表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第三章 (覇王覚醒編)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/122

緊急指令発動!!王都陥落!?

その頃の王都…

 それは突然訪れた。


 虚無の表情をした顔だけのバケモノが、王都ハイセリアの上空に突如現れた。


 城下町の人々は、いきなり影をさした空を見上げると、その異様なものを見つけると悲鳴を上げる。


 悲鳴を聞いた隣人の見上げる先を見て、ひとりまた一人と悲鳴を上げていき瞬く間にパニックとなる。


「うあああっ、な、なんだあれ!なんなんだあれは!?」

「きゃー!?化け物よ!街に化け物が現れたわっ!」

「うげえ、なんだあれ?!おい、こっち見たぞ、うあああに、にげろおおお!」


 逃げるにも何処に逃げたらいいか分からない人々は、ただ右往左往するだけだ。

 警備兵も気が付き、異様な化け物に果敢に挑もうとするも、遥か上空にいるため攻撃が届かない。


「おい!急いで王城の聖騎士様にお知らせするんだ!お前たちは、住民を避難させろ!」


 素早く頭を切り替えて、警備兵長が指示と飛ばす。


 …だが、彼の意識もそこで途絶えた。

 いや、正確には彼の体からその頭は失われていたのだ。


 それを見た住民が更にパニックを起こし、もはや収拾がつかない状況になっていった。


「あー、あれはヤバイですねぇ…。こりゃあ、さっさと逃げるのが一番だ」


 酒場から出てきたある一人の冒険者はそう呟くと、城下町からさっさと塀の外へ駆け出していくのだった。

 彼と、彼の仲間は一目見ただけでソレは人が敵う相手では無いと悟り、王都ハイセリアから脱出を試みる。


 しかし…


「おいおい、マジかよ。いつの間に攻められたんだよ王国は。はぁ、今日が命日かもなぁ」


 街を守る防壁塀を裏口から抜け出し、やっと死地から抜け出したと安堵した彼らの眼前には、幾千もの魔物達が待ち構えていた。

 その先頭には、当然のごとく魔族の首領が指揮を執っている。


「はっはー!ニンゲンどもよ、我が王がお前たちを滅ぼして良いとおっしゃったのだ。ありがたくその命を差し出せ!」


 その魔族が剣を前に突き出すと、一斉に魔物達が襲い掛かってくるのだった。

 ウヲオオオオオオオオオ!!



 ───


「これは、マズイことになりましたな。このままここにいては我らの命も危ないでしょうな。皆よ、主の留守を守れないのは使用人として痛恨の極みではあるが、あの旦那様は我らがここで命を落とすことをよしとしないだろう。 最低限の物を持って、サニアに戻る。自己の命を最優先としなさい!」


「はい、分かりましたゼフ様。皆いつでも出れます。」


「ゼフ様、全員揃っています。高級家具等は持っていけないので地下室に押し込めてきました。それと旦那様が用意してくれた護身用の武器防具は皆装備済です。」


「よし、行きましょう!ここにもすぐ魔物達がやってくる筈です。大教会の辺りに、冒険者が集まっているらしいのでそこを経由し、なるべく戦闘を避ける。皆いいな?」


「「はい!」」「おう!」


 ゼフ、ヴァイ、ドーラ、フィー、ヒュン、ルガーの6人は移動用の馬に乗ると、すぐに移動を始めた。


 騒動から既に1時間は経っているが、まだ街の中にいる魔物はそれほど多くなかった。

 ゼフは右腕だけ鬼化させて、近づく魔物を剛腕で殴り飛ばしていった。


 メイド達も、使い慣れた包丁を大きくしたような片刃の剣で、魔物達を捌くように器用に解体しつつ馬を走らせている。


 自分たちの主人のおかげで、そこら辺にいる冒険者よりはランクは高いがいかんせん戦闘経験がないため、まともにやれば怪我では済まないだろう。

 なるべく普段の家事に倣った行動を戦闘に活かすように意識していた。


「これも、旦那様のアドバイスのおかげですな。…絶対に生き抜かねば」


 実はユートからは、前の様な夜襲などの命の危険にさらされたら命を最優先せよと予め言われていた。

 その際に、すべての物を放棄して構わないとまで。


『もうお前たちも俺の家族だ。人間ではなくなったとはいえ、せっかくまた手に入れた命なんだ。無駄にするのは許さないからな?』


 そんな事を言われたら、なんとしても生き延びなければ。


 つかず離れずに、なるべく陰に入る様にしながらやっと街の中心地までやって来た。

 目的のギルドや大教会のある場所だ。


 目論見通り、冒険者たちが沢山いた。

 居たのだが…既に戦闘状態だった。


 しかも、巨大な黒い犬のような魔獣に乗った魔族達相手に防戦一方のようだ。

 相手の攻撃をなんとか受けているという印象を受ける。

 

 見ると彼らは誰かを守るために戦っているようだ。


「ドルガーさんはまだこないのか!?俺らじゃ、そんなにもたないぞ!」


 彼らはギルド長が応援に来るのを待っているみたいだ。

 しかし、巻き込まれて自分達の命を危険に晒すわけにはいかない。


 彼らに目がいっている間に、外へ通じる通路へ抜けようとした時だった。


「お前ら、死んでも聖女様を守るんだ!聖女様を奪われたらこの国は終わりだぞ!」


 なんと、守られているのはこの国の王女でもある聖女アリアネルのようだ。


 ゼフは、それを聞いて一瞬躊躇った。

 流石にこの国の要を見殺しにしてまで逃げるべきなのかと。


 この場合、自分たちの主人ならどうするだろうかと…。


「ゼフ様、支援します!」


「全員で掛かれば、あのくらいの敵なら!」


「おー、あの犬っころ。いい肉しているな、捌いていこうぜ?」


 コック長のルガーまで既に助ける気になっていた。


 部下達が、同僚がやる気になっているのだ。

 自分だけ逃げ腰になるわけにもいかないか…。


「それに我らの主人なら、ここで見過ごすわけが無いですね。さて、いきましょうか」


 ───


 アリアネルは、使用人服の上に防具を纏った不思議な6人が魔族に向かっていくのを目にした。


 どこからどう見ても一般人が、自分を助けるために戦おうとして魔族に飛び掛かっていく。


 ああ、ダメ!そんな装備ではあの魔族達には勝てるはずがないわ!と心の中で叫ぶ。


 そんな無謀な様子を、ただ見ている事しか出来ない自分を恥じる気持ちでいっぱいだった。


 しかし、まわり重鎮たちが危険だの、御身が一番大事なのですとか言って戦うことすら許されない。

 悔しさのあまり、いつの間にか唇を噛みすぎて血が流れているくらいだ。


 しかし、次に目を疑う光景を見た。


 革防具を付けた執事が空を舞うように飛び、手に持っていたレイピアで魔獣の急所を突いたのだ。


 さらにメイド達が両足の腱を斬り、コックのような男が魔獣に乗っていた魔族の男を吹き飛ばしていた。


「え、ええ!?な、なんなのあの人たち。Bランク魔獣に乗った魔族を一瞬で…。」


 呆気にとられたアリアネルは、ぽかんと口を開けて少し間抜けな顔になっていた。

 見ていた他の冒険者たち、倒された魔族をみてわぁっ!と歓声を上げていた。


 しかし、喜ぶのも束の間。

 その魔族が吹っ飛んでいった先の方から、真っ黒な鎧を着た巨大な騎士がのっしのっしと歩いてやってくる。


「ふん、所詮は雑魚か。あんなニンゲンにやられるなど恥を知れ。 さて、聖女アリアネル。お遊びはここまでだ。貴様をここで死ぬのだ。我にこの場で殺されてな!」


 黒騎士は、その手に持った黒い大剣を一振りする。

 強烈な衝撃波が起こり、それだけで周りの冒険者達や護衛の者が吹き飛んでいった。


 中にはこのたった一撃で命を落としたものもいるようだ。

 当の聖女も今の一撃で吹き飛び衣服はボロボロになり、顔から流血している。


「あのままではマズイですね。しかし、我らではあの者には勝てない」


「いっそ鬼の力を解放して、魔族のフリでもして逃げた方がいいんじゃないのか?」


「ルガー、冗談でもそういう事は…。いえ、悪くはないですね。いいでしょう、やってみましょうか」


 そういうと、ゼフは防具を外し力を解放していく。

 見る見るうちに、筋肉が盛り上がり髪が逆立っていく。


「んー?なんだお前は?見かけない顔だな。潜入していたヤツらだったのかよ。こいつは俺の獲物だ、横取りは許さんぞ?」


「そうではない。オレはお前をコロス!」


 ゼフはわざと目立つようにして、黒騎士の目を奪う。

 そして、聖女が見えにくい様に対角線上に位置取りしてから攻撃を仕掛けた。


「ふん、力の差も理解出来ていない雑魚がでしゃばるんじゃねェ!!」


 大剣を軽々と振り回し、鬼と化したゼフを狙いつける。

 ゼフはというと、激情化している演技をしながら冷静に回避に専念していた。


「ちょこまかと!ウザイんだよっ!」


 思う様に攻撃を当てれずに苛立つ黒騎士は、一瞬聖女の事を忘れていた。

 そう、忘れていたのだ。


「はっ!聖女はどこに消えた!?おい、貴様~!まさか、これを狙っていたのか!小癪な野郎だ。まずは貴様を殺して、すぐに聖女を探しだして殺すっ!」


「そんな血が上った頭で、オレに攻撃を当てれると思っているのか?」


 どんどんスピードを上げていくように見える、ゼフ。

 しかし実際は、緩急差をつけることによりそう錯覚させているだけだった。


 黒騎士はゼフの仕掛けにまんまと引っかかっていた。


「そろそろ限界だな…。さてと、お前には付き合ってられないのだ。では、さらばだ」


 ゼフはそういうと、手に隠し持っていたあるものを取り出し、地面に叩きつけた。


「ぐああっ!閃光玉だと!?卑怯な真似を!!」


 怒りで地団太を踏む黒騎士を尻目に、ゼフも急いでその場を離脱したのだった。



 ───


 ゼフ達は街の外に出ていた。

 なんとか馬を殺されずに済み、魔族の少ない場所に隠れている。


「あの、ありがとう?でいいのかしら。それともあなた達も魔族?」


 ゼフが戦っている間に、メイド達が隠蔽スキルで影を作りつつ外まで逃がしたのだった。

 そのあと黒騎士を振り切ったゼフは、今合流してここにいる。


「聖女アリアネル様。私達は、サニアの人間です。訳あってこんな体になっていますが、元は人間だったので安心してください。それに、貴女にはお会いしているはずですが?」


「え…。あ、貴方は。ユート殿の屋敷にいた執事?」


「ええ、その通りです。私達は旦那様の命に従い、サニアの町に帰るつもりです。もうここはダメでしょう…。そこでアリアネル様、貴女も私達と共にサニアに来ませんか? 向こうならまだ侵攻されていないと思いますので」


 王家の王女でもあるアリアネルに、王都を捨てろとは残酷な事を言っている自覚はあった。

 だが、命が無くなってしまえば威厳も後悔も意味は無い。


 それを体験したからこそ、ゼフはなんとしても生きて欲しいと思っていた。


「王城からはもう火の手が上がっていたわ。きっと、お父様も…。それに今は聖女である私がここで命を落とすわけにはいかないわ。 なので、願ってもいない申し出。 どうせ残ってても殺されるか捕らえられるかだわ。 お願い、私をサニアまで連れて行って」


 アリアネルの返事を聞いて、満面の笑顔を浮かべるゼフ。

 そうと決まれば、じっとしてる場合では無いのだ。


「承知しました。我々が出来る限りを尽くしてお連れしましょう。 ただ、私達は旦那様程強くはないですから、防衛の際はお力をお貸し願いたい」


「もちろんよ、この状況で何もしないなんて馬鹿な事は言わないわ。 一緒に力を合わせていきましょう」


「では、すぐに発ちます。じっとして見つかっては厄介ですから」


「そうね。夜目は向こうの方が得意でしょうし、明るいうちに移動しましょう」


 そうして、アリアネルとゼフ達はサニアに向けて馬を走らせるのであった。


 ───その頃、ユート達は…


「一日しか経ってないのに久々な気がするな」


「マスターは常に慌ただしくしているからだよ。もっとゆっくりしてもいいと思うんだ!ね、ディアナ?」


「そうです、ここでもう一泊して温泉に浸かっていっても誰も怒らないと思いますよ」


「それはお前達が温泉入りたいだけだろ…」


 呆れた顔をしながら双子の我儘を聞き流しながら、サニアに帰る前に色々仕入れをしていた。

 双子の愛らしさと、交渉力を使って値切らせていたので浮いた分で温泉くらいは入らせてもいいかと思っていたその時だった。


「緊急指令!緊急指令!ギルド所属冒険者はギルドに集まれ!」


 ギルド職員がただならぬ表情で街を駆け回っている。

 よく見れば、何人かの職員が同じように街中を駆け回っていた。


「おい、どういう事だ?」


 そのうちの一人を捕まえて事情を聞くことにした。


「あ、ユートさん!大変です!!王都を魔族に強襲されました!詳しくはギルドで聞いてください!」


「はぁっ?!なんだって…!?」


 俺はメンバー全員を集めてギルドへ向った。


 中に入ると、丁度ここのギルド長が集まった冒険者に状況を説明しだしたところだった。


「状況は最悪だ。突如現れた魔物が次々に魔族や魔物を召喚して、瞬く間に魔族と魔物の大軍が現れたらしい。ギルド本部も襲われたらしく、今は通信すら出来ない。既にギルド本部からは緊急クエストが発行されているので大陸を渡れる者は直ぐに向かって欲しいとある…」


 その後も様々な説明が続いていた。

 どうやら、その後に連絡が途絶えたのでこれから向かうのはかなりの危険を伴うので判断は任せるという事。


 西大陸【ウルガイア】に渡るのであれば、ギルド専用の船を出すのでそれに乗せてくれるという事だった。


 そしてクエストの達成条件は、魔族の討伐もしくは撃退。

 報酬は、功績次第らしいが最低で金貨100枚、隊長クラスを倒せばプラス1000枚、司令官を倒せば5000枚という事らしい。


 但し、王国が存続していればという事らしい。


「どうするよ?ユート」


 ガントが困ったような顔で聞いてくる。

 言いたいことは分かるが、まずは…


「どうするたって、ゼフ達が取り残されてるかもしれないしなぁ。取り敢えずはサニアに戻って、あっちのギルドで情報収集だな」


「それが良いでしょうね。直行なんてしたら、囲まれて大惨事になるでしょうね」


 俺の意見にカイトが賛同する。


 ちなみに、ギルドの船は当然ハイセリア直行便だ。

 とは言っても準備と航海日数を考えて、最低でも3日は掛かる。


 正直その頃には終わっているだろうな…


「あ、あんたは英雄ユートじゃないかっ!」


「え!?」


「おお、戻ってきてたのか?頼む!あんたは自力で王国に行けるんだろう?俺達は船で行くから日数が掛かる、先行して助けれる人々を助けてやってくれないか?必ず俺達も行くから…」


 ギルド長が悲痛な顔で懇願してくる。


 そんな顔されてもなぁ…、元より行くつもりだったし。


「俺等も準備がある。なのでサニアを経由してから行くつもりだ。あなた達も充分気を付けて向ってくれ」


「おお、行ってくれるかっ!?では、クエストの手続きはこっちでやっておくので頼んだぞ!」


 おおおおおおっ!!

 と冒険者達から歓声が上がった。

 士気が上がったならよしとするか。


「マスター出発?」


「済まないが最速でサニアに戻る」


「しょうがないなぁ、また来ようね?」


「ああ、また全員で来よう、では【ウィンクルム】はサニアに帰還する。全員帰るぞっ!」


「「「はいっ!」」」

 

 新たなメンバーも含め、全員ゴンドラに乗り込む。

 俺達【ウィンクルム】は再び空の旅路へ就くのだった。

いつもご覧になって頂いている方々、本当に有難うございます。




日々、評価やブックマークが増えていき、皆様に応援されているようでとっても励みになっています。


是非よろしくお願いします。




次回も楽しみつつ書かせて頂きますので、一緒にお楽しみ頂ければと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ