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おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第三章 (覇王覚醒編)

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火の神殿と白き守り人。(前編)

火の神殿へ訪れるためにユート達は空を移動する。

 昨日は色んな意味でデンジャーだったが、この【カルデリアの町】もしばらくお別れだ。


 宿屋の店主にはかなり感謝された。

 実は、あのロイヤルスイートに泊まる客は滅多に居ないらしい。


 あの超高級ルームに泊まるのは王族くらいらしく、かなりの上客と思われてしまったようだ。

 是非ともまた来てくださいと何度も言われたほどだ。


 温泉も良かったし、部屋もかなり良かったので(ロイヤルスイートなので当然だが)またお金が貯まったら来ますと約束をした。


 打ち上げを毎回ここにしたいくらいだなぁ。

 ただ、ここに来るのにかなりの労力がいるので、そのうちポータルとかで繋がってくれないかなー。

 とちょっと他力本願な事を考える。


 今回もユニオンメンバー全員で移動するので、当然"ゴンドラ"にて移動する。


 今回この町の住人にとって問題だった"溶岩窟の主"と"火の鳥"をかなり討伐したことによって、ある程度従来通りの生活が出来る目途が立ったみたいで、出発するときに手の空いている住人達が総出で見送りをしてくれた。


 この町のギルド長からもかなり感謝されて、いくらか報酬を上乗せしてくれたくらいだ。

 さらに、今後も何かあればユニオン【ウィンクルム】を指名させてもらうと言っていた。


 この世界で生きていく上でギルドとその町の住人からの信用は高い方が断然にいいので、今回の遠征はかなり上手くいっていると言える。


「このまま取引出来る可能な場所が増えたら、交易商をやるのにも良さそうだ。この先も困っている人達がいたら率先して手助けしていこう」

「ええ、いいと思います。西大陸【ウルガイア】にもいくつも村や町がありますが、栄えているサニアや王都ハイセリアと比べて治安が不安定なんです。そこからの救援はひっきりなしに来るといいます。王都から離れたこの南大陸【サウサリス】の村や町だと、王都の救援は見込めない分困っている人たちが多いはずです」


 サナティはこの世界の住人だ。

 悲惨な事件や知らせを何度も見聞きしてきたのだろう。

 だからこそ、その言葉には哀しさや祈りにも似た訴える力があった。


「全てを救うなんて大層な事は出来ないけど、目の前の人々を救うくらいは出来るよ。 …まあ、俺は英雄でもなければ、慈善家でもない。 それによって得られる利益を考えてから行動するから、あんまり大きな期待はしないでくれよ?」


 そう言って、ニヤッとちょっと悪そうに笑ってみるが…


「ふふ、そう言って目の前の人を見捨てれずに、つい助けてしまうのがユートさんの性格ですもんね」

「確かに…、俺らも結局助けて貰ったしなぁ。…あ、でも報酬はキッチリ取られましたね」


 アイナとカイトが苦笑いしながらそう言って俺に茶々を入れてきた。

 

「利益だけが優先の人であれば、こんな大人数が楽しそうに冒険なんてしてないと思いますよ。そんなユートさんを皆信頼しているって、ここにいる全員が分かっているんです」


 とてもむず痒いことを言われてかなり気恥ずかしいが、それでもみんながそう思ってくれていると分かって素直に嬉しく思った。


 だとしたなら、この関係をずっと崩さないでおきたいと思った。


「ったく、みんなお世辞がうまいなぁ。あ、そうだ。あんな高級宿はそうそう泊まれないからな?今回は特別だからそのつもりでな」

「「ええ~っ」」


 と一部のキッズから声が上がったが、大体がそりゃそうでしょって顔だった。

 どうやら、俺が思っていた以上に贅沢だと感じてくれてたらしい。


「ただ、ユニオンの収入がもっと増えてお金が溜まったらまたあの宿で贅沢に療養しに来ような?」


 おおー!と今度はほぼ全員から歓声が上がった。

 俺もかなり気に入ったので、また来たいと思ったし頑張って稼がないとだね。


 生活するのにメリハリは大事だ。

 だから頑張ればいい事あるって分かっている方が人間頑張れるもんだ。


 ───

 2回目ともなれば、空の旅も慣れてきていた。


 皆"ゴンドラ"内で思い思いに時間を費やしている。


 ガントは意外ほどに職人気質をここでも見せて、新しい鉱石を使って皆の武器を補修したり研磨したりしていた。


 なんだかんだでガントが居るおかげで全員の武器はいつも新品かのようにピカピカになっている。


 耐久が落ちすぎてこれ以上は研磨してもダメな武器や、ボロボロになった防具があると必ずと言っていいほど新調したものを用意してくれていた。

 

 さすがに全員に毎回新品を渡すことは出来ないようだが、それでも十分に戦力増強に貢献してくれている。

 かくいう俺も、双剣を何度か素材強化や錬成をしてもらったりしている。

 

 幾度となく激しい戦いを途中で武器破損しないで戦えるのはひとえにガントのおかげなのだ。


 そう言えば、メイアは最近裁縫スキルに目覚めたらしい。

 なんでも、サニアの服飾職人のおばちゃんから色々聞いているうちに伝授されたらしく、今では簡単な普段着や各自の下着などを作ってくれている。

 もちろん、服のほつれ等の修繕もやってくれている。


 そんなわけで、各自暇な時間を内職に費やしたり、運動しないで上げれるスキルの修練に使っていたのだった。


 ───

 カルデリアの街から2時間くらい経った頃、ひとつの村が見えてきた。


「お、やっと目的地かな?」

「ええ、そうでしょうね。位置的にはあの村が神殿に一番近いと思います。」

「おっけー、じゃああそこに降りよう。各自に通達!すぐ降りれるように支度してくれ」

『『了解!』』


 通信機越しに承諾する声が伝えられてきた。

 本当に魔道具というのは便利だな。


 村を降りると、車輪を取り出して大きな馬車に組み替える。

 魔獣タイプの仲間たちにゴンドラを引いて貰い、村の入口まで移動した。


 空から大きなドラゴンや魔獣が近づいてきた事に気が付いた村の戦士たちが戦々恐々としながらも、果敢にも武器を構えてこちらを警戒している。


 飛竜以外の成竜のドラゴンはすべてSランク以上なので、確実に格上なのに良くも逃げ出さないもんだな。


「おーい!警戒しないで大丈夫だぞ~!俺はユート、SSランクテイマーだ!こいつら全部俺のペットだから、安心してくれ~!」


 と、遠目でも分かる様にギルドタグを見せつつ大声で呼びかけた。

 そうすると、戦士たちの中から代表者らしきものが中心に立ち、俺達が目の前に来るのをじっと見ていた。


「ほう、王国の人間か? ここまで来るのは珍しいな。一体何用でこの村にやって来た?」


 代表者らしき者が、貫禄ある声でそう問いかけてきた。

 他の戦士達は構えは解いたものの油断はしていないようだ。


「俺達は、【ウルガイア】からやってきた冒険者だ。俺はユニオン【ウィンクルム】の盟主ユートだ。よろしくな」

「ほう、西大陸からわざわざここまで来たのか、それはご苦労な事だ。私はバサマ。この"サラマンドラ"が住む村の長である。…ふむ、そのタグは確かにハイセリアのギルドタグだな。よかろう、お主たちを客として迎い入れよう。付いてまいれ」


 バサマはそう言うと、てで俺らを招き入れる。

 それを見た戦士たちは、やっとほっとした顔になり村の中に戻っていった。


 村の中は町と違って舗装されたりしていないが、その分広い道が広がっているため"ゴンドラ"馬車も悠々と通ることが出来た。


 俺らのゴンドラ馬車をみんな物珍しそうに見ているが、その中に一人も人間らしい者はいない。

 ここはさっき言っていた"サラマンドラ"くらいしか住んでいないみたいだな。


 正直、言葉が通じて良かった。

  

 "サラマンドラ"は、リザードマンの亜種で見た目はリザードマンに近いが、ワニみたいな顔で全員の鱗が赤系で統一されていた。

 どうやら、火山地帯に適応した種族らしく熱にかなり強いらしい。


 長の誘導で中央まで進んできた。

 そこには、長の家があった。

 

「ユートよ、お主だけ中に来るがいい。付き添いは認めない」

「…そうか、了解だ。じゃあ皆、話が終わるまでここで待機していてくれ。それで敵意が無いと示す事も出切るだろう」

「「了解!」」「「承知しました」」


 全員から承諾を貰い、長の家に入っていく。

 普通ならひとりで見知らぬ家に入っていくなど無謀もいいとこだが、正直言って相手のランクを見る限り俺に勝てる要素は無い。


 村の長バサマ ランクB 種族:サラマンドラ HP:550


 …まあ、ぶっちゃけ瞬殺出切るだろうな。

 なのでここに招き入れたのは逆に信頼していると言うことなのだろうな。


「よく来たユート殿。 最初にドラゴンの群れを見た時には肝を冷やしたものだが、お主達で良かった。 こんな小さな村など、ドラゴン一匹で壊滅してしまう。 なので必要以上に警戒する必要があるのだ、先程の非礼は許して欲しい」


 そういうとバサマは深々とお辞儀をした。

 こういうのは、こっちの世界でもあるんだな。

 

「いえいえ、誰だってドラゴンやら大型魔獣やらがいきなり沢山来たらそうなると思うし気にしないでくれ。 こっちこそ、驚かせて済まなかったな」

「そう言ってもらえるとこちらも気が楽になる。 なにせ、お主からはドラゴン以上に恐ろしい気配がするのでな。…では、ユート達を村に歓迎しよう」


 ドラゴンより恐ろしいとか言われた事にちょっと引っかかるが、やはりランクが高いと相手に分かるんだなと再認識した。


「有難う、感謝するよ」

「ところで、ここには何をしに来たんだ?」

「ああ、近くに【火の神殿】があるだろう?あそこに用事があるんだ」

「…なるほど、フレイヤ様に用があるのか。ユート殿はもしや【勇者】様なのか?」

「まさか!ただ、加護が受けれるいいな〜と思って来ただけだよ」

「いや、そんな気軽に受けれるものではないんだがのう…」


 ちょっと呆れたような、困ったような顔をして(ワニ顔だから分かり難いが)そんな風に言われてしまった。

 真正直に『覇王』ですと言ったら、何が起こるか分からないのでそこは伏せておくことにしている。


 バサマの案内でキャンプを張れる一角を貸して貰えた。

 流石にこの人数を泊めれるような宿泊施設は無いという事だった。


 その代わりに共同施設の井戸やトイレや炊事場を好きに使って良いと言う事になった。


「ユート。ここには何日いる予定だ?」

「ん〜、今日一日かなー。すぐ終わればだけどね。」

「分かった。じゃあ、無理に風呂作る必要はないか」

「え、作れんの?」

「おうよ、組み立て式の簡易型を用意しておいたんだ。一回に数人しか入れないけど、何日も入れないよりもマシだろう?」

「そりゃあ有り難いな。時間がありそうなら用意してくれ」

「おっけ、じゃあ用意しておくわ」


 ガントはそう言うと、キャンプ設営している他のメンバーの方へ向かい場所を確保しに行った。

 相変わらず行動の早い男だ。


 一日とはいえ、風呂があるかないかでは気分は違うものだ。

 

 キャンプの設営をしている間にニケとカルマを連れて、村を一通り見て回った。


 村人の服装は、比較的暑い地域なのでかなり薄着が多いようだ。

 男は腰巻程度で、女性も胸を隠す以外は男とさして変わらない。


「ここにはサラマンドラ族しかいないのかな?」

「村の中には他の種族は見かけないですね。」


 そんなことをニケと話していると、服屋を見つけた。

 主に村人の服と、その服の修繕や染め物をやってるようだ。

 主婦らしい村人がひっきり無しに出たり入ったりしている。

 案外繁盛しているようだ。


「おや、さっき騒ぎになった冒険者かい?大したものは無いが、気に入ったものがあれば買っていってくれ」


 おばちゃん風のガタイのいい女主人に、何でもいいから買ってくれと声を掛けられた。

 何か変わった物はないかと物色していると、端っこの方に反物のようなのがいくつか置いてある。


「お?それは生地かい?」

「ああ、これかい?これは…おすすめはしないよ。涼しいしさらさらで手触りがいいのはいいんだけど、生地が弱くてね。私らじゃ一日ともたないから全然売れなくてね」


 店主に断ってから手に取って触ってみる。

 これは…


「店主、これはシルクじゃないか!なんでこんなものが?」

「おや、兄さんこの生地をしっているのかい?たまに物好きな人間が買う事があるが…そうか、人間なら破れないのかねぇ。」

「これはどこから仕入れたんだ?」


 この世界のしかもこんな所で絹に出会うとは思ってもみなかった。

 そういや、シルクの服や下着なんて王国でも見かけなかったな。 

 生産量が少なすぎて、あっちにまで流通しないせいか?


「これは…この村の外れに昔から住んでいる親子が持ってくるんだよ。耐久性が無いから、お祭りの衣装くらいにしかならないから、あまり高い値段で買ってやれないのは忍びないんだがねぇ。ただウチらと違う種族らしく、しろっちくてあんまり喋らないし、このテカテカした服を着ているから他の村人から気味悪がられているんだよ」

「へぇ…その親子はサラマンドラ族じゃないのか?まぁとりあえず、その反物全部売ってくれ。いくらだ?」

「えっと、1本銀貨1枚ってところだから…10本で金貨1枚だ、買えるのかい?」

「高く買えないって言ってた割には、いい値段だなぁ。まぁ、いいよ。はい、これね」


 そう言って、躊躇なく金貨を1枚渡した。

 まぁ、それでもかなり安価だと言える。


「本当に買うのかい?!いやぁ〜、ありがとうねぇ~。私も助かるよ」


 ガハハと笑いながらバンバン背中を叩いてくる。

 地味に痛いし、って俺にダメージを与えているだと?!

 …恐るべしオバちゃん。


「いてて…いやぁ、こちらこそいい物買えた。…それで、その親子の家は分かるか?出来たら場所を教えてくれないかな?ちょっと、会ってみたい」


 どんな種族なのか想像もつかないが、生活がギリギリ出来るかどうかくらいの値段で絹を作っているなら、少し色を付けてあげれば直接買い付けすることも可能かもしれない。


「あんた物好きだね。まぁ、別に構わないけどさ。ほら、そこから森に向かう道が見えるだろう?あそこをずうっと進んでいくと、その親子が住んでいる小屋がある筈だよ。あんた強いらしいから心配はしないけど、大きな虫の魔物とか出るから気を付けるんだよ?」

「そうなのか。教えてくれてありがとうな!また、来るよ」

「まいど~!」


 大きな手を振って見送ってくれる店主を後にして、言われた道を進んでいった。


 最初は徒歩で向かおうと思ったが、途中から面倒になったのでカルマに魔獣化してもらいニケと二人でカルマに乗って移動した。


「そう言えば、カルマに乗るのは初めてですね」

「ふん、主と一緒だから乗せてやるのだ。感謝するのだな」


 そんな二人の会話を聞きながら、どんな人物が待っているのか一人わくわくしていた。

 しばらくすると、森の中に入った。


 言われていた虫の魔物は出てこなかったが、遠目で何かに見られている感覚があった。


「どうやら、我らを警戒して出てこないようです。格下なりに相手の力量を見計らえる事は褒めてやろう」

「いつも上からだなお前は。しかし事実こっちの方が強いから出てこないだけなんだろうな」


 ものの数分で店主が言っていた小屋に到着する。

 すると、一人の少女が驚いた顔でこちらを見ていた。


「おかあさんっっっ!化け物が襲って来た~!!」


 と言うと、小屋の中にバンザイポーズしたまま一目散に逃げ込んだ。

 どうやらカルマを見て、魔獣が襲ってきたと勘違いしたのだろう。


 少女は白い着物を着ていたので、間違いなく絹を作っている親子の子供の方だろうな。

 小屋の中からどたばたと大きな音が聞こえて、しばらくするとしーんとなった。


 こりゃあ、どこかに隠れてしまったかもしれないな。

 取り敢えず中に声をかけてみようか。


「こんにちわ~!シルクを作っている方がいると聞いて来たんですが誰がいますか~」


 白い少女を見たのにわざと誰かいないかを確認する。

 返事がなければ、今日は一旦諦めるしかないかもしれない。


 しばらく待ってみると…


 ギイイイイイっと鈍い音がして、中から真っ白い顔に真っ白い長い髪の女性が少しだけドアを開けてこちらを覗いてきた。


 一瞬雪女か?と思ったがちょっと違うようだ。


「あら…人間ですか?珍しいですねぇ、ここに何の用事ですか?」

「突然にすいません、私はユートと言います。下の村であなた方が織った布を買いまして。その素晴らしい布を織った方にどうしても会いたいと思いまして来てみたのです。あ、家は店主に教えてもらいました」


 俺がそう説明すると、今度はちゃんと扉を開けてこちらに出てきた。

 ちなみに少女がドタバタしている間にカルマも人化しているので、どこにも魔獣はいない。


「もう、ペルラ!魔獣なんてどこにもいないじゃない。すみません、私の娘が大騒ぎしてしまって」


 そう言いながら出てきた女性は、こちらを見てほっとした顔で謝って来た。

 改めて見ると白い肌に白い髪、そして真紅の瞳に額の上には小さな白い突起…角が生えている。

 この親子は鬼族か?珍しいな。


「いえいえ、きっと私の馬を見て驚いたのでしょう。あ、申し遅れました。私はユートと言います。下の村に立ち寄った際に貴女が織ったという布を見付けまして。是非とも良い値段で売って貰えないかと思いましてここまで足を運んだんです」

「なるほど、商人様でしょうか?にしては…いえ、なんでもございません。 ですが折角足を運んでいただいたのに申し訳ないです。 村に卸している布はあれ以上安く売ると私達も生活が難しくなるので…」


 どうやら、村に卸しているよりも安い買いたいと言ってると思われたみたいだ。

 うーむ、言葉って難しいよね。


「ああ、そうじゃないんです。どちらかというともっと高い値段で買いますよって話ですよ。その代わり、今ある布を全部買い取らせてもらえないかと思いまして」


 これは本当だ。

 大量の絹があるならそれで着物を作れるし、さらに女性の下着とかも作れるだろう。

 コットン素材が悪いわけではないが、やはり絹製品というのは一度使うとなかなか離れられないものなのだ。


「ええ!?本当ですか…?それは願っても無いことですが…嘘じゃないんですよね?」

「もちろんです。信じられない様でしたら、その場でお支払いしても構わないですよ」

「…分かりました、では、お譲り出来る布はお見せしますので中へどうぞ」


 そういうと、俺らは家の中に招き入れられた。

 中に入ると所狭しと織り機や糸を紡ぐ機械などが置いてある。


 その一角にもぞもぞと隠れているがお尻だけ隠れていない物体を見つけた。


 それを見るや女性はぺしんっと軽く叩いた。


「いった〜い!お母さん、何するの!?あっ、さっきのコワイ奴!」


 涙目になりながらお尻をさすり、俺等から隠れるように母親の後ろに隠れた。

 名前は確かペルラと言っていたか。


「いつまでそうしているのっ!お客様なんだから、ちゃんとしなさい!」


 あまり喋らないと聞いていたが、どこの世界もお母さんになると変わるもんだ…


 早速いくつかの反物を出してくれた。

 どれも色を染めていないので真っ白だが、艶がありとても綺麗な生地だ。


 メイアとか見たら喜ぶだろうな…、今度一緒に連れてこよう。


「そういえば貴女は、もしかして鬼族ですか?」

「はい、そうですよ。あ、申し遅れて失礼しました!私はパールと言います。この子は娘のペルラです。 私達は東大陸の魔王から逃れてきた、"白夜叉"一族の末裔なのです。 夫が早くに亡くなってしまい、この村にもう私達だけなので珍しがられてますが100年以上前からいるんですの」


 それから少し昔話を聞かせてくれた。


 ───百年前の事。

 "白夜叉"達がここに定住した理由。

 そして、火焔の守護者と言われる所以を…。


つづく。


いつもご覧になって頂いている方々、本当に有難うございます。


日々、評価やブックマークが増えていき、皆様に応援されているようでとっても励みになっています。


是非よろしくお願いします。


2~3日中に更新予定です!

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