任せておけ。お前のだと言ったら大体の奴が、また【ウィンクルム】かと言っているから問題ないと思うぞ」


「いいんだか、悪いんだか…。そうだ、討伐依頼とかはライを通してくれ。彼が色々と調整してくれるから」


 同行しているライが改めてゼオスに挨拶する。

 最近は冒険者業より、ユニオン運営の方に注力してもらっている。


 読み書きや計算も出来て、計画立案や隊の指揮も採れるなど、彼は何かと優秀な人材だったので一任している。

 

「分かった、そうするように手配しよう。では、これからもよろしく頼むな」


「こちらこそ、宜しくお願いします。」


 とゼオスとライが握手する。

 留守の間は、すべて彼に任せようと考えていた。

 

 ───


「じゃ、落ち着いたらまた酒場で飲もうなゼオス」


「楽しみにしているよ」


 ライとゼオスの今後の依頼計画についても話し合いが終わり、挨拶して出てきた。

 ギルドのロビーに出てくると、また色んな人に捕まってしまったが。


 ミルバにも今度食事をしつつゆっくり話しましょうと言われたので、今度必ずなと約束だけしておいた。


 サニアに拠点を戻してこれから本格的な探索に入る。

 久々の冒険となるので、心なしかワクワクしているのが分かった。


「ユートさん、顔が少年みたいになってますよ」


「ははっ、出ちまってたか?依頼とはいえ、またあちこちに行けるからな。楽しみなのさ」


「なるほど。まぁ、ユニオンの方は任せておいて下さい。養蚕の方も始まりますし、予算はゼフさんと調整する形でいいですよね?」


「ああ、それで構わない。二人でうまく資金を回してくれ」


「了解です。残るメンバーも鍛えておきますよ、王都のような時の為にも。まぁ、自分が一番弱い気がしますけど…」


「武力だけが全てじゃないさ。ライには無理に戦闘してもらうより、運営とか指揮を執ってもらう方が助かる。そっちに注力してくれ」


「はい、お任せてください」


 それからもライや、他のメンバーと話しつつ久々の我が家へ帰っていくのだった。

 

 これから、新たな冒険が始まるのだ…。

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