第34話:運命の最終決戦、下剋上の頂点へ駆け上がれ
劇的な攻防の末、対戦成績は「3勝3敗」の五分。
日本プロ野球の頂点を決める日本シリーズは、ついに泣いても笑っても最後となる運命の第7戦を迎えた。
超満員に膨れ上がった所沢・ベルーナドームのボルテージは最高潮に達し、下剋上日本一をかけた決戦の火蓋が落ちようとしていた。
この運命の大一番、埼玉ジャガースの先発マウンドを託されたのは右腕・髙橋空多。対する広島東邦カーズの先発は、安定感抜群の左のエース・床野弘樹。両チームのベンチから漲る緊張感がグラウンド全体を包み込む。
この日のテレビ中継の放送席には、メイン解説の松江嘉寿夫氏と松永大輔氏、そして現役選手ゲストとしてアリックス・バファローズから「達摩兄弟」の二人が顔を揃えていた。
「このシリーズは第6戦まで1勝1敗ペースと、まさに互いに一歩も譲らない死闘となりましたね」
アナウンサーの振りに、松江嘉寿夫が感銘を受けた面持ちで頷く。
続く松永大輔も深く首を頷かせた。
「僕の予想通り、ここまでのゲームは息をのむ白熱した投手戦が中心になりました。この第7戦も間違いなく緊迫した展開になるでしょう」
ゲストの達摩兄弟も、身を乗り出すようにグラウンドを鋭い視線で見つめていた。
「昨日の豹馬と平松の投げ合いは、見ていて手に汗握る凄まじいもんやったで」
兄・厳が唸るように語ると、弟の豪も熱く言葉を継ぐ。
「兄貴の言う通りや。もしこの最終戦が延長戦にもつれ込むようなことになれば……豹馬と平松の連投、そして今年の春に開催されたドリームチャンピオンシリーズのあの熱狂の再現の可能性かってありますからのう!」
運命の一戦を前に、ジャガースの西方文哉監督は思い切ったオーダーの変更に踏み切っていた。
ここまで不振に喘いでいたカネリアをスタメンから外し、指名打者には勝負強さを持つ渡鍋聖弥を起用。さらに守備陣も大幅に組み替え、銭形豹馬をレフト、ロイをライトへ配置。内野陣にはベテランの権田壮介を「9番・ショート」に据え、猿飛英恵をセカンド、滝川夏央をサードへと回す盤石の守備体系で臨む。
【先攻・広島東邦カーズ】
1番(中)平山連
2番(二)勝部成
3番(左)ソンドロ・フェブアン
4番(一)エレフリス・モントラ
5番(右)末金正大
6番(指)秋川省吾
7番(三)佐々野泰
8番(捕)石村智樹
9番(遊)三俣翔一
先発投手:床野弘樹
【後攻・埼玉ジャガース】
1番(二)猿飛英恵
2番(三)滝川夏央
3番(左)銭形豹馬
4番(右)ロイ
5番(一)テーラー・ナビン
6番(中)長谷山信也
7番(捕)香島太雅
8番(指)渡鍋聖弥
9番(遊)権田壮介
先発投手:髙橋空多
両チームのナインがグラウンドの定位置につき、静寂と熱気が交錯する。
マウンド上の髙橋空多がゆっくりと息を吐き出し、レフトの守備位置につく豹馬も鋭い眼差しでバッターボックスを見つめる。
「プレーボール!!」
球審の甲高いコールがドームにこだまし、下剋上日本一をかけた最後の死闘が、ついにその幕を開けた!




