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ヒロインも大切な人と、幸せになる



これにて完結‼︎


読んでくださりありがとうございました‼︎

また機会があったら、お会いしましょうっ‼︎


ではでは、最後までよろしくどうぞ‼︎


 







「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……アルティナ様が幸せになったのは嬉しいけど、殿下あいつが幸せにするのは気に食わないぃぃぃ‼︎」




 卒業パーティーからの帰り道。

 殿下が手配した(悔しい)馬車で帰る中……送ると言って同乗してシュンは、一向に無言だった。

 …………いつもはもう少し喋るんだけど……どうしたんだろ?


「シュン。ずっと黙ってるけど……大丈夫?」

「…………っ‼︎」


 シュンはハッと我に返ったように息を飲む。

 そして……視線を彷徨わせて逡巡すると……意を決したように、口を開いた。



「………………せい



「っっっっ⁉︎」


 今度は、私が息を飲む番だった。

 だって、その名前は……私の前世の名前。

 なんで、なんで……シュンが知ってる、のーーーー?


「…………俊太、だよ。俺は……俊太だ」

「…………は?」


 私は……言葉を失う。

 だって、そうでしょ?

 目の前にいるのが……前世で私の幼馴染だった人なんて……信じられる訳ーーーー。


「う、嘘だ……」

「嘘じゃない。よく近くの公園でピクニックした。桜の季節、花見に行く度に三色団子を買ったよな。夏祭りにはりんご飴、秋は焼き芋……冬は餅……どんだけ買うんだよっていつも思ってた。そう言えば、星は〝美味しいモノがわたしをゆーわくするから、仕方ないのっ‼︎〟って答えてた」

「っ‼︎」

「男なんだから俺が走るのが速いのは当然なのに……駆けっこをするたびに、勝てないって号泣してた。思春期ぐらいか……ちっさい頃は男女なんて意識してなかったのに、意識するようになっちゃって。お前が好きだったのに……恥ずかしくなって、距離ができて。そっから疎遠になった」

「………………」

「そのうち、彼女ができてさ。全然連絡取んなくなって……俺がお前のことを知ったの、葬式の時だったんだぞ?」


 ぽたりっ……ぽたりっ。

 シュンの目から涙が溢れ始める。


「まぁ……結局。彼女とは別れて、社会人になって。ずっと……お前のことが忘れられなくて。そしたら、トラックに轢かれそうになった子供の代わりに死んじゃったけどさ。また……お前に会えるとは思ってもなかった。前世の話も、ちゃんと聞いときゃよかった。そしたら、もっと早くステラが星だって気づいたのに」

「…………俊太……」

「あぁ……グタグタ言うのは、もう止めたんだった。伝えられなかったこと、後悔したからさ。星……いや、()()()


 シュンの暖かな手が、いつの間にか溢れていた涙を拭ってくれる。

 そして……優しい笑顔で、彼は告げた。



「最初は巻き込まれたことに苛立ちを抱いた時もあったけど……今は、巻き込まれてよかったって言える。だって、お前と会えた。お前と共に過ごせた。誰かのために頑張れるお前は、とても眩しくて……素敵だ。俺は、そんなステラが好きだよ」



「っっっ‼︎」


 胸が熱くなって、言葉が上手く出なくて。

 きっと、私の顔は涙でぐちゃぐちゃだ。

 だけど、それでも……言わなきゃいけない。



「わ、私もっ……‼︎ 私も好きだよっ……‼︎」


 無関係なのに、私が巻き込んだのに……シュンは手を貸してくれた。

 力を貸してくれた。

 そんな優しい人……好きにならない方がおかしいよね?


「シュンっ……‼︎」


 馬車の中だというのも気にせず彼に抱きついて。

 私より大きな身体に、抱き締め返される。



「本当の、恋人になろう。ステラ」

「うんっ‼︎」




 私は、満面の笑顔を浮かべながら……頷いた。






 *****








 なんだかんだと殿下とアルティナ様の関係が丸く(?)収まり……私とシュンも結ばれてからというもの……私と殿下は相変わらず戦ってる。



 主にアルティナ様のことで。









「はぁんっ‼︎ そんなことも分からないんですか⁉︎ アルティナ様に会うアクセサリーはシンプルイズベスト‼︎ 敢えてシンプルにしてアルティナ様本来の美しさを見せつけるんですぅ〜‼︎」

「そんなことをしたらアルティナの美しさが皆に知られてしまうだろうっ⁉︎ 色目を使う輩が出てきたらどうする‼︎」

「んなの蹴散らしなさい‼︎」

「…………二人とも、落ち着いてくださいな」


 王城の応接室の一室。

 向かいのソファに座った殿下と私は、殿下がアルティナ様にプレゼントしようとしているらしい装飾品アクセサリーのことでギリギリと睨み合っていた。

 ただでさえ隣に座ってんの腹立つのに、アルティナ様に微妙に合わない装飾品アクセサリーを贈ろうとしてんのも腹立つぅ‼︎


「ただでさえここ最近のアルティナはわたしに愛されてる実感があるからか可愛くてっ‼︎ 邪魔な虫を排除するのに忙しいんだ‼︎ 本当は閉じ込めておきたいぐらいなんだぞっ⁉︎ これ以上、可愛くしてどうする‼︎」

「閉じ込めようとしたら、私が王子様の如く颯爽と救って逃げるわっ‼︎ ふはははははははっ‼︎」


 結構本気で言ってみた。

 バシバシと殿下の身体を叩きながら、私を睨むアルティナ様、マジ可愛い。


「というか、殿下は性格がだいぶ変わってませんこと⁉︎ 大丈夫ですのっ⁉︎」


 アルティナ様は、無理やり話を変えるようにそう叫ぶ。

 あぁ……アルティナ様も知らんかったんですね……殿下こいつの本性……。


「もう気持ちを押し込める必要がないからな。これでも君に合わせてセーブしているんだぞ? まぁ……結婚したら、それも外すから覚悟しろよ?」


 ニヤリと意地悪そうな笑顔に私はドン引く。

 だけど、その隙を突かれて、殿下は廊下に向かって声をかけていた。


「旦那、お前の妻を回収していけ‼︎」

「へいへい……」


 ガチャリ……と扉を開けて現れたのは、まさかのシュン。

 あれぇっ⁉︎ 騎士服⁉︎

 どこか疲れた様子のシュンは、私に視線を向けると呆れたように溜息を零した。


「ほら、出てくぞ。殿下達がイチャつけないだろ」


 いやいや、イチャつくのが分かってんのに出ていけるか‼︎


「いぃぃぃやぁぁぁぁ‼︎ アルティナ様とは私がイチャつくのぉぉぉぉぉぉ‼︎」

「黙らっしゃーい」

「ふごっ⁉︎」


 いつぞやのハリセンで私の頭を叩いて、首根っこ掴んで連行して行こうとする。

 ねぇっ⁉︎ 恋人への扱い酷くないっっ⁉︎

 だけど、アルティナ様に「ステラ‼︎」と声をかけられて、私は即返事を返した。


「はいっ、アルティナ様‼︎」

「そのっ……伝えるのが遅れてしまったけれど……ありがとう‼︎」


 伝えられたのは、感謝の言葉。

 私は自己満足で動いていただけなのに。

 私の行動は……アルティナ様のためになったんだね。


(…………感謝はできないけど。お前もシュンと幸せになればいい)


 そして、殿下からの口パクに目を見開く。

 …………一瞬、ムカッとしたけど……私はアルティナ様に笑顔を返した。


「いいえっ‼︎ 幸せになってくださいっ、アルティナ様‼︎」

「貴女も幸せになってね」

「大丈夫です‼︎ シュンに幸せにしてもらいますから‼︎」


 シュンに連れられて、私はこの場を後にする。

 少し進んだところで、さっきから気になっていたことを聞いてみた。


「なんで、騎士服?」

「お前がアルティナ様の侍女を続けるから」

「ん?」

「お前のストッパー役ってこと。諜報員から騎士に取り立てられたんだよ。騎士じゃないと、公的にアルティナ様の側にいれないから」


 …………つまり……私の所為っ⁉︎


「でも、よかったよ。これで……仕事中でもお前といれるからさ」

「っっっ……‼︎」


 ストレートすぎる言葉に、私の顔が熱くなって、言葉を失う。

 真っ赤になっているだろう私を見ながら……シュンは楽しそうに微笑んだ。



「お前が好きだ。お前の望み通り、ヒロイン(ステラ)は、俺が幸せにする」


 …………‼︎

 さっきアルティナ様に言った言葉を、シュンは叶えてくれるらしい。

 うん……きっと、シュンが隣にいてくれたら……私は幸せになれる。

 だから……。



「私を幸せにするなら、ずっと一緒にいてね‼︎」

「あぁ、勿論だ」






 …………どうやら……ヒロインらしくない、おかしな侍女()にも、ハッピーエンドが待っていたみたい。








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