年齢を聞いてはいけないあの人
コンビニの棚上げ作業は思ったよりも大変だった
~男子寮~
そこは秘密の花園。
1人一部屋のワンルームマンションがそのままある感じだ。
元からかなり大きいマンションだったが、第二都市中央大学が拡大して別の場所に移転したため、大学生の使用者がいなくなり、2人1部屋だったのが1人1部屋になった。
それでも空き部屋も大量にあり、各自自由に使用している。
入り口には寮母がいるが、話は通っているようだ。
玄関にはこちらに渡す様の毛布やマットレスが置いてあり、他にも寮生が体育館に向けて余っている寝具を運んでいる最中であった。
『お勤めゴクロー様です!!』
俺達は並んで頭を下げた。
「あら蓮ちゃん、用意はできてるわよ、そこに置いてもらったから運んで頂戴ね」
『ういっす』
寮母は怖い。
俺の親父が子供の頃から同じ顔だそうだ。
化物なのか子供が全員同じ顔なのか…脱皮して中から同じ人が出てくるのだろうか?
親父の知り合いと言うことはもう40代だろうに大学生に見える・・・
「今何か考えたかしら?」
寮母が笑顔でこちらを見てきた。
「な、なんでもありませんっ!、運ばせていただきます!」
目線を合わせないように急いで台車に載せて移動した。
寮母はニコニコしながらこちらを見守っていた。
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「危なかったっすねアニキ」
「ああ、アレは関わってはいけない人だ。毎年関わった何人かが体調不良で記憶喪失しているらしい。」
「アニキでも勝てないんスか?」
「アレは勝つとか負けるとかじゃねえ、”気づいたら意識がなかった”って奴だ」
力とは別の”何か”があるんだろう。俺の母親もそうだった。
仮にアレが一般人だとしても、ソレはソレで恐ろしい。
旦那になる人はきっと干からびて倒れるだろう。
俺と健児がのんきにそんな話しをしていた時。
【ヴヴヴヴヴヴヴヴ】
…ん?
革命のヴァル?
【ヴヴヴヴ】
…………ッッッ!!!
目の前に蜂がいた。
「…オワッ!!」
なんじゃこりゃ!
「ゲエェ!」
「おおおおおおおおおお」
「ヤベエエエエエ」
「でけえええええ」
皆が俺の悲鳴を聞いて蜂に気づいた。
至近距離で見るとすげえグロい。そしてうるさい。めっちゃビビった。
普通のサイズがキーホルダー程度、だいたい5センチ位だろうか。
大きくても精々野球ボール程度だろう。
しかし、目の前にいたのはバスケットボールの大きさを超えていた。
大きいと言っても限度があるだろッッ