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たとえどんな世界でも  作者: 進藤 真道
第1章 努力するとは決めたんだけど、一体何すりゃいいんだろ?
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第10話 神様の事情

 さっきまで学校にいたはずなのに、今は辺り一面真っ白な景色が広がる世界にいた。

 景色も違えば、さっきまで隣にいたはずの水原もどこにも見当たらない。


 突然の怪奇現象についていけない。ついていけてないのだが、怪奇現象はそんな思いは汲み取ってくれない、それは畳み掛けるように襲ってくる。

 世界が歪んでいるときに聞こえてきたあの声が、また頭に響く。


「やぁ、内海昴だね?これから僕は君の恋愛のサポートをさせて貰うよ」


 えっ、なんで、こいつ……頭に直接……っ!

 いや、意味がわからない。ここはどこ、なにが起きたの、水原はどこ!?

 混乱しっぱなしだが現状把握がしたい、俺は叫んだ。


「恋愛のサポート?いやいやいや、それよりもここどこさ!声のアナタは誰なのさ!」


 声を張り上げながら辺りを見回すが、辺りはただただ白色が何処までも続いているようで、どれだけ見渡しても目がチカチカするだけで、何も見当たらない。


「ここは僕の作った空間だよ。そして僕は恋愛の神様。僕の事、知らない?あ、見えてないのかそうだよね。生きてる次元が違うんだもの。うーん、じゃあこんなんでどうだ!」


 謎の声がそう言ったかと思うと、目の前に突然、背中に翼の生えた水原が現れる。


 うぉ、水原はやっぱり天使だったのか!超可愛い!

 ……って違う、そうじゃない!

 姿かたちは間違い無く水原なのに、この天使は何かが違う……神々しすぎる。

 それから、愛しさが湧かないと言うかなんというか……。

 うん、でも超神々しい。そうか、この方が恋愛の神様か。

 なんか、水原の姿してると調子狂うなぁ。


「おや、お気に召さなかったみたいだね。君の一番可愛いと思う姿になったつもりだけど。うーん、ならこんなのはどうだ」


 おぉ!!翼の生えた水原神様の姿が変わっていく。

 神々しい翼の生えた……母ちゃん!?


「……チェンジで」


 その後、図々しくも何度か変身してもらった。

 どうやら生きる次元の違う俺に認識してもらうには、俺の知っている姿にならなきゃ行けないらしい。

 最近やっていたRPGゲームのヒロインに変身した時「……チェンジで」は終わった。


 神様が目の前で、自分の姿をキョロキョロと見回して、へーとか、ふーんとか楽しそうな声で言っている。

 今の神様の姿はゲームのヒロインなのだ。もちろん美少女である。

 まぁ、そのキャラは病弱な深窓の令嬢のロリキャラで、儚げなその姿がとても人気なのだが……せっかく神様のオプションとして翼が生えてそれっぽい進化を遂げているのに、彼女は病弱なのが良いのに。

 神様の元気すぎる行動を原作レイプだと思った。


 神様はきゃっきゃとはしゃぎながら一通り自分の姿を確認した後、こちらに向かって凄く元気に胸を張ってどうだと言わんばかりの仁王立ちをしているのだ。うん、可愛いけどさ。

 そう言えば、あまりの超常現象っぷりに我を忘れて図々しくしていたが、この人は神様なのだ。こんなことができるなんて間違い無く普通の人ではない。


 あれ、すごい人に対してめちゃくちゃ無礼だったんじゃないか……。


 神様の姿を見ていると、その背中に生えた翼、間違いなくゲームのキャラクターであるその姿、何度も変身をしたその力などなど、考えれば考えるほどその神秘の力を実感する。

 この人は神様なのだと、そこで初めて認識をした。

 今までの行動が恐れ多くなって、顔から血の気が引く。


 ヤバイ!こんなことできる人に対して俺は何をしていたのだろうか!


「恋愛の神様、すみません!ここの事も、アナタが誰なのかもわかりましたぁ。先程のご無礼をお許しください!」


 全力で土下座する。


「ん?いーよ。この姿可愛いし!」


 凄い人だから全力で謝ったのだが、ロリキャラの姿で全く気にしないと言われると拍子抜けだ。

 軽いなこの神様。

 この様子なら今わかんないこと、いろいろ質問しても許されるかな。しかし、さっきみたいに失礼な態度はダメだ。

 恐る恐る神様に声をかける。ちゃんと失礼があってはいけないと、全力での土下座を続けながらだ。


「あのー、ここの事とアナタの事は少しわかったんですけど……状況が全く理解出来ていません。今俺は一体どう言う状況なんでしょうか!」

「君は、ずいぶん面白い子だねぇ。良いよ。何故僕が君の前に来たのか。それから今から起こる事、僕の手を貸すルールを一から全部教えてあげよう」

「ありがとうごぜぇますだぁ!」


 平服しすぎて一昔前のお百姓さんみたいな発言をしてしまった。

 そんな事はまるで気にしない神様はどんどんと説明を続けてくれた。


「まず、何で君の前に来たかだけどね。僕は君たちが言う、学校の校舎裏の樹ってやつに住んでる。僕はそこで告白をした人間達の恋のサポートをしている神様なのです!」

「校舎裏の……樹。ええええぇ!俺、あの、ヒドイ振られ方しちゃうって七不思議のある、あの樹の下で告白しちゃったの!!」


 水原に口を滑らせヒドい失敗をしたと思っていたが、失敗は口を滑らせた事だけじゃなかったらしい。


「僕は手伝いをしてるだけだからねー。確かに僕のサポートだと、振られちゃう人は、普通よりヒドい振られ方をしちゃうかな。でも、それは他の場所で告白が成功しててもどーせ今後別れてた人達の言ってる噂だよ!その噂はむしろ、僕がちゃーんと、あの樹の下で起きた告白を漏れなくサポートしている証拠だよ!」

「そう……なんすか?」

「うん!」


 神様は元気よく答える。

 そうかぁ、神様のサポートは悪くないんだな!

 むしろ、あそこでお祭り気分で告白する奴らが多いから神様がちゃんと好き同士を間引きしてるってこと、なのかな?


「まず第一にね。神様ってのはいっぱいいて、みんな人間が好きです!でも神様にもルールがあって、ほいほい力を貸してあげられないの!だから自分の力を使える場所を限定するんだよ。あのねー僕、今は樹に住んでるけど昔ここには僕を祀った建物がちゃんと有ったんだ。恋愛の神様がいる所ってね。でもさー、僕真面目に相性良いか見るからさ……。付き合える人も少なくて、しまいには壊されちゃった。……ここまではわかった?」

「はい!なんとなくわかります!」

「日本は何処に行っても他の神の土地がどーとかでさ。住処の無くなった僕が他の所に行くのも難しいんだぁ。で、あの頃は僕を敬う人も全然いなくって、暇な神様でしょうがなかったよ。でもさ、ちょっとしたら僕が住んでた所に1本の樹が生えてきた。この場所には愛着もあったし、僕はそれを住処にして壊された建物の代わりにしたんだ。それがあの樹なのです!」


 神様も色々と苦労する事があるんだなぁ……今までの話を要約すると、仕事に一生懸命なサラリーマンが、仕事を認めてもらえずホームレスになって、住む場所にも困り、結局木に住みだしたって所だな。


「ま、僕が直接宣伝活動が出来るわけでもないし、生えてきたばかりの木に中々人なんて来ないよね。でも、もうちょっとすると学校なんて大きな建物が建ってね!そりゃもうびっくり!これまで凄い暇だったし、ちょっとめんどくさくてもこの土地から移動しちゃうぞー、カウントダウン始めちゃうぞーって矢先さ!学生ってのは校舎裏で良く告白をするみたいで、それを手伝ってたら一部の人が噂してくれてね!お陰で今は大盛況!僕はあの樹の下で告白をした男女にはもれなく力を使っているのです!……ふぅ、わかった?」

「ははぁ!何となくふわっと理解いたしましタァ!」

元ホームレスの恋愛の神様が内海昴の前に姿を現した

神様は恋愛のサポートをしてくれるらしい

内海昴は神様のサポートを受けて異世界へと旅立つ

でも、神様にも色々ルールがあるみたい


次回『たとえどんな世界でも』

第1章 最終話

エピローグ 異世界は突然に


《原色高等学校幻の八不思議》

次回を読まない生徒は、幸せになれない

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