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おっさんテイマーは、はばからない!〜ソロテイマーだったのに、気が付いたら最強組織を作ってました〜  作者: 琥宮 千孝(くみや ちたか)
第三章 (覇王覚醒編)

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不死鳥と元飼い主のおっさんテイマー。

フェニックスを見つけたユートは、早速戦いを挑むのだった。

「手は抜けないから、死ぬんじゃないぞ?"ニクス"」


 LBO時代に最後にテイムしたペット、それはこの"フェニックス"だ。

 近づくだけで炎のダメージを受けるので、難易度が高くてかなり手こずった記憶がある。


『それはこちらのセリフぞ。さぁユートよ、始めようか!』


 ニクスは内心かなり焦っていた。

 たった2ヶ月程で自分よりも格上に昇格している元主を見て、全力で戦っても勝てる気がしないのだ。


 "どこの世界にSランク悪魔より強いテイマーが存在するというのか。

 

 …なのに、この胸の奥の気持ちはなんじゃ?"


 そう…ニクスは、歓喜に満ち溢れていた。


『最初から全力で征くぞ!〈不死鳥の嵐フェニックスストリーム〉!!』


 ニクスの周りで炎が踊り狂う。

 その炎は周りに広がっていき、空気すらも焦がしていった。


「じゃあ、俺も最初から本気でいく。〈幻体龍神〉!」


 "竜玉"を掲げて幻龍の力を解放する。

 そして、すぐに〈幻惑術イリュージョン〉を使って"幻体"を呼び出した。


 〈闘神マルス〉を解放すると同時に、〈転送術テレポート〉を使ってニクスの虚をついた()()()同時に神秘術ミスティックで氷属性を付与した双剣での攻撃と、〈錬気撃オーラショット〉による攻撃を繰り出した。


『な、なんじゃそれはっ!ぐああああっ』


 初めて見る攻撃に躱す術もなく、直撃を喰らうニクス。

 そのまま地面に叩きつけられるのだった。


 すかさず追いかけて追撃を掛けていく。


「「うおりゃああああああああ」」


 オーラを纏った二人のユートの拳がニクスを空に打ち上げた。


『グゥウッ、なんという威力なのじゃ!?でも、この程度ではまだ倒れるわけにはいかぬのじゃ』


 ニクスは、吹き飛ばされつつも空中で体制を整える。

 そして両翼を大きく広げて新たなスキルを発動した。


『発動…〈炎体分身〉!』


 フィアが使うスキルと同じスキルを発動する。

 その瞬間、ニクスは2体の分身を作り出した。


「やはりそう来たか…、でもこっちも二人いるんだ。負けはしない!」


 体力が少ない分身の方を狙い、神秘術ミスティックで氷属性を付与した後に弓矢でニクスを射抜いた。


『ふん、撃ち消せ!〈フレイムフェザー〉!』


 そういうと、分身も含め3体のフェニックスから炎を纏った羽根が矢のように次々と飛んできた。

 ユートも連続で矢を射って相殺していくが、数が多いので数本が体に触れてそこを焦げさせていた。


「時間を掛けるとマズい。ブリザード!」


 氷属性魔法を放ちつつ、自分自身はテレポートする。


 ニクスの背後を取り攻撃を仕掛けた瞬間だった。


『掛かりおったっ!〈カウンターエクスプロージョン〉!!』


 俺が攻撃をした分身体がいきなり爆発する。

 見ると同時に攻撃した"幻体"も同じく爆発に巻き込まれて吹き飛んだ。


「ちぃっ、幻体が消えたかっ!アクアヒール!」


 ポーションの栓を口で抜いて、中身を自分に振り掛けながら魔法で回復する。


 しかし、ここが潮時とばかりにニクスは攻撃を畳み掛けてくる。

 分身は弾け飛んだので単体での攻撃だ。


『妾の眷属よ、力を貸せっ!降り注げ炎の雨よ!〈フレイムレイン〉!』


 辺りに高温を発するまるで炎の槍が無数に降ってきた。

 俺はいいが、他のメンバーがヤバい!


「あわわわっ!火の槍がっ」

「全員防御態勢!メイア!マイニャを守れ!ニケ!みんなに防御壁を張るんだ!」

「畏まりました、旦那様!」

「承知しました、主様」


 あたふたしているマイニャを庇う格好でメイアはマイニャを抱き寄せた。

 そして取り出した大盾を天に翳して攻撃に備えた。


 ニケはいつの間にか精霊の姿になり、周りのメンバーに魔法による防御壁を張り巡らせる。


 これによりダメージはかなり抑えられるはずだ。


 カルマはというと、降ってくる炎の槍一本一本を器用に相殺させて霧散させていた。

 …相変わらず器用なやつだなぁ。


 俺はというと、『攻撃予測』で回避していく。

 数が多いが、ステータスが倍増しているので余裕をもって避ける事が出来る。


 相手の死角に入った瞬間、〈瞬間移動〉を使って背後に周り、更に幻術で姿を消して近づいた。


 真後まで近づき、両手でその翼を掴み捕縛する。


『なっ、いつの間に!妾とて幻術が使えるのに気が付かないとはっ!』

「気が付くのが遅いんだよっ!さぁ、もう逃げれないぞ?大人しくこのまま捕まって俺の元に来いっ!」


 ニクスは自身の纏う炎をより一層火力をあげて振り払おうとするも、強化されている俺から全く逃げることが出来無い。


 俺も流石に生身で触れれば火傷を負ってしまうが、オーラを拳に纏わせる事でガードしている。


 更に近づくだけで本来はダメージを受けるが、【氷晶】を持ってきているので殆どダメージを受けていない。


『くっ、離せっ!何という馬鹿力じゃ!』


 ニクスはバタバタと翼をはためかせようとするも、びくともしない状態に恐怖を覚える。

 

 前に捕縛されたときは、様々な攻撃を受けて瀕死に追い込まれた上に調伏されて支配を受けたという記憶がある。

 嫌いだとか恨みとかそういう感情は全く無いが、あまり忠誠心は無かった。


 あの頃のユートは、この様な絶大な力を持っていなかったし、それに仲間になって日が浅いうちにこちらの世界に飛ばされたので、まだ絆も結んでいなかった。


『前の記憶が無いわけじゃ無いけれど、それは妾の記憶ではない。だからおいそれとお主に従うわけにはいかないのよっ!奥義!〈バーニングバースト〉!!』


 ニクスは体を構成する魔力を全て炎に換える。

 そして鳥の形をした炎そのものになった。


 辺りの空気すら燃やし、全てを焼き尽くさんとするその炎はユートにすら大ダメージを与える。


 そして、その炎は凝縮されたかと思うと一気に膨れ上がり爆発したかと思うと、あたりを爆炎が包み込んだ。


 ゴォォォオオオオオオオッ!!と燃え盛る炎の化身になったニスクはユートの手をすり抜けて、あたり一面を炎の海へと変えた。


「こんな奥の手があったのかっ!厄介なスキル持ってるな」


 爆発時に吹き飛ばされて、かなりダメージを受けるも直ぐに魔法とポーションで回復したが幸い()()()()()()()()()()ようだ。


 流石にこれやったら倒してしまうかもと思ったが、実体を持たない相手にちまちまとダメージ与えてもあまり意味がない。

 一気にダメージを与えて、魔力をごっそり奪う必要があるのだ。


「不浄を取り除け〈聖浄〉!…我に力を〈天啓〉!」


 『神聖術セイクリッド』スキルで状態異常回復で火傷を治し、さらにステータスアップスキルを使う。


「魔に属する炎の鳥よ、我その力を封じる。〈悪魔支配デーモンルーラー〉!」


 さらに悪魔能力低減スキルを使い、相手を弱体させる事に…成功!

 よし、あとは攻撃あるのみ!


「全てを凍てつかせ、その命を止める!アブソリュートゼロ!!…更に凍てつかせよアブソリュートゼロ!!」


 最高位氷魔法を、連続で撃つ。


 クアアアアアアアアアンッ!

 と甲高く炎の化身が哭く。


 全てを凍り付かせる魔法により、その姿が幾分か小さくなった。


「…命の源たる魔力をチカラに換え、神すら撃ち抜く神槍とならん…」


 オーラを極限まで圧縮し白く輝く槍に変化させる。


 この技は…この世界のユートが編み出した奥義。


 彼からのプレゼント。


 特別にお前に見せてやろう、俺だけが使える奥義を!


「〈神葬の槍(ロンギヌス)〉!!」


 フィィィィィィンッ!と何かが振動するかのような音を発しながら、光速でニクスを穿いた白きオーラの槍は、そのまま天に向かって消えていった。


 ど真ん中を穿かれて炎をの大半を失ったニクスは、炎の化身状態を維持できずに元に戻ると、地面にドォォンと音を立てて落ちた。


『ハァハァ…ここまでかのぅ…まさかお主が覇王の種子を持つ者だとは…』

「どうだ、流石に降参しないか?もう殆ど魔力も残ってないだろう?」


 〈神葬のロンギヌス〉は全てを穿き、生命力を奪うと共に魔力を破壊する『錬気術オーラ』の最高スキルだ。


 その槍は()()()()()()とある。


『うむ…妾は満足じゃ。主に従おう』


 そう言うと、ニクスが微笑った(ように見えた)。


 〈幻体龍神〉が解けた俺はゆっくりとニクスに近づいた。


「『調教師テイマー』スキル発動、俺に従え〈調伏プロテスト〉!」


 手を翳してスキルを発動すると、ニクスは光り輝く。

 光が収まると、ニクスがパーティーに加盟しそのステータスの横に[親愛]のマークが、ニクスの首元に従属の証となる紋章が刻まれた。


 突然ニクスが炎に包まれる。

 警戒して構えるも、次に炎から現れたのは中国后妃が着そうな赤い綺羅びやかな着物を着た美しい女性だった。


 そして彼女はそのまま地面に両手をついて伏して人の言葉を発した。


「此度、主殿に多大な迷惑を掛け、試す様な事をして申し訳御座いませぬ。これより妾はニクスと名乗り、主殿に一生の忠誠を誓いまする」


 こうして、ニクスは再び俺の仲間ペットとして忠誠を誓うのだった。



「全く、人騒がせなヤツだ」


 カルマさん、それを貴方が言いますか?


「はぁっ〜。テイマーって、こんなに大変なんですか…??」


 ここまでの一部始終を見ていたマイニャがあ然としながら呟くが、心中お察しするのでフォローしておく。


「ここまで激しいのは、特別なヤツ相手のときだけさ。こう見えて、ニクスはSランク悪魔だからな」

「え、フェニックスって神鳥じゃないんですか?」

「ああ、正確には悪魔族だ。ただ、精霊に近いから神の鳥と言われる事は多いな」

「うむ、妾は遥か昔に【爆炎の大精霊アグニ】からこの地を任されて守護しておるからな、そう思われてもおかしくはないのう」


 戦闘で魔力を失ったお陰で気怠そうにしながらも、しっかりと立って話をするニクス。

 さすがプライドの高いフェニックスだ。


「さて…主殿には話さねばはならない事がある。この先に祭壇があるのでついて参られよ」


 急に真顔になり、何も無い火口の方へ歩いていくニクス。

 何も無いのにスタスタ進んで行く彼女を訝しんでいると…


「妾は【エトナ火山】の守護者フェニックス。彼の者を誘う入り口を開放せん!」


 そう言って、右手を翳すと何も無い所から蜃気楼のように神殿が浮かび上がり、そこへの階段が出来上がった。


「普段はこうして、見えないように隠されているのだ。さぁ、参りましょう主殿。あ、他の精霊は入れないので主殿だけで参られよ」

「…分かった、行こう」


 ニクスに導かれて【爆炎の神殿】に入っていく。

 意外なのが、ニケもカルマも特に止める様子は無かった。


 その事からも、ここは本当に神殿で特別危険な事は無いという事だろう。


 リンやレーナ達は、待っている間に"ファイヤーバード"達を仕留めてくると言って狩りに向かったようだ。


 

 神殿の中に入るとそこには様々な彫像が置いてあり、昔からあるとは信じられない程に綺麗な場所だった。

 

 特に他の精霊が襲ってきたりすることも無く進む事数分、ソレはそこにいた。


『やって来たか、選ばれし人の子よ。我はこの神殿の主にして【爆炎の大精霊アグニ】だ』

「爆炎の大精霊?火の大精霊じゃなくて?」

『我が司るは、爆破のチカラ。火の精霊から派生したもの也』

「じゃあ、火の大精霊は他にいるってことか?」

『火の大精霊は我の姉でもある【火焔の大精霊フレイア】という。あ奴はこの地よりも北の【火の大神殿】に祀られておる。そのうち行かねばなるまい、覚えておくが良い』

「そりゃ親切にどうも。で、俺に話というのは?」


 ニクスは俺に話さないといけない事があると言っていた。

 それはこの大精霊にも関ることなんだろう。


「主殿。妾はこのアグニ様の眷属であり、化身でもあるのじゃ。ここにおるアグニ様は、主殿のような"資格のある者"に力を授けるために存在する残滓の様なものじゃ」

「ほほう、そうなのか。で、"資格のある者"ってなんだ?」


 そういや、カルマとニケがそんなような事を言っていたな。


「お主も知っているのだろう?『覇王』のスキルを持つ者よ。それはこの世界を統べる事が出来る大きな力を持つ。この世界の【勇者】でも持つ者が少ない希少なスキルなのだ。それを持つ者は、すべての精霊から祝福を受ける」

「祝福?」

「そう、簡単に言えば専用スキルを獲得することが可能だ。しかも、スキルスロットの消費なしでの」

「え、スキルスロット?ニクスもLBOの記憶があるのか?」

「うむ、妾はニケやカルマと違い、こちらの魂がベースとなり記憶のほとんどがこちらのものだ。なのであちらの知識や記憶は覚えているというよりも、吸収したというべきかの」

「なるほど、じゃああっちの事は知識として分かるという程度という感じか?」

「うむ、それで大体合っておるよ。なので妾はこちらの世界の者じゃ。そこだけは覚えておくが良い」

「なるほど…そういうパターンもあるんだなぁ」


 俺やニケ、カルマはこちらの世界に元々いた同名の存在に上書して生まれた存在だ。

 元居た者たちは吸収されているか、消滅しているかのどちらからしい。


「ちなみに、お前たちの様な者を『来訪者』と呼んでおる」

「『来訪者』か。まぁ、ぴったりな呼び名かもな」


 他の世界から生まれ出ずる『来訪者』は、元から強力な力を持って生まれるが、『覇王』を継承する例は聞いたことがないという。

 

 稀に『魔王』を継承して生まれる存在もいるらしが、それはまた別な話である。


「なのでお主のような人間は全くもって珍しいのじゃよ。…それはさておき、汝に"継承の儀式"を行う。それこそがここに呼んだ最大の理由じゃからの」

「なるほど、それでスキルを獲得できるんだな?」

「その通りじゃ。さあ、祭壇に上がりアグニ様に触れるのじゃ」


 言われた通りに祭壇に上がりアグニに触れる。

 するとステータス紋の周りに7つの紋様が浮かび上がる。


 そのうちの一つが強く輝いた。

 どうやらこれが爆炎の紋様なんだろうな。


 それと同時にスキルが覚醒する。


【スキル『爆炎撃エクスプロージョン』が覚醒しました】


 とどこからか聞き慣れない、誰かの声が聞こえた自分のスキル欄にひとつ『爆炎撃エクスプロージョン』が増えているのを確認した。


「おめでとう主殿。これで【爆炎の大精霊】の加護は与えられた。これにより我がここでの使命も終りじゃ、次代の【覇王】が生まれるまでは自由の身じゃ。さて、外に出ようかの」


 ふと祭壇を見ると、いつの間にかアグニも消えている。

 役目を果たし、消えてしまったのだろうか?


 ───汝に、幸いあれ。


 どこからかそんな声が聞こえた気がした。


 こうして、俺はフェニックスを従えただけでなく新しいスキルを手に入れるのだった。


 ───残り、6つ。

※キャラ名が被ってたので訂正しました。

既にお読み頂いている方、大変申し訳無いです。


いつもご覧になって頂いている方々、本当に有難うございます。


日々、評価やブックマークが増えていき、皆様に応援されているようでとっても励みになっています。


是非よろしくお願いします。


次回は休日投稿予定です。

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