備えあれば憂いなし
虫を無視しようとしたら虫に無視された。
今夜はカレーにしよう。
他にも蜂が居ないか確認しながら部室へと戻る。
道すがら足元にコーンポストと紐で作られた体育館までの道が出来ていた。
何箇所かダンボールにマジックで矢印まであった。
学園祭の看板の有効利用しているのか…。こういう時でも冷静に考えられる奴は凄いな。
冷静に、冷静にか………。
たしかに冷静に考えられていたつもりだったが、結局俺は毛布毛布飯飯って発想しか頭になかった気がする
…。
部室にはキャンプ用品がいっぱいあるし、LEDランタンやヘッドライト等が予備分まであるけれど、あくまで20人分程度までしか無い。
非常食は1年分以上あるけどあくまで部員12人計算でだ。
学校にも災害用非常食はあるし、学食やレストラン、購買にも食料は一杯あるだろう。
だが復旧まで半年以上かかるはずだ。
自衛隊などから支援物資が届くとしても、各避難場所に来るまでにはしばらくかかると思う。
学園から俺達の物を後で払うからよこせと言われると現状に不安が残る。
そして何よりも俺がマズイ飯を喰いたくない!
よし、決めた。
「今夜はカレーにします」
『ういーっす』
「ソレにあたってカセットコンロと鍋はあるけどガス缶に不安が残る。家庭科室は今頃皆使ってるだろうしな」
「電気なくてもコンロ使えるんスか?」
「スイッチまわして火花が出ないだけでマッチでもライターでも使えばいい」
「何百人の食事だから今頃エグいことになっているだろう。学食の方もあるがあっちは大人が回してるんじゃないかな?」
「問題は冷蔵庫が使えないって事だな。肉はすぐに腐るし野菜も痛むだろう」
「ソレってヤバくないっスか?」
「しばらくしたら乾パン、カップ麺、スパゲティ、缶詰だらけの食事になるな」
「水道管が破裂してたら貯水タンク分の水しか使えなくなるしな」
「自販機が結構あるけど、1日1台としても人数で割れば2週間程度、校門前のコンビニを使っても1ヶ月程度だな」
「ぶっちゃけずっと缶詰なら余裕で生きれるけど、ソレでいいか?」
「毎日カップ麺でもいいけど乾パンはな」
「ポテチがないと生きた気がしない」
「ポテチなら芋切って揚げればいいだろ」
「前作ったけどあんなパリパリしなかっただろ」
「んんwww役割がもてませんぞwww」
「そういう訳で遠征をしまーす」
『はーい』
「ワゴン車2台で食料買えるだけ、ガス缶とカセットコンロもな。キャンピングカーの方にはガソリン買えるだけ詰めといて」
「部活遠征用のバスは使わないんスか?」
「誰も大型免許持ってないだろ」
「持ってても瓦礫落ちてたりする道路で使えねーよ」
「てことは運転は蓮さんとゆーじさん、田中ですね」
「俺とゆーじがスーパーで、健児がスタンドかな」
「アレ?田中は危険物試験落ちてなかったっけ?」
「じゃあ田中はワゴンでゆーじがガソリン担当かね」
「そうだな」
「今はもう夕方だし、どこが崩壊してるかわからんから近場だけな。カレーを煮込む時間もあるし」
『了解でーす』
「金はいくらでもある。中には店を閉めてたり商品並べてたりで文句も言われるだろうから、何か言われたらまず金を見せろ。
カード使えないだろうからリュックから現金持ってけよ。
今は物資こそが金塊だ。っつってもすぐに復旧入るだろうけどなw」
『www』
「とりあえずビデオだけ回して、折角生放送のチャンスなのに電波ね~けどビデオで編集して鯖にあげよう」
「そうだな…タイトルは、”でもFPSやめれないんだけど”」
『www』
「でwんwせwつw」
「神動画w」
俺達はまだこの時、蜂の興奮や地震の被害があまりなかった事でもう終わった物と判断していた。
しばらくは学校キャンプ気分でわくわくしながら買い出しに向かうのだった。
異常事態でも冷静に判断できる一部の生徒と先生達。
一方で蓮達は見ていないが、ひたすらスマホいじってたり騒ぎを起こしている奴らがいるらしい。




