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第七話 : 洗面台に無数の細長いものがあった話
洗面台に、無数の細長いものがへばり付いている。思わず、蛇口を捻る。
無数のそれは、我先にと排水口へ流れて行く。
流れつく先で、問題は起きないだろうか。
目を凝らす。大丈夫だ。何も起きない。
掃除をするために、風呂場に行く。ここにもあった。
シャワーで流す。
流れて行く先を、目で追う。ここも大丈夫。何も起きない。
この事は、主人に言うべきだろうか。それとも、もう少し様子を見るべきか。
思いあぐねていると、主人が仕事から帰ってきた。
「お帰り。今日ね……」
言いかけて、言葉を飲み込む。
「ううん、なんでもない」
やはり、やめておこう。
シャワーから上がった主人が、ドライヤーをかける。
ふと、視線を上げる。
——そして、耐えきれずに言葉が溢れた。
「……あなた、随分と、薄くなったわね。」




