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百合営業のはずだった  作者: 星恋 hosiko


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20/20

百合営業のはずだった。

 ここまで『百合営業のはずだった。』を読んでくださり、本当にありがとうございます。


 ついに最終話です。


 最初は、“営業”という曖昧な言葉の中に隠れていた二人でした。

 でも物語が進むにつれて、その言葉では誤魔化せない感情が少しずつ溢れていきました。


 好きになるのが怖かったミオ。

 ずっと待ち続けていたレイ。


 二人がどんな答えを選ぶのか、最後まで見届けていただけたら嬉しいです。


 今回のテーマは、

「本物の気持ちは、最後にはちゃんと言葉になる」です。


 それでは最終話、どうぞ。

『こんばんは、Lily Crownです』


 配信開始。


 同時接続数、過去最高。


 コメント欄の流れが速すぎて、もう文字じゃなく光みたいだった。


『一周年おめでとう!』

『来た』

『何話すんだろ』

『緊張する』


 私も緊張していた。


 隣を見る。


 レイはいつも通りに見える。


 でも。


 繋がった机の下。


 そっと触れた指先が、少しだけ冷たかった。


 たぶん。


 レイも緊張してる。


「まずは一年、本当にありがとうございました!」


 拍手のSE。


 笑顔。


 いつもの進行。


 でも今日は、どこか違う。


 たぶん視聴者も分かってる。


 空気が静かだった。


「最初はほんとに軽い気持ちだったよね」


 レイが笑う。


「“百合営業やってみる?”みたいな」


『懐かしい』

『最初初々しかった』

『今は?』


 コメント欄が流れる。


 私は少しだけ息を吐いた。


「……最初は、本当に営業でした」


 自分の声が、少し震える。


「話題になればいいなって。距離近い方がウケるかなって」


 画面の向こうには、何万人もの人。


 でも今は。


 不思議と、怖くなかった。


「でも」


 私は、隣を見る。


 レイが静かにこちらを見ていた。


 待ってくれてる目。


「気づいたら、違くなってました」


 コメント欄が少しだけ遅くなる。


「配信終わったあとも会いたくて」


「隣にいるのが普通になって」


「嫉妬したり、不安になったりして」


 胸が熱い。


 でも、ちゃんと言いたかった。


「……好きになってました」


 一瞬、世界が静かになる。


 次の瞬間。


『!?!?!?!?』

『言ったーーーー!!』

『公式!!!!』

『泣いてる』


 コメント欄が爆発する。


 でも。


 私は、ちゃんとレイを見る。


 逃げないで。


「だから」


 小さく笑う。


「“百合営業でした”では、終われませんでした」


 隣で、レイが息を呑む音がした。


 そして。


 どうしようもなく優しい顔で笑った。


「……ミオ」


「なに」


「今、世界で一番かわいい」


「最後までそれ!?」


 コメント欄が笑いで埋まる。


 空気が一気に柔らかくなる。


 その時。


 レイが、そっと私の手を握った。


 机の上。


 隠さずに。


 一瞬、コメント欄が止まる。


 そして。


『うわあああああ』

『手!!!!』

『公開告白超えて公開恋人』

『ありがとう世界』


 私は少しだけ笑って。


 握り返した。


 配信終了後。


 画面が暗転する。


 静かな部屋。


 でも今日は、不思議と寂しくなかった。


「……終わったね」


 私が小さく言う。


 レイは隣で笑った。


「うん」


「怖くなかった?」


「怖かったよ」


 レイは正直に言う。


「でも」


 そして、優しく目を細めた。


「ミオと隠れなくてよくなったから、今めちゃくちゃ幸せ」


 胸がぎゅっとなる。


 私は少しだけ俯いて。


「……私も」


 そう言った瞬間。


 レイが静かに笑った。


 その笑顔を見ながら思う。


 最初はただの営業だった。


 演技で。

 仕事で。

 数字のためだった。


 でも。


 あの日、配信後に触れた熱も。


 嫉妬した夜も。


 “好き”を言えなくて怖かった時間も。


 全部、本物だった。


 だからきっと。


 これはもう。


 百合営業なんかじゃない。


 ただの、恋だった。

 『百合営業のはずだった。』

 最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。


 この作品は、“営業”という嘘から始まった二人が、少しずつ本当の気持ちを見つけていく物語でした。


 最初は触れる理由が必要だった二人が、最後には隠さず手を繋げるようになる。

 その変化を書けたことが、とても嬉しいです。


 特にミオは、かなり長い時間をかけて恋を認めました。

 でもその分、「好き」と言えた瞬間は、この物語の中で一番大切な場面になった気がしています。


 そしてレイ。

 たぶん最初からかなり好きでした。

 でも急かさず、待ちながら、それでもちゃんと伝え続けた人です。


 ここまで二人を見守ってくださった皆さま、本当にありがとうございました。


 感想、ブックマーク、評価、ひとつひとつがとても励みになっていました。

 「この台詞が好き」「この回が刺さった」など、もしあればぜひ聞かせていただけると嬉しいです。


 “百合営業”は終わりました。

 でもきっと、この二人の恋はこれからも続いていきます。


 またどこかで、お会いできますように。

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