目覚める力 前編
同じ力に目覚めました。
簡単に言うとこういうようで、後で桃子から説明されることになるが、『プレコグニション』と言うべきかわたしこと彼方は予知夢だと思われる夢を見ていました。
見覚えがあるような、ないような海外のような場所にいました。
海外のような場所と表現したが実際は日本かもしれないし、母に連れられ海外旅行の経験があるためにハワイかグァムかの観光者向けの街並みによく似て華やかな雰囲気でした。
映画とかでよく空が少しだけしか見えないような高いビルは見られず、広々とした雰囲気でしたが、空の色は灰色で、わたし以外の人の姿も気配もありませんでした。
「―――」
曇りだとしても人が全く歩かないとは言えないし、治安と言うか、安全な国だし、人の姿が見えないし、家や建物の中に人の気配もないように感じ、人の気配がなさすぎると言う方が一番正しい状態でした。
「―――?」
屋根のある歩道を歩く中で不意に進行方向の大きく太い横向きの支柱の1つが鏡の代わりとなり、人の姿が見え思わず振り返りましたが、振り返ると人の姿は見えず、前に向きなおると支柱には支柱を見ているわたしが写っていました。
一瞬だが見えたのは確かに人間としての姿形で、帽子を被った男の人に見えました。
「―――――」
歩道の横には車が左右2列、計4列で走れる大型道路で、道交法、と言うべきか日本とは標識が反対方向を向いていましたが、肝心の走る車も止まっている車の姿もなく、無意識にか、わたしは道路の方向に足を向け、中央に立ってみました。
「―――」
天気は置いておくとして見晴らしもよく、静かで車のエンジン音も人の話し声も聞こえず、気温も暑いとも寒いとも言えず、人の気配もなく奇妙な空間でした。
「―――ぁ。」
ここはいったいどこだと、夢を見ていることもわたしは気づかず首を動かしていると、進行方向に人の姿が見えましたが、気づいた瞬間に人の姿は消えていました。
人の姿があったのは進行方向の交差点の中央付近で、スーツ姿で帽子を被った、悪く言うと怪しそうな2人組が並んで立ち、わたしは確かに立っていた左側の男の人と眼が合いました。
眼が合ったと言うよりも焦点と言うものが一致したと言う方が正解で眼が合ったと思いおどろくわたしを放置するように彼の眼や顔、表情は一切と言うよりも全然変化がなく、作り物の人形かと後で思うほどでした。
特に眼に置いては瞬きをしたように見えたが、一重で細く、瞳は微動だにしない様子であり、人形かと思ったと言う通りで、生気と言うものをあまり感じませんでした。
「……………」
同じ状況に遭遇した時あなたならどうするかと言うような質問も出るのが必然で、わたしは足を彼がいた方向になんとなくだが進めていました。
交差点には信号機もあるが転倒する気配もなく沈黙し、中央に立っていた2人の姿もなくわたしは前後ろ左右の道を見てみましたが、人の気配も車もなく、何も変わったことはない様子でした。
「―――――?」
人も車も1人も1台もないことが一番奇妙な事態だとも言えますが、再び人の姿が見えました。
「―――」
正確には歩いてきた方向から見て左横のお店だと思われる建物のショーウィンドに写った光景で、最初は建物の中かと思いましたが、大きさから見てどう見ても入れない車とバイクが見え思わず後ろだと直感し振り向きましたが、人の姿はありませんでした。
車に背を預けたスーツ姿の男性と、バイクを椅子のようにして座り、こちらに背を向けているライダースーツ姿の女性の姿が向かい合わせに話しているように見えました。
気のせいだとして片づけるにしては鮮明な光景で、男の人の顔も見え、少し困っているようにも見え、話し声も聞こえそうな雰囲気でした。
「―――?」
再び人の姿のようなものが見え、来た方向から見て交差点右上だと思い見てみるが、なんとなくわたしよりも2、3年ほどの年上の女性に思えましたが、案の定人影はありませんでした。
「―――――だ―――?」
来た方向から見て左方向に向かい、だれかいませんかと言いかける中で後ろこと右方向に人の足音のようなものが聞こえ思わず振り返りました。
「―――――何?」
いつどこでだれが何をどうした。なぜどのような方法でと、何にしても説明不明の事態でした。
「―――誰かいるんですか~?」
気味も悪く感じ始め、夢だとも気づかずに、無意識にと言うようにわたしは足を右のほうへと進めていました。
「………」
辞めとけばいいのにとだれかが言うかもしれないけど、この状況だし状況を確かめたく、思わずと言うように足を進め少し進んだ先の店の中に足を踏み入れてしまいました。
Open Mon~Fri 7:00~21:00
Sat~Sun 9:00~23:00
Need you!
レストランかカフェか、何にしてもそれらしい建物で奥行きがあり室内が見渡せ、楽しそうな手書きの文字が入口に描かれていました。
書かれているが反面外から見ても解る薄暗さで灯りは灯っておらず、時間もいつかも解らず営業時間外か営業時間内かも判別できなかった。
土地の関係で時期的に太陽が昇ったままだったり、夜が明けない場所が国によってあり、本当はここがそうで人が出かけるような時間かもしれないとも思ったが、判別する手段もなかった。
「―――ぅ、ん!?」
少し硬く重い気もするが扉も開き中に入ったが、中も外も同じような様子で、室内は汚れたり椅子が何かが倒れている様子はなく新装開店かと思うほどだった。
新装でなくてもだれかによって本格的に掃除され現在は休日中で、鍵を閉め忘れたと掃除しただれかが勢いよくやってきて笑って返しそうな状態とも言えるが、案の定人の姿などありませんでした。
「………」
少しだけ店内を歩いてみると推測通りレストランかカフェのようで、見せ相応の椅子や机の配置がされ、メニューを置く台が見えたが、ソースのような調味料は一切なく、形だけそろえたような状態でした。
怪談のような話であればここで室内に入ると勢い良く扉はしまり、開かず怖いことが起きるとか言うような状況になりますが、室内を1周し玄関に戻って扉を開いてみると、慣れはしたが先ほどと同様に少し硬く重いが扉は簡単に開きました。
「―――失礼しました。」
人の気配は一切ないが、一応はと言うように言ってわたしは部屋を出ました。
「―――?」
言うまでもなく人の姿が見え、見えた方向に眼を向けました。
「………」
「………」
道路の中央に6、7歳ほどの少女が立ってこちらを見ていて、わたしと彼女は眼が合いました。
「―――」
「You Will be load of the world.」
「―――?」
何者かもわからず、眼を合わせても消えず、わたしは思わず眼を合わせたまま進む中で、少女口を開いて言葉を発したが、日本語ではありませんでした。
「―――お笑いですね? それが答えですか?」
「―――?!」
何にしても英語かと考えて少女のほうを見ていると、不意に後ろから少女とは違う女性の声が聞こえ、振り返ると少女とは、先ほどまで見た女性とは違う女性の姿がありました。
「―――」
「―――責任転嫁が人を―――――」
だれかに似ている気がする。
振り返り女性を見る中で不意にそう思うがだれかわからず、女性は口の動きから見て何かを言い続けている様子だが声が聞こえず、ここでわたしの夢は終わりました。
眼が覚めた時のこととこれからのことを話さなくてはいけないし、重要なのですが、結びつく要素なので話を真矢に移します。
早く話を回すべきですが、繰り返しますが、彼女は確かにだれかに似ていた気がし、よくわからなかったが、彼女のどこかの何かが本当に違うような気がして、だれかわからない状態でした。
わたしもこの時目覚めていたのかもしれません。
桃子が話したプレコグニションと呼ばれる現象に似た現象が夢となって表れた彼方と同様にわたしこと、真矢も普段とは違うような夢を見ました。
彼方の意見通り予知夢と言え、彼方の見た奇妙な夢に関連するがかなり異なり、わたしはこの一夜でかなり奇妙な夢を、一言で言うと激しいと言うべき夢を見ている状態でした。
ふざけた表現になるが、テレビやゲームのような光景だった。
確かにこういうもの好きだし、こう言った夢を見たことがないまったくないわけでもなかったが、夢にしては現実的過ぎた。
「―――矢ちゃん。真矢ちゃん?!」
「―――っぇ?」
ある意味表現が変だが睡眠とは気が付かない間に起きている状態で、奇妙な表現だがわたしは夢の中で彼方に声をかけられ、上の空の状態から夢の中で眼を覚ました。
「大丈夫?」
「ぅ、うん。大丈夫。」
心配そうな顔で彼方が質問する中でわたしはとにかく言葉を返したが、奇妙な事態だった。
普通に考えれば夜家に帰り寝たので、すぐに夢だとわかるが、夢の中と言うのは意外と思い通りに動けず話が進み、対処できないことが多く、異変が起きていても何も言うこともなく自然な状態に見えた。
「―――とにかく、片付いたから、―――」
「うん、そうだね? いそご! 真矢ちゃん!」
「うん。」
髪を後ろに結び、眼にゴーグル、耳に通信機と思われる小型で細長い物体、だれがどう見ても戦闘服に身を包んだ桃子が拳銃の弾丸を再装填しながら言い、彼方は桃子の冷静な状況分析に言葉を返し、わたしに声をかけ、わたしたちは進み始めた。
少し話が飛ぶが桃子の持っていた拳銃の種類はS&W社のPC356、アメリカに本社を置くスミス&ウェッソン社が開発した拳銃だった。
356TS&W弾と言う変わった口径の弾丸を使うが、この弾丸は有名な357や44と言ったマグナム並の威力を持っている。
競技用改造がされた拳銃、言わばレースガンとも言われる種類の銃でグリップ、言わば握り心地や命中精度や性能など、使い勝手のよさは十二分に保証でき、いいセレクトだと言える。
PCはパフォーマンスセンターを意味し、PCは簡単に言うとS&W社の銃改造の専門部署でここからたくさんの改造された拳銃が開発されている。
PC356もその1で、ツートーンのカラーリングと言う少々変わったデザインで、リヴォルヴァー全盛のS&Wとしては珍しくオートマティックだと言う異彩を放っているが、結構スタイリッシュで人気が高い拳銃だ。
銃と言うとわたしの手にも銃が握られ、眼元と眼の前に少し何かがある違和感がありゴーグルが何か眼を守る何かがあると思われ、自分の身体を見ることはできないが、わたしは桃子とは少し違うが似たような恰好しているようだった。
似たような恰好とは言えわたしのほうが少々軽装でどちらかと言えば戦闘服と言うよりもゲームやアニメのヒロインが戦闘時に着るようなバトルコスチュームと言うべき格好だった。
持っている銃も45口径のH&K Socom Mk23が2丁で両手に握られていた。
ドイツが造ったアメリカの特殊部隊用の銃で、威力もあるだろうし、子供のわたしには実物を持って撃つのは無理な状況だと思えるが、わたしの手にはおもちゃの偽物とは思えない感触と外見をしていた。
遊びらしい雰囲気もうかがえない状況にも見えた。
わたしと桃子は戦闘意欲満々な服装だが、彼方の服装だけが違っていた。
桃子が戦闘服、わたしがバトルコスチュームだが、彼方の服装はわたしたちと違い、銃も持っておらず、無防備な軽装とか、冗談ではないと思うが、西洋式のドレスと鎧を混ぜ合わせた混成物のような壮麗な恰好だった。
ジャンヌ ダルクのような戦う女騎士と言うべきか、お姫様と言うべきか、アニメみたいな魔法少女みたいだと言うべきか、かわいくて恰好いい服装で、手にはわたしたちの銃の代用か魔法使いを思わせるような細長いスティックが握られていた。
スティックは以上に細長く、長さは推定して2mほどでわたしたちの身長よりも長く、前後があるようで握っている手の先には意味不明だが記号のような形になり、後ろの先は何もなかった。
わたしたちはまだ中学生になったばかりだし、全員が全員冗談か現実とも言えない姿と状況でサイズも少し大きくも見え彼方が一番不恰好にも見えるが、確かに3人の意志や性格などは反映されているような恰好だった。
格好は何にしても進み始めたがわたしたち3人の進み方はまさにゲームのような光景で、地面から十数Cmほど上を飛んで人間の速度ではない速度で進んでいた。
時速は車の法定速度、言わば50Kmほどかそれ以上で、確かにわたしたちは人間ではない速度で進んでいるが、顔や身体に空気抵抗を感じることはなく、風が避けるようにも、見えない盾でもあるかのようにわたしたちは順調に進んでいた。
「―――まるで迷路だね? ドアもたくさんあるし、階数も多いし、入り組んでるし?」
「―――正解は1つだけ、任せて。」
薄暗くて解らなかくて最初は暗い洞窟とかトンネルの中だと思ったがよく見ると照明の消えた建物の中でわたしたちは通路を進んでいる状態で、彼方が困ったと言うように言うと、桃子は自身があるように素早く答えた。
「―――あそこ! あの扉!」
「待ってました!」
わたしたち以外に人の姿はなく、わたしたちはある場所に向かっているようで桃子が少し遠くの両開きのドアを指さすとわたしは勢いよく無意識に言葉を返した。
「いっくぞ―――――!」
「うん!」
「ええ!」
勢いよくわたしが前に出て銃を扉に向け叫ぶ中で彼方と桃子は返事を返した。
人差し指を引き金にかけ、わたしは勢いよく引き金を引いた。
銃声は聞こえなかったが突然扉は開き、強く激しい白い光が広がるが、わたしが銃弾を撃ち込んで開いたのか、だれかが開いたのかは解らないが、わたしの夢はここで終わり覚める。
桃子の話になるが、この空想のような出来事をだれも現実になるとは思いもしないだろうし、この時の、正確には後だが眼から覚めたわたしは思いもしなかった。
夢で済めばよかったと思うことなどたくさんあるし、後悔する時は必ずあるし、現実に同じことになったらなんでわたしが僕がと思うことにもなる。
彼方と真矢はわたしとは違う方向に、違う目覚め方をすると思うし、わたしはと言えば夢を見ていたが、彼方たちとは違い、過去の記憶の夢だった。
生まれて13年と少しだが、物覚えつくころからの記憶が見え始めていた。
彼方が遅生まれで現在12歳、真矢も同様に12歳だが、わたしは早生まれで先に13歳を迎えていた。
回帰現象とも言えるが、過去を思い出すことはわたしにはかなりトラウマだし、夢で済めばよかったと思うことが存在している。
「―――すまん、桃子ちゃん。許してほしい。いや、許さなくて構わないから、お母さん、いや、恵さんから距離を置いてほしいんだ。」
言葉通りの土下座している父の姿で、9歳か10歳ごろの記憶だった
「このままじゃ恵さんも桃子ちゃんも駄目になる。僕も再婚した意味がないし、第一稔もかわいそうだ。―――頼む。」
わたしは一人暮らしをしているが、これが1人暮らしをしている理由だ。
あまり話したくないが、わたしの家の事情は少し複雑だ。
この土下座した父こと節夫は実は彼の言葉通り母の再婚相手でわたしは母の連れ子で、わたしとは血縁はない世に言う法律上の間接的な父親だ。
わたしは何も言わない中で節夫こと父は話す時に眼を合わせるために顔を上げたが、再び本気で頭を下げて頼み込み、わたしは自室のベッドを椅子代わりに座り見下ろしている状態だった。
「―――――お願―――」
「解りました。」
3歳か4歳の時、母はわたしの本当の父の家庭内暴力、言わばDVに悩まされ、経済的な事情も手伝い離婚し、少しした後彼と出会い再婚し、父親違いの弟の稔が生まれました。
必死で頼み込み泣きかけている父に反応し、わたしは従うことにしました。
「―――――すまな―――――」
「―――泣かないでください。わたしまで悲しくなります。」
泣き崩れる父に対し、わたしは近寄り抱きしめて言い返しました。
発端は半年前で稔が事故で無くなりました。
事故とは言いますが実は原因は不明である日道路に倒れていたそうで、警察も調べたが交通事故のような形跡もなく、遺体解剖もされたが事故にあったような形跡も一切なく、あとで調べると心臓発作として処分されていました。
「すまない、すまない、すまないぃいぃ………」
血縁ではないが、再婚し母にもわたしにも優しい父であり、本当の父以上に感じていたし、稔も大事な弟だったし、泣き崩れている父を抱きしめるしかわたしにはできませんでしたし、視線はこの時思わず写真縦に飾られて4人そろった家族写真に向かっていました。
母と距離を置いてほしいと父は言ったが、実は稔の死後実はわたしと母の関係は悪くなり、悪化する一方で、父が言うには結構ひどく話した時も顔の左ほおと額の右側に大きい青あざがあったと言い眼も生気を失っていたそうです。
わたしの見方だが母が軽めだが暴力を始めていた。
わたしは一応姉でもあるし、母の連れ子でもあるし、実はわたしは事故数日前軽くだが稔と喧嘩し、事故の時学校で近くにいたわけではなく責任はないのだが、何にしても結構強く責任を感じている状態で母に怒られても何をされても仕方のない状況だと思っていた。
「―――もう、もう終わりにしましょう? 身に余るものだったのよ? 桃子、お母さんと一緒に死のう? 節夫さんには申し訳ないし、稔にも謝れないし、わたしたちがいなくなれば………」
これが最後にわたしが母から聞いた言葉で、わたしは苦しくて眼を閉じ、言葉が出なかったが、わたしにはあの怖い父の血が流れていて母も恨んでいただろうし、殺して気が済むだろうしこの時これで死んでもいいと思っていた。
3、4歳の時の本当の父親の怖い記憶も薄れかけ、再婚したが差別もせずに育ててくれた節夫、幸せな気がしていたし、原因不明で死んだ弟にも死んで謝りに行きたいとも思っていた。
現在距離を置いているから冷静に判断できてわかるが、どうしようもないし、わたしにも責任はないし、母もわたしも狂気的な状態に近づいていることは明確だった。
この時幸運と言うべきかある意味第3者とも言える父が帰宅し、わたしは九死に一生を得て現在の生活に落ち着いた。
実の父はよくわからないが父はIT企業の社員と言う立場で結構給料や待遇もよく、子供も2人も3人も育てられる経済的余裕もあるし、子供1人をどこか遠くで1人暮らしをさせる余裕なお金も十二分に持っていた。
表向きには社会勉強や人生経験、違う場所でも勉強させてみたいと言う父の要望だが、裏向きには母とわたしを隔離させ、距離を開かせ、母が無理心中のような馬鹿なことをしないように落ち着かせるためだった。
引っ越し業者の人間はわたしたちの事情も少し聞き、この年齢で一人暮らしになるそうだし大変だねとか、悲しそうにしてないし偉いねとか言われたが、言われても何かうれしいとも全く思えなかった。
引っ越し初日わたしが部屋でしたことは持ってきた写真立てを怒りとも何とも言えない感情で壁に向かい勢いよく投げつけたことで、現在その写真立ては伏せた状態で洋服タンスの上に置いている状態だ。
本当にあの時死んだ方が楽だったのではないかとも思っていたが、距離を置き、引っ越して学校も転校することとなった5年の時、わたしは彼方と真矢に会うことになった。
自己紹介を終えた後席に座ると窓際の席で、隣の右側の席が彼方で、その右隣が真矢だった。
現在でもそうだが彼方はショートボブ系の髪に大きく丸い二重の眼、事故以来無反応で機械的になったわたしと違い、まるで漫画から抜け出てきたような底抜けに明るく天然な性格の子だった。
真矢はと言えば同様にあまり変わらず、髪形は肩より短くどちらかと言えば短髪なことが多く、彼方とは対照的で男の子のようにもボーイッシュな感じだった。
彼方と真矢は保育園やら幼稚園の時かららしいが、わたしは遅れてであったが、いつの間にかわたしたちは仲良くなっていた。
話して遊んで、勉強して、日常生活の退屈だった一部が色を変えるように変わり始め、わたしも人間として感情の無い機械から人へと変わり始めていた。
彼方たちと会い数か月後、ある日部屋の中で探し物を探す途中に引っ越しの時に父に秘密で家から持ってきた父の一枚刃の鋭利なカミソリを見つけた。
安全カミソリではなくきれいな一枚で、無意識だったのでわたしは薬指の先をけがして血が流れ出していた。
一人暮らしは非常に悲しく、過去を忘れたわけではなく、自殺も考えなかったわけでもない中で、わたしは自殺するために持って来ていたことを思い出した。
死ぬことに対する恐怖で手が震え、落とすまいとしていたが震えた手から刃は簡単に落ちて床の布に突き刺さる中でわたしも崩れ落ち、必死で押さえようとしたが眼から涙が溢れだして止まらず泣き叫んだ。
わたしは楽しくもあり生きることの大切さを改めて実感していた。
二度と失いたくなく、持たないものだと考えていたが、家族とは違うがわたしの近くには大切なものが新しく存在していたことがうれしくあり、死ぬことに対しての恐怖感、生きたいと言う人間らしさがわたしに再び生まれていた。
忘れてしまったわけではないが、過去は変えられないし、大切なのは未来であり、いずれ和解しなければならないし、何にしてもわたしは生き続けるためにカミソリを次のゴミ捨ての日に捨てたし、指を怪我して絆創膏を貼っていて真矢に、彼方に心配された。
「―――ありがとう。」
「―――ぇ?」
「―――何でもない。」
料理で失敗したとか言うような適当なうそを言い、わたしは答えを返した中で、話し始めた2人に対し、わたしはお礼を言い、真矢が何事かと言うように振り返ったが、わたしは笑って返した。
「何よ~? 桃子ってなんか不思議なんだよね~?」
「そうかな? フフ?」
退屈だが、同じことの繰り返しのようだが、本当に1つ1つ1人1違うし、これが生きることで大切なことだとわたしは実感していた。
だからこそわたしは決められた未来を、加えて絶望の未来が見えるなんて絶対に否定したい事実だった。
神の力だろうが、悪魔の力だろうが、だれかの造った力だろうが知らないし、能力は事実だが変えられると解った以上、わたしはこの力を使い変えられるなら戦う覚悟をすでに決めていた。
「―――――」
夢だからこそ話すが、眼の前でたくさんの人間が死に足元に倒れている光景ほど心の傷になることはないもので、夢を見ていたわたしはその状況に直面していた。
彼方、真矢はもちろん、鈴に遥香、この時はまだ名も知らない人間たちの姿もありました。
特に記憶に残っているのはあおむけに倒れ地面の隆起の関係で首が上向きでこちらを向いているほぼ全身が血まみれの女性の顔で、死んでいるように見えるが、眼が間違いなくあっていた。
「―――?!」
いったいだれかと思う暇もなく爆発でも起きたのか周囲は激しい光に包まれた。
眼の前で人がたくさん死んでいて一体全体何が起きたのかわからない状況で嫌な汗を身体中から垂れ流している上に激しい光に巻き込まれた。
一瞬のうちに爆発の熱の余波か痛みと言うほどの熱さが身体全体を覆い、焼け死んだか生きているかわからない中で夢は終わりわたしは眼を勢いよく開いた。
夢に追従して身体中に冷や汗を流しまくり、ほとんど下着の状態だったが服も着替えなくてはならないほど濡れている状態だった。
適当に買った安物が災いし、食い込んで動きにくい状態な上、夢の影響で身体にも疲労感があり、眼も覚めたわたしは身体を起こすことが精いっぱいだった。
「―――――勘弁してよ―――?」
ほかに言葉も出ないが、何にしても腹の立つ事態でどうしようもできずわたしは何にしても悪態を吐き出した。
「―――――」
何にしても目覚めた瞬間は心身共に動けそうもないように思えたが、わたしは心の奥底でこれを絶対に現実にしないと心に決め、闘志を勢い激しく燃やし、動ける気力が少しずつだが湧き上がってきていた。
何がいつどうなるかわからないが、これからが本番だと言えるが、空の色はまだ暗く夜明けには程遠く見えたが、先に能力に目覚めたわたしには警笛となる役目もあるし、適頃な時間とも言えた。
不思議で危ないことが起きていることは事実ですが、桃子の言っている通りのことが起きることも知らず、確証もなく、わたしこと彼方は家に帰ると、リューこそいますが、いつも通りに眠っている状態でした。
夢はいつの間にか終わり、桃子と違いわたしは目覚ましの音が聞こえる中で眼を覚ましたが、眼を開けていない状態でした。
「―――ん?」
起きないといけないなと思いながら動かない状態の中で、正確にはリューの手だったのですが、この時頬に何かが当たっている柔らかい感触があり、わたしは眼を開けました。
「―――」
正体不明ですが、いたくはないが軽く頬を叩きだし、何にしても本当にかわいく見えました。
「―――――?」
起きてわたしは頭をなでていると、リューが少し奇妙なことになっている気がしました。
「―――大きくなってない?」
2.3回りほど大きくなっている気がしました。
「気のせい?」
聞かれてもそんなことわからないよと言うような顔をしていました。
「………ねぇ、あの怪物みたいに大きくならないよね?」
あの時襲ってきた怪物が親ではないことは明らかだが、正体不明の生き物だし、どのように成長するかもわからず、思わず聞くが、答えを返すわけもありませんでした。
格好をつけたような物言いだが開けぬ朝はないと言え、彼方が、桃子が起きる中でわたし真矢も起きましたが、眼覚めは彼方よりも遅く騒がしく、桃子と比べると雲泥の差で遅く迷惑な眼覚めだった。
スマフォのアラームを眼覚ましに使用し、流れてくるのは大音量のアニソンで、わたしは携帯をたたくようにして止めると、目を覚ました。
「―――」
起きるのはいつも家を出る寸前の時間。
ご飯を食べるとの寝るのだったらわたしは寝るほうを選びたいので、昨日の一件と言い、気になることもあるが、眠たいし時間もあったので二度寝した。
「―――ネトゲやり過ぎかな~?」
見た夢のことを思い出したわたしは思わず言いましたが、すぐに眠ってしまいました。
テレビゲームとかパソコンゲームとか大好きで、彼方と桃子はあまりしないし、夢と現実が混在しているのかと思いました。
昨日と違い、母は帰っておらず家の中は静かで、わたしは軽くだが朝食を食べ、リューにもエサもあげ、学校に行くことにしました。
「いい? 昨日は特別だよ? 飼うんだからね? ここでおとなしくしてるんだよ?」
自分の部屋の適当な場所の床に新聞紙を置き、上にリューと食べ物を置くとわたしは普段洗濯に使っているかごを逆さ向きに上に置き、その場にあった辞書や本を重りにして即席の巣箱にした中でリューに対して言いました。
母こと聖歌が許可を出してくれましたが、飼う用の設備は整っていなかったので、緊急の措置でした。
「巣も、かごもいつか買うからね? 見えにくいだろうけど? これで我慢してね?」
人にも慣れてるし、言うことも聞くし、人を襲ったりと言う害はないと思うが、何かわからないと言うかのようにわたしを見て鳴き声を上げましたが、わたしの言葉の意味を読み取ったのか、鳴くのを止めおとなしくなりました。
「夕方になる前には帰るからね? ご飯それだけだからね? 食べ過ぎたり、足りなかったらごめんね?」
動物を飼っている人たちから聞く話で情が移ると言う言葉がありますが、わたしも同じようで、かわいそうなことをしたなと思いながらも部屋を出ました。
わたしのほうを何もいわずと言うようにリューは見ていましたが、わかったよと言うかのように黙っていました。
朝は軽く一つまみ、水や牛乳お茶、とにかく飲み物一気飲みして終わる。
朝はいつもこんな感じで、彼方とは対照的にわたしこと真矢は出ないとまずい時間に起き、適当に食べ出陣と言うよりも登校を開始した。
規則正しいことをしなさいとか世の中はよく言い、母こと透子によく怒られるけど、わたしはわたしらしい生活がしたいし、朝ごはん食べてなくても健康だからいいと思っているし、肝心なのは昨日のこと以外になかった。
目指すはまずは学校ではなく彼方の家だ。
彼女こと、遥香は間違いなく朝一番に彼方と会う。
一部とは言え未来が見えるようになったわたしこと桃子は少しずつだが使い方を感覚的だが覚え始め、情報を手に入れ始める中で必要な情報を手に入れ始めていた。
確かなことはこの力が神になれるうわさに関係していること、彼方と真矢は言うまでもなくだが、遥香と鈴も仲間であり、遥香には雪乃と呼ぶ女性の仲間が存在し、仲間と言ったが、敵となる人間たちも姿を表すことになる。
説明不足と言うよりも、話すべきことがあまりにも多すぎ、解ることも解らないことも多すぎ、どのように整理すべきか、整理ができるかわからない状態で、わたしは自分の身に起きたことを説明できない状態とも言える。
確かなことは遥香は朝彼方が家を出ようとすると、外で待ち伏せしていることで、わたしは偶然に見せかけるように姿を表す予定で、普段より少し早く家を出ることにした。
神様になれるうわさが何か関係しているのかと、あの時いったい何が起きていたのかと、学校の授業の内容など、考えることがたくさんある中で、わたしこと彼方は玄関のドアを開けました。
何が起きているかもわからないが、理解できるのは開けた瞬間外に昨日会った少女1人、遥香がいたことでした。
昨日とは違う鈴と同じ制服姿で出てくるのを待っていたと言うかのように背を向かいの家の塀に預け、腕を組んで待っている状態でした。
「―――おはよう。」
何でここにいるのかと思い聞く暇もなく、遥香は身体を起こし、何があったのか知らないが嫌そうな顔ではあるが一応はと言うようにあいさつをしました。
「―――あ、おはよう………」
何にしてもあいさつをしてきたのであいさつを返しました。
「―――ございます。」
「―――」
あの時よく話し合わなかったが、何にしても初めて話すので丁重に言わなければいけないと考え、後でございますを加え、遥香はわたしが少し間が抜けているとでも考えたか、調子が狂ったような顔をしてました。
「―――あの?―――」
突然来て何か用ですかと言うまでもない状況で、わたしは声をかけると、遥香はわたしのほうから一瞬目を反らした後、眼を向け直しました。
「―――勘違いしないで、変なことしに来たんじゃないの。雪乃の―――」
「彼方?」
「?!」
昨日の朝と言い、人の後ろに回り込むことがなぜか桃子ちゃんは得意です。
朝も早くから元気よく話す遥香に対し、いつ来たのか桃子は遥香の背後に回っている中で、わたしを呼び、遥香はおどろいてその場から飛びのきました。
「おはよう。」
「―――あ、うん、おはよう………?」
「ガッコいこ?」
昨日の夜とで会った時と言い言い桃子はどこか代わり、朝も怖いくらいきれいで自然な笑顔であいさつをし、改めて昨日の現実も実感しつつも、わたしは桃子とあいさつすると、酷く現実的なことを言ってきました。
「―――あなたも。」
「―――!」
顔を横に向け、遥香のほうを見ると一瞬で表情を変え、昨日のどこか怖い桃子へと戻り、遥香も距離をとっているが少し引いている状況でした。
「行かないの?」
「―――学校なんて―――」
聞かれた遥香はと言えば眼を反らし、嫌そうな顔をしていました。
「―――行きなさい? 鈴が危ない.」
「―――っ?! あな―――」
「行きなさい。」
話が分からないしおいて行かないでほしいですとは思いましたが、鈴と言う言葉に遥香は反応したが、桃子はと言えば柔和でこそあるが真剣な表情で言いました。
「彼方~~~?」
「あ? 真矢ちゃん。」
「―――?!」
軽快な足音に合わせ、真矢がわたしを呼ぶ声が聞こえ反応する中で、遥香も反応して真矢のほうへと眼を向けました。
わたし真矢の家と、彼方の家は時間にして、少々いい加減だが5分か10分ほどの距離であり、少し本気で走ればすぐに到着できる位置にあり、わたしは遥香と桃子が見合っている現場に遭遇した。
「彼方~~~~~って?! あ?!」
桃子もいたけど、昨日会った遥香がいました。
「―――――」
「―――ック?!」
「あ?! 待ちなさいよ?」
何でここにいると思いながら見ていると、俊足の忍者かと言うみたいな速度で姿を消す中でわたしは追いかけようと走ったが追いつけるわけもなかった。
「―――――どこ行った?!」
「上、電柱の上。」
「―――!?」
わたしが捜していると桃子が落ち着いた様子で言う中で人差し指を上にあげ、わたしは思わず見上げると、遥香はわたしたちを見下ろしている状態だった。
まるで漫画や映画見たいです。
小さいころから休日の朝とかにやっている女の子が戦うアニメと言うよりも、少し年上向け、真矢が好きそうなアニメのような光景でした。
電柱の上で制服姿で見下ろす背の高い少女の姿に、見下ろすわたしたちと言う光景でした。
「―――――」
「―――――」
「―――――」
飛びあがったことは確かだが、普通の人間ができるはずもないし、わたしたちは見ていることしかできませんでした。
「――――――ック!」
「―――どうなってんのよ?」
彼女こと遥香が知っていることは確かだが、わたしたちは答えを知らないと思っていましたが、1人だけ、確かに知っている人間がいました。
桃子は何を知っているのか、これを聞かないといけません。
「桃子ちゃん。」
「―――ガッコいこ?」
「―――――うん。」
声をかけるが返された言葉は正論だし、変なことが起きているが学校を休むわけにもいかず、桃子の言葉に合わせ、わたしは従うことになりました。
一番の問題はどうやって理解させるかだ。
わたしこと、桃子が体験したように簡単に言えば神のような力に突然目覚めると言えるのだが、わたしと違いプレコグニションを経験していない2人に説明することは難しいと言えた。
鈴と遥香のアレを見ていずれああなるし、わたしもすでにそうなっていると言ってもわたしには外見的に証明できる方法がないのだ。
未来が見えるとは言ったが、断片的だし、結構体力も使うし、わたしはこの時、慣れたとは言ったが、使いこなせているわけではなかった。
「いったいどうなってんのよ? 桃子? あんたもなんか変だよ?」
「―――ぅん、ごめんね?」
玄関から彼方が出てきた中で真矢が質問する、どうすればいいかと頭が回らず、気づかないうちに深く考えていたようで、真矢からこれを賭けられた。
「―――桃子ちゃん? 大丈夫? なんか顔色悪くない?」
「大丈夫、かな―――っ?」
「―――ちょっと冷たい。」
心配するように言うと彼方が言葉を返す中で額に手をあて、温度を確かめた後言いました。
「―――フフ?」
「?」
「あはははは?」
ちょっと冷たいと言われ、真剣に悩んでいるのが少し馬鹿らしくなり、思わず笑い出してしまった。
現状況から見て答えと言う名の一番近い鍵を持ち、扉に近いのは桃子だ。
状況を分析しなくても解る答えで、桃子から事情を聞かないといけないが、桃子が彼方の言葉を聞き笑い出してしまった。
「―――これじゃあ言っても信じてもらえないよ?」
「―――やっぱりなんか知っているんだね? 桃子?」
思わずと言うようにわたしは桃子へ襲い掛かるように近づきました。
「―――神の力が、神になれるうわさが本当で手に入ったって言ったら信じる?」
「―――――?」
ちょっと冷たいと言った彼方の言葉が何がよくてそれほどおかしかったのかわからないが、抑えようとはしているが軽く笑っている状態だった。
「―――ちょっと? 桃子? 大丈夫?」
笑っていたが、抑えようとしている中で、不意に桃子の眼から流れた。
うそのような、夢のような現実に付き合わされる話はあるかもしれないが、これほどひどいことが現実に起きるとなると、わたしの心の奥底で感情が湧き上がり、眼から涙があふれだし、わたし桃子は思わず地面に座り込み、涙にあふれた顔を隠した。
「―――やっぱりあのうわさが関係してるんだね? あれどうなっているの? 手品とか? 映画の撮影? まさか麻薬とか?」
「―――わからないよね~?」
わたしを泣き止ませながらの登校となりながらも彼方と真矢は何にしても話し合いを始めていました。
「だけど、なんていうか―――」
「―――アニメとかみたいだよね?」
夢物語のような世界の中で彼方と真矢は現実を実感はし始めているようだった。
「そう言えば彼方、あのへんな生き物どうしたの?」
「―――リューのこと?」
この言葉を聞き、わたしは思わず顔を上げた。
「桃子ちゃん? 大丈―――」
「わたしも気になる。」
心配そうな眼で見て聞く彼方に対し、わたしは言葉を返した。
気になったのは、ある未来が見えたからだったが、この時彼方が言うには眼がかなり怖かったそうです。
見えたのは数秒ほどの彼方と真矢とわたしの3人の会話だったが、場所が変なのだ。
地面と言うか床と言うかがどう見ても何かの生き物の巨大な緑色の手で、わたしたちは手の上に載って夕方の空を飛んでいるような光景だった。
光景はほかにもあり、彼方が指示するように手を前に出すと横から青い炎が勢いよく飛び出す光景と、もう一つは彼方が2足歩行の黒い巨大な生き物の手に握られ襲われている光景だった。
仮にあれが成長して彼方を襲うならば、対処をしないといけなかったが、光景が見える中でわたしの体力は消費され、少し身体が重くなり始めていた。
桃子の眼が本気で怖かったのでわたし彼方は真剣に話さないといけないと思いました。
「昨日真矢ちゃんとあのうわさの手がかりを手に入れて、あの公園に行こうとした時に見つけたの。」
「―――――ぇ? かな―――」
「だけど、変な場所に言ったと言うか? 怪物に遭遇したと言うか? 夜になってたし? あれは? ひか―――――」
何にしても正直に話し始める中で、真矢はあの時どうやってと言うような反応だったが、言葉をわたしは続けたが、意味が解らず、どういえばいいと思う中で、また立ちくらみと言うべきか、めまいのようなものがしました。
「―――彼方!?」
「―――ん、大丈夫………」
眠気と言う訳ではないが、身体の力が抜け意識が途切れると言うような感覚だが、このままではわたしは話が進まないと思い、足を踏ん張って支え、心配する真矢に対してまるわかりだが大丈夫だと返した。
大事なのはこれを話すことだ。
桃子も何か異常に見えるが、少し放置して、彼方の言ったことを整理するとこういうことになる。
1、うわさの手がかりを見つける最中にわたしこと、真矢とはぐれ、暗くて陰気で寒い変な場所にいてリューを見つけた。
2、リューを見つけた後あのぬいぐるみの怪物に似た怪物に襲われたところをだれかに助けられたが、信じられないことに自分こと、彼方だった。
3、気が付くとあの公園にいてわたしに発見され、家に帰るとバッグの中にリューがなぜか入っていた。
運がいいと言うべきかこの時聖歌が帰って来て買う許可もおり、正体不明だが、状況的に捨てるのもかわいそうだし、飼うことにしたとのことで、あの家の部屋に簡単なかごを造って置いているのだそうだ。
うそか現実かもわからず、何が起きているかわからず信じてもらえないとも思うがリューも存在するから真実だと言えるが、どこに言っていたかもわからず、説明できない事態だと言うのだ。
「―――2人とも、大丈夫?」
「―――大丈夫よ?」
「―――ん~、多分~?」
2人はどこか、と言うべきかあのうわさに関連して神の力が手に入る副作用か何かのようで、気分がどう見ても悪そうだった。
冗談ではなく顔色も少し悪く、疲れていそうでした。
大丈夫かと聞いたが、2人の答えは普段ならば普通に思えるが、桃子は少し不機嫌そうで、彼方は冗談には聞こえなかった。
「―――もう学校も近いか~? とりあえず2人とも保険―――?」
家に帰した方がよくないかと思う中で学校が近い距離となり、保健室にでも言って休んだ方がいいかもしれないと言いかける中で、不意に少し先に立ち止まっている道の姿が見えた。
たくさんの人の話があり意味がないような話が意味を持っていることは確かで、彼方たちの身に起きたことは僕道の範囲では説明できないことだが、僕は昨日のあの生き物が気になり、朝失礼だが彼方たちを待ち伏せしていた。
「あ、ど~?」
僕の姿を見ると彼方は元気よく手を振り僕の名を呼んでくれた。
いつも通りだがいつも通りとは違う感覚を感じたが、僕にはそれがわからず、この後彼方の具合が少し悪そうなので、声をかけることが難しかった。
この時突然だがわたしことセレナーデ、言わばセリーが現れ、校門で入谷と喧嘩していた。
入谷の指示で留学生として生活することになったが、入谷は何を考えたがジュニアハイ、言わば中学生として書類を用意していた状態で、監視も兼ねてと言う状態だ。
「あんたわたしを馬鹿にしてんの入谷?」
教師をしていると聞いていたがジュニアハイとは聞いてないし、わたしも外見は幼いが結構長く生きているし、ある意味不条理だが、相変わらずの愛想笑いだった。
道が声をかけづらいのは事実で、彼方と桃子はこの後声が聞こえていたことをなんとなくと言うように覚えていたが、学校の前で喧嘩があったせいだ。
門の前で教師と生徒が喧嘩していた上に、英語での喧嘩で、喧嘩していたのがなぜか担任の大野で、相手の生徒も生徒とは微妙に言いにくかった。
大野は地理の教師だが、英語で冷静に話している相手はだれがどう見ても海外生まれの少女で、後ですぐにわかるが転校生としてきたセリーだった。
結局具合の悪いそうな彼方と僕こと道が、真矢が桃子を保健室へと連れて行くことになった。
「ど~?」
「はい、大丈夫とか言って大丈夫じゃないことが多いんだから、真矢もだけど聖歌さんから任されているからね? ノートも心配しなくていいから。」
個人での判断だが彼方が僕を道と正しく発音できず、伸ばして呼ぶ時は弱っている証拠なので、この後大丈夫とか言いそうだが、半場強引にベッドに寝かせた。
「おとなしく寝てなさい。」
兄や父親の、おいの様な気分だが、年齢的には僕の方が彼方よりも遅く、どちらかと言えば世話の焼ける姉と言うべきで、僕は弟や甥っ子のようだった。
「―――あんたはたまにはサボって下げなさい。」
「―――大丈夫だって? 元気よ? これぐらい? それに―――」
「話なら昼休み聞くから。」
真矢はと言えば無理しようとする姉を抑えようとしている様子だった。
「アンジェラ先生、お願いします。」
「―――いいけど、わたし結構空けてるわよ?」
「―――」
この学校、と言うよりも学園は保育園から小学から大学まであり、結構大きくおおらかで保険室の先生が外国の先生だった。
アンジェラ ブラウン、3、40代ほどの女性で、椅子に座り足を組み、医学書だと思うが何やら分厚くて黒い背表紙の難しそうな本を読んでいた。
伸ばして放置したように見える長い髪にノーメイクの顔、着古した白衣と、医者らしいと言えば医者らしい格好をし、本当に英語が話せるのかと疑うほどに日本語もうまかった。
「―――そんな困ったとか言うような顔しないで? 貧血とかでしょ? それと男のあなたにはわからない分野。よく寝てれば治るし、わたしが仕事がない方が健康でいいって証拠でしょう?」
「―――――まぁ、頼みます。」
「リョーカイ。」
一応は医師免許も持っているそうで、海外からも来ているし、素早く言い返される中で僕は返事を返すと、アンジェラは返事を返し、本を読み直し始めた。
「―――じゃ、彼方。」
「―――――」
ベッドで横になった彼方は軽くだが真矢と僕の方に手を振り、桃子はと言えば真矢の言葉を聞き、顔を横に向けふて寝しているようにも見える中で、僕たちは部屋を後にした。
「は~、アンジェラ苦手~? 何で外国の先生なんか雇うのよ~?」
「―――いいんじゃない? 国際的だし?」
「イヴ先生は妹だっていうし~、信じらんな~い?」
出た後真矢は少し疲れたと言うように一度保健室の扉に背を預けた後、ため息を吐き出しながら言い、僕は先を歩きながら返事を返し、真矢は嫌ながら歩き出し、返事を返した。
この時わたし彼方は本当に眠り始めてしまい、起きたら午前の授業が終わるころでした。
道たちが出た後、少しして言葉通りに白状と言うべきかアンジェラも出て行き、わたしは彼方のほうに眼を向けてみたが、彼方は眼を閉じ、眠っていた。
間違いなくだが、力を先に持ったわたしならわかるが、話を聞いた感じに加えあの反応と言い、間違いなく、彼方にはあの力の影響で身体に少し強い負担がかかっていることがうかがえた。
真矢はまだ反応が出てないが、いずれ反応が出ると思いながらも、わたしも少し疲れている気がしたので眠った。
目覚めたのは午前の半分が終わったころで、彼方はまだ寝ていたが、とりあえずは教室に戻った。
教室にわたし真矢と道が入り、ホームルームが始まる中で、大野が姿を表し、セレナーデも姿を表した。
「てんこーせ―――」
「セレナーデ ハートよ?! 覚えておきなさい?!」
相変わらずというほどに大野は気の抜けたような物言いの中でセレナーデは黒板に勢いよくひらがなで自分の名前を書き、胸を張って名乗った。
彼方についてはあの生き物について、桃子については昨日のあの一件について僕道は話せるが、真矢とはあのことを話さなければいけないが、真矢も同様なのか話を持ち込みにくいようで、結局桃子が来るまで話せなかった。
桃子が来たのは午前の半分が終わったころで、戻って来た時の休み時間には聞けなかったが、次の時間には何とか真矢と合わせて話をすることができた。
「―――」
「―――」
「―――」
教室内は様々な話題や、転校してきたセレナーデ、廊下の外の話し声や足音が聞こえたが、僕たちは顔を何とか合わせたがなんとも言えない顔だった。
「―――確かなことは、うわさが真実で、あれも本物でとんでもない方向に向かおうとしてる。」
「―――」
「―――信じてもらえないけど、わたしにはその力があるし、真矢、あなたにもいずれ同じ力に目覚めることになる。」
セレナーデのことが話題となり、僕たちは見向きもされない中で、桃子は口を開いた。
真矢に対しても真剣な物言いで言い、言い終えた後は深く難しいことを考えるような顔で目を反らした。
休憩時間も無限と言う訳でもなく、何十分もあるわけでもなく、桃子はほかに説明できないようで、ほかには何も言わなかった。
何にしても桃子の言った言葉を頼りにすると、あの神様になれると言ったうわさが真実で、桃子には神の力が手に入ったと言うことだが、わたしは突然何を言っているのかと訳の分からない状態だった。
どうすることもできず午前の最後の授業が終わり、わたしは立ち上がり、学食に向かうことにした。
学食と言い、この後ウェブとか調べて知ったのだが、義務教育間の給食と呼ばれる制度には都道府県や地方によって結構差があるようで、わたしたちの学校には全校生徒3分の2は入れる結構広い食堂で、パンとかも売られている結構に自由なものだった。
「桃子? いかないの?」
「―――」
桃子はと言えば、声をかけたが、机に顔を伏せ、半場眠っているような状態になっていた。
道はと言えば桃子と違い眠ってはいないが、何かを考えているような難しい顔をしていた。
眼が覚めたわたし彼方は保健室の周りを見るが、アンジェラの姿が見えないと言うある意味論外な事態は放置し、桃子の姿も見えず、時間も見ると午前が終わり、食事時の中で真矢と会うことになった。
「あ? 彼方?」
「―――あ、真矢ちゃん。」
力が身体に影響を与えていることも解るわけもなく、何にしても眼が覚め、なんともないなと感じながら保健室を出て、一度教室に行こうと歩いている中で真矢と会うことになりました。
「大丈夫?」
「うん、寝たらなんともなくなった。」
初めてあの感覚を感じた時と言い、眠気と言うか身体が重たくなったような気がしたが、少し休むと本当になんともなく感じ、わたしは真矢に言った言葉通りに本当に平然としていました。
「―――桃子ちゃんは?」
「キョーシツ、気分と言うか、機嫌が悪いのか寝てる。」
詳しい話もしたいしと思い、真矢に聞くと、真矢はと言えば現状と言う難しい問題があるが、答えを知っている桃子と言う人間に聞きたいが、聞きにくいと言うような顔をしていました。
「と言うか、彼方どうする?」
「え?」
「ご飯、わたしパン買う、一緒に行く? おごるよ?」
気前がいいと言うべきか、度胸がすわっていると言うべきか、腹が減っては戦ができぬと言うべきか、真矢は先ほどまで寝ていて起きたわたしに対し、昼ご飯の話をしました。
「いいよ? それほど動いてないし? 眠ってたし。」
「わたしと違ってあんまり食べないんだから、ほら!」
食欲もあまりないし迷惑もかけたくないしと言う状態の中で、真矢は腕を組み、わたしを少し強引に引っ張っていきました。
強引に彼方を捕まえ、購買の方へ行ったわたし真矢はパン売り場にいった。
学食のメニューも含め余ったらどうするかと聞くほどの多種多様の種類と豊富な量が存在し、わたしは彼方に食べさせる分も勝手に選び、桃子への土産も考え勝手にたくさん買い、彼方にとりあえずと言うように持たせた。
聞いたところによると学食や購買は学園内の生徒なら小学とか高等、大学生も使っていいし、朝は早くから結構夜遅くまでしているそうで、わたしのようにたくさん買う人間もいるし、量は補給や予備はあるが逆にある意味足りないそうだ。
ある程度買い終え、彼方を見ると、こんなに食べるの真矢ちゃんとか、あまりお腹すいてないんだけどと言うかのような苦笑いな顔で彼方はわたしを見ていた。
「よし、飲み物も買ったー、念願のカツサンドもゲットー、行こ? 教室戻ろ? 桃子からの話聞きたいでしょ?」
「う、うん?」
言いながらわたしは彼方の手に乗っていた人気の1つのカツサンドを手に取り、開けながら歩き出した。
「お金なら心配しないでよ? しっかり食べないとってお母さんからもらってるし、彼方の具合が悪そうだったからおごったってこと後で証言してくれたらいいから。」
一口入れる前に言い、わたしは一口口に入れた。
腹が減っては戦にはならないし、朝ごはんも食べる量少ないし、わたしは昼にこうしてよく食べている。
「へふひょひはふふぇひひひょ? ふぁひゅふぁふんふぁふぇべべべ―――――」
「―――食べながら話すの止めようよ?」
食べながら後ろにいた彼方に対し、遠慮しなくいいよ、たくさん食べて元気になってとか言う中で、駄目だよと言うような困った顔で現実的なことを言われて黙らされた。
「―――歩きながらで行儀も悪いよ?」
「―――ごもっとも。」
衣が程よい硬さで、パン生地も焼かれ狐色、肉がぶ厚くいが食べると柔らかく肉汁溢れてたまごとかソースとかのトッピングが混ざっておいしいとか思う中で彼方に続けて言われ、わたしは大きいな音を出して半場強引に飲み込むと言葉を返した。
適当に購買とかに行きパンでも買って食べるだろうと思われる真矢は桃子に声をかけた後教室を出て行き、昨日の話を聞きたいが、僕こと道はそれほど桃子こと、木之本さんと話したことがなかった。
真矢と彼方が5年生のころに転校し、いつの間にか仲良くなった子と言う程度で、軽く授業のことでとかはあったが、顔を合わせて真剣に話すことはなかったので声をかけづらかった。
「―――?」
聞きたいこともあるが、顔も合わせづらいし、見ていると何言われるかもわからず眼を反対方向に反らし、真矢が帰って来た時に話せばいいかと思い、思っていると、机の前に桃子が立っていた。
「―――何? 木之も―――」
「―――陰陽道。」
「―――? !?」
苗字を言う途中で桃子は不意に口を開き、普通では意味不明な言葉だが、ある言葉を口にした。
「―――オオカミ。」
「―――」
「―――忍者。」
一見すると意味不明な単語だが、僕の身に起こったことを知っていると言うかのような顔で僕を見下ろし、単語を続けた。
「―――やっぱり、間違いないのね?」
「―――」
「―――すべては知らないし、言ったでしょう? 神の力だって。」
見ていたのかと聞きたい中で、桃子は僕に対し、質問するが、答えは求めてないと言うかのように言葉を返した。
ほかの生徒の話し声や外や廊下で人の歩く音や走る音、ほかにも多くの音がしていたが、僕と桃子の空間だけが音のないような空間のようだった。
学園ドラマとか、アクションアニメのワンシーンの様な光景だった。
ヒロインの1人から衝撃的な事実を伝えられる主人公と言うべき光景で、机に座った道を桃子が机の前で見下ろし、道は少し難しそうな顔で桃子を見ていた。
「―――」
「―――」
言葉通りに入り込む隙間がなさそうで、教室へと戻って来たわたし真矢と彼方は言葉出ずに見ているしかありませんでした。
「―――」
どこでだれが動くかと言うような状況で、動いたのは桃子で、わたしたちの気配に気づいたのか、わたしたちのほうに顔を向けたが、わたしと言い、彼方と言い、道と言い、口を開くことができなかった。
学園ドラマとか、アクションアニメのワンシーンとか言ったが、これから話すことはほかの人の話を含め、空想と言えばそこまでだが、冗談では済まない話になることになる。
わたしたち4人の中で後でも役に立つが幸運と言えるのか、この時一番知っているのは桃子だけだった。
孤立していた。
この時わたし鈴は学校は違うが彼方たちと同様に学校に登校し、教室にいたが、わたしは教室内で孤立状態だった。
「ねぇ、夢野さん? 入野さん知らない? 来てないの気にならないの?」
「―――知らないし、気になるけど………」
「大切な友達、遥香ちゃんって言うほどの中なんでしょ?」
後ろからいつもの3人で、前は2人、全員を見ると少し不快感で嫌味そうな笑顔でこちらに顔を向けている状態で、言うまでもなくいじめと言う状態である。
本気を言えばいじめていた遥香があまり学校に来なくなり、気分良い状態だが、あの神のうわさと言い、遥香のことが話題となり、何か気分が悪いようで、標的をわたしに変えたようだった。
彼女たちの言う通りでわたしと遥香は確かに仲良しで、幼馴染で、最初は遥香がいじめられていた。
いじめで自殺する人間がいると言うが、無縁な人間やいじめた人間にはわからないが、あった人間なら理解できる考えだとわたしは実感していた。
知らない内に他人とは違う存在にされ、非難されるのは不条理な事態に加え、法律で処分するような明確な証拠と言うものも存在せず、何も言わない言えない状態で言いたい放題やりたい放題にされるからたえられなくなるのだ。
背がほかの人間よりも格段に高いと言う理由だけで遥香もいじめられ、学校に来なくなる中で、奇妙なうわさも広まり始めていた。
「ほ、本当に、知らないの、わ、わたし、部室、いくから………?」
「待ちなよ?」
最近はうわさも広まり、部室内もわたしに対して少し不穏な空気が広まり敬遠され始めているが、教室よりかはましだと思い、わたしは立ち上がり、机からスケッチブックを出して部室に向かおうとする中で、1人が強引に座り直させた。
「絵なんていつでもかけるでしょう?」
「放課後にしなよ? 長いんでしょう?」
「わたしら時間無いんだし?」
スケッチブックに絵を描くと言えば言うまでもなくわたしの部活は美術部で、机に座らせるとほかの仲間が強引に声をかけ始めた。
「―――――」
「―――泣かないでよ? いじめてるみたいじゃない?! わたしたちは遥香がどこかって聞いてんの?!」
遥香と違い背も小さく、気も小さいわたしは思わずと言うよりも気づかない内に涙目になっていたようで、質問した1人に怒られた。
「あんたそんなんで泣くなら学校来んの辞めたら? やめて死ねば? それか絵描けるんなら漫画家にでもなっていじめられたとか言う暗い話の漫画でも描いてれば?」
「それ受ける?! 遥香みたいなのが変身とかしてさ!?」
「いいね?」
言ったもの勝ちと言うような雰囲気で、悪ふざけだと言うように笑い始めているのもいたが、わたしは何も言えなかった。
彼方たちが普通な生活をしている背景でこう言うことが学校では起きているのが現実で、わたしはその中の1人になってしまっていた。
「と言うかもう描いてんじゃない?」
「―――ぁ!?」
「見せなさいよ? 減るもんじゃないし!」
半分笑いながらスケッチブックを取り上げられました。
「―――人物画ってやつ? これ?」
「リアルでうまいけどフツ~過ぎ~?」
返してほしいと言う言葉も言わせずに強い剣幕で押し返し、中を見始めた。
授業や部活動で使っているのだから当然だが、人の顔や手足と言った最初は普通の絵が描かれている。
「ねぇねぇ? これかっこよくない? この2人?」
見ていた1人がある絵を指さして言った。
能力で見た光景に映った人間をスケッチした絵の1つだとわたしは直感した。
「ヤクザっていうか? マフィア? ギャング?」
「銃持ってるし? なにこれ? マグナム? すっごいリアル?」
「マグナムは違うんじゃない? あれリボルバーとかでしょ? フツーのは、えっとハンドガン? それにしても―――――」
間違いなく光景の中で見た絵の1つで、わたしが一場面を描き、勝手にタイトルをつけているが、「銃を持った2人の男」だ。
拳銃を持ったスーツ姿の男2人が、少し前後差があるように見えるが、背中合わせに立っている絵で、絵から見て右側に正面から見て右斜め方向を向いた男が前を、左側に背中合わせの男が左方向を見ている絵だ。
スーツ姿で頭には帽子、手には銃、右側は眼にサングラス、左側はコートを着て、2人は連携しているようにも見え、言う通りギャングか何かのようにも見える絵だと言うことは確かだった。
「―――これ、何? 死体?」
「―――キモッ?!」
「―――」
これの次の絵は、「ライダースーツの女性」か、「壊れた顔」で、彼女たちが見たのはすぐに壊れた顔だと推定できた。
壊れた顔の絵で、わたしと同じ少女だと思うが目玉や歯と言った顔面の部品が砕け散る一瞬を書いた絵で、自分で書いたとはいえ、どの絵にしてもだが見られたくもない絵で、言う中で机の上にスケッチブックが投げ捨てられた。
「………」
別のページが開いていて、「牛の骨」が開かれていた。
正面から見た牛の頭の骨の絵だが、左眼から横から見た蛇の頭の骨が顔を出している不気味な絵だ。
ほかのページのほうがまだいい絵があるのだが、こういう時には、悪い時には悪い時しか起きず、悪いページしか開かれなかった。
「なんてもん書いてんのよ? 頭どうかしてんじゃないの!? あんた死んでこれ親とか見たらわたしたちがいじめてたって言い叩かれ―――――」
「―――十分いじめてるでしょう? それにわたしならここよ?」
書きたくて書いたと言うわけでもなく、目の映ったあのことを少しでも忘れたくて絵に描いた結果の絵だった。
親に見られると気味悪がれると思い持ち歩き、見られないように持ち歩くときは胸に大事に抱え、わたしは手を離さず持ち歩き、見せたくなく、わたしはもう眼から涙しか出ず、泣くしかなかった
だれも助けてくれず、恐怖感も手伝いいじめだと言うこともできず、わたしが泣きそうにしていると、教室の扉の方から、聞き知った声が、遥香だと思われる声が聞こえた。
「―――遥香、ちゃん?」
「―――遥香………?!」
「わたしいないから鈴いじめてんの? 相変わらず最悪ね?」
わたしを背を高くして同じように眼鏡をかけ、猫背だったような少女が前に見ても解るが、豹変と言うように変化していた。
わたしと同じ三つ編みではないが、長かった髪も肩よりも短く切り、眼鏡をはずし、猫背も本来背が高いことを少しでもごまかすためのものでやめ、扉に背を預けている体制だった。
「―――どうしたの? 来ないの? 怖気づいた?」
「―――」
冷たく鋭い眼だった。
不意に現れ、クラス内も少し騒々しくなり始めているが、遥香だけは冷静にこちらを見ていた。
「自分の名前書くことや人間であることすら怪しいのに鈴の描いた絵悪く言う資格あると思っているの?」
「―――」
言いながら身体を起こし遥香は近づき、わたしのスケッチブックに眼を向けた。
「―――骨格デッサンは人体の基本、頭部破壊は人間の身体や物理や医学を知り尽くしていない限り描けないし、ほかの絵もうまくかけてるし、こんな絵描くのはいじめるあんたたちの性でしょ?」
「突然来て何―――」
遥香の言葉を聞き、勢いよく近づいてきた1人に対し、遥香は見事な格闘技か何かで勢いよく放り投げ、地面に倒した。
「いい加減にしな―――」
「入野!」
地面に倒し、腕で首を圧迫させ、何か言いかける中で、ドクターストップならぬ、ティーチャーストップがかかった。
「来ていると言う声を聞いたが、ひさしぶりに来てみれば―――っ?!」
遥香を止めたのはティーチャーこと教師で、声をかけ近づきかける中で、遥香は手を離し逆に勢いよく近づき、何事かと先生が気づき、立ち止まる中で、眼の前に遥香は立つと先生を勢いよくひっぱたいた。
「―――」
「こっちの事情も知らない大人が口出しするな!」
不意にたたかれ何事かと言うような顔をしている先生に対し遥香は勢いよく言葉を返し、声は教室中に届いた。
「それにわたしがいじめられた時に助けなかったのにどういうつもりよ? そんなにPTAとの対面が大事なの?!」
「―――」
「どーせわたしの親は他人事よ?! わたしはいらない子だ! どーせ何にしても厄介者だと思ってんでしょう?!」
これでもかと言うように遥香は言い続けました。
「―――来なきゃいいんでしょう? 冗談じゃないわよ!? わたしが何をしたって言うのよ?!」
「―――」
急に来たが、言うだけいい、教室を勢いよく出て行きました。
「―――」
「あ、ちょっ?! 夢野?!」
わたしは少ししてだが、教室から出て行った遥香を追いかけることにしました。
「―――夢野っ?!」
教室をでると先生が勢いよく止まるように呼び止めたが、わたしは遥香を追いかけるために走りました。
鈴とわたしこと、遥香は幼馴染と言う関係だ。
背に差こそあるがわたしと似たような性格に、似たような容姿、似たような雰囲気を持ち、絵を描くのがうまい女の子だ。
正確には似ていたと言うべきで、わたしはあの日以来代わり、学校にもあまり行かず、わたしは髪を切り、眼鏡をはずし、背を曲げるのを止め、昨日の夜も会い、解ってはいたが、呼びかけられ止まったわたしと鈴は別人のようになっていた。
「遥香ちゃん!」
「―――何?」
呼びかけられ、振り返った鈴は少しだが息を切らしていた。
「よ、よく、来たね?」
「―――それで?」
変わってしまったわたしに対し、鈴は何かを言いたいが、戻ってきてほしいのだろうが、わたしにはもう戻る方法がないし、探している途中で、わたしはそれがどうしたと言うように返した。
「―――もう、わたしに関わらない方がいい―――」
「―――」
何を言えばと言うような鈴に対し、わたしは言うと背を向け、再び歩き出した。
鈴が同じ力に目覚めているとは思いもしなかったし、朝のあの桃子とか言うのの言葉にも引っかかって来てみればいじめられていたと言うことだけで、わたしは何にしてもと言うように学校を出ることにした。
結局鈴は追いかけてこなかったが、わたしは鈴まで関わり合いになっているとはこの時思わなかった。
教室に戻って来たわたし、真矢と、彼方と桃子、道は何にしても顔を合わせた。
「―――神の、力? 本物?」
「ええ、そう、だけど、わたしだって信じられないし、だけど、さっきも言ったけど、あなたたちも目覚めることになる。」
買ってきたパンを渡した後、桃子の言葉はこれを続けるだけだった。
「―――うそじゃないことは確かだ。」
「―――道も、仲間なの?」
「―――僕は違う。だけど別の力を持っているし、木之本さんの言うことは十分に信じていい情報だと思う。」
わたしが彼方と会い、購買にパンを買いに行った時に何を話したか知れないが、道は真剣な表情で顔の前で手を組んで答えを返す中で、彼方は質問し、道は真剣な表情で返した。
道と桃子は話し合いである程度何かを理解して、何かの仲間意識の様なものが働いているようでお互いに真剣な表情で、任せた任せると言うような顔をして時折顔を合わせていた。
「―――昨日のことと言い、どうなるの?」
「―――神さえもわからない。」
「―――」
わたしが質問すると桃子は少しして答えを返したが、すぐに眼を反らした。
神のみが知ると言う言葉があるが、何が起きているのかわたしと彼方にはわからないし、桃子は解っているが話さないし、道はと言えば何か知っているようだだが同様で、解らないことが多かったが、確かな情報が2か3つあった。
神さえもわからないと言う桃子の言った言葉が真実であり、桃子の反応と言い何かに目覚めると言ったことは真実で、加えて昨日みたいなことが再び起きる可能性があると言いうことだ。
昨日の同じ時間頃は楽しく話し合っていたが、昨日とは状況は一変し、少し重い空気が漂う中で、昼休みの時間は終了した。