キラー・ビー
田舎の虫はデカイ
「おおお、落ち着けっ!」
おれは目の前のでかい蜂を見て後ずさりながら叫んだ。
「蜂は警戒モードと戦闘モードがある、アゴをカチカチしたりしてない限りいきなりは襲われない!」
「でもデカイっすよ!」
「犬と同じかも」
「蜂は明るい方へむかう習性があるのだよ。
更に攻撃する前に纏わりつく。
むやみに攻撃せず姿勢を低くして距離を離せば問題はないのだよ。」
『知っているのか工藤!』
皆が声を揃えて台車を押していた工藤を見た。
「常識なのだよ。所詮大きいだけの蜂、素手で触らなければ刺されもしない安全な虫なのだよ。
残念ながら蜜蜂ではないので蜂蜜は期待できないが、丁度毛布も有るし被せれば踏んで終わりなのだよ」
普段のゲーム知識だけでなく学校の知識自慢が出来て嬉しいらしく、工藤がビビりながらドヤ顔でニヤニヤするという面白い顔をしていた。
激しくウザい。
説明口調になる時だけだよだよになるし。
「虫取りカゴあれば自慢できるのにな。ん?おお、ラケットあるじゃん俺。」
持ちたいだけで持っていたスイッチを入れたら電流が走るラケットに今更ながら気付いた。
これハエや蚊対策だったけど蜂にも使えるんかね?
「とりあえず毛布もって、かかってくるようなら投網してみるか」
『ういっす』
くるのかこないのか、こないのかくるのかどっちなんだい!
こなーーーーーーーーーーーーい!
…
皆で毛布を投げようと身構えていたが、ヴヴヴヴ言いながら学校外の柵の方へ飛んでいった。
「追いかけますか?」
「……いや、いいだろう。デケーからビビったがただの蜂だ。
まわりに注意喚起するだけにして作業を急ごう、暗くなってきたしな」
もう夕方過ぎだというのにまだ毛布すら運び終わっていない。
体育館の方へこれからの確認やら食事の準備やら電気の準備やらしないといけないのに、虫がデカイ程度でかまっていられん。
俺は手元のラケットをブンブン振り回しながら思った。
どうせなら使いたかったな……。
なんで持ってきたんだろ、扇子のがセンス良いわ…。
蜂蜜か……林檎と蜂蜜……キャンプといったらやっぱカレーだよな。
夜飯はカレーにするか…。
あまりのデカさにビビったが、蜂のお陰で今夜の飯が決まったので感謝した。
戦うんじゃないんかーい!




