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第六話 : 団地に湧き出す“もこもこ”の正体
ここは団地の二階。
朝の片付けが終わり、優雅にお茶を飲んでいると、流しから不穏な音がした。
恐る恐る覗き込むと、何やら未知の物体が、もこもこと湧いている。
休むことなく、次から次へと。今にも流し台を越えそうな勢いで迫ってくる。
——まさか。
洗面台を見に行く。やはり、もこもこと湧いている。
これが初めてではない。
今日こそは、正体を突き止めなければ。優雅にお茶を飲んでいる場合ではない。
もしかすると、他の家にも——。
三階のチャイムを鳴らす。
「もしかして、お宅にも来ていませんか」
やはり、ここにも来ていた。
四階は。五階は。——留守。
気づけば、八階まで来ていた。
「うちは何もありませんよ」
——おかしい。下の階だけを狙っているのか。
とうとう最上階。意を決して、チャイムを鳴らす。
「実は、もこもこが——」
最上階の住人は、申し訳なさそうに言った。
「すみません。洗剤、流しすぎてしまいました」
——もう、やめてよ。




