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15話 黒幕

 夜なのに屋敷の周りが明るい。怒号と金属のぶつかる音がする。


 矢が屋敷に降ってくる。


 敵に襲われているようだ。


 庭の木に鎧を着た大人が弓を引いている。


 何となく分かる。あれは父だ。


 自分の体を見ると幼くなっていた。


 もう一度父を見やると矢に射たれていた。


 木から落ちる。


 屋敷に火の手が上がる。


 家の人たちで逃げようとしたら敵に捕らえられた。




 屋敷だった所は何もなくなり、寺を建てることになった。


 寺は嫌いだ。


 仏も嫌いだ。


 なのに働かされた。


 小さかった体が大きくなるまで働かされた。


 いつも鞭で叩かれた。


 痛かった。


 子供だった自分は腹の底から低い声で呻いていた。


「蘇我ー、蘇我!許すまじ!!」







 目が、覚めた。

 毎晩見せられている夢だ。

 きっと先祖の過去なのだろう。小さい頃より親に枕元で教えられた。


 この国の始まりから、先祖の衰退まで。


「蘇我を許すな」


 そう、言われてきた……



「お祖父様、楓。変わりは無いか?」


 ついついこの屋敷で眠ってしまっていたらしい。起き、妹達に会いに行く。


「ええ、何ともないですよ。お兄様こそ、またうなされてたみたいですがよろしいのですか?」


「あぁ。大丈夫だ。」


 かぐや姫、この親子を拾ったときはここまで物事が上手く運ぶとは思いもよらなかった。


 竹取りの御殿と呼ばれるところで男は提案を始めた。


「楓、蘇我の血を絶やすためにこのかぐやを使い国家転覆をさせると言ったが、それでは駄目だ。この国の再建を図るときに障壁になってしまう。先ずはこの娘を我が……」


 話終わらぬ内に来客が訪ねてきた。


「不肖石持、天竺より仏の御石の鉢を携え只今戻りました。何卒かぐやの姫にお会い致したく……あ、これは石上様。も、もしや先を越されてしまいましたか?」


「……いや、そう言うわけではない。ようこそ石持。いや、葛城王と言った方が宜しいか?」


 右大臣うだいじん石上麻呂足いそのかみのまろたりは快く客人の来訪を歓迎した。



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