第33話:宿命の王手、カミソリシュートの反撃
舞台は再び、歓声と熱気に揺れる所沢・ベルーナドームへ。
埼玉ジャガースが対戦成績「3勝2敗」と見事に王手をかけて迎えた日本シリーズ第6戦。日本一に王手をかけたジャガースと、後がない広島東邦カーズによる極限の攻防が幕を開ける。
この大一番の先発マウンドに上がったのは、ともに第1戦以来となる中5日で登板する両チームのエース――銭形豹馬と平松陽星!
互いに一歩も譲らぬ圧巻の投球を見せ、4回終了時まで両投手ともに走者をただの一人も出さないパーフェクトピッチングを披露。静まり返る球場に、一球一球の捕球音だけが鋭く響き渡る歴史的な投手戦となった。
試合が動いたのは5回表、カーズの攻撃。
先頭の4番・エレフリス・モントラに対し、豹馬が投じた3球目――内角を狙ったストレートがわずかに真ん中寄りへと甘く入る。モントラの見事なフルスイングから放たれた白球は、打った瞬間にそれと分かる放物線を描き、バックスクリーンへ一直線! カーズが意知のソロアーチで1点を先制する。
1点を追うジャガースは7回裏、反撃の口火を切る。
先頭の1番・猿飛英恵が相手守備の動揺を突く絶妙なセーフティーバントを三塁線へ転がし、俊足を活かしてチーム初安打となる内野安打で出塁! 続く2番・滝川夏央がきっちりと送りバントを決め、1死二塁と同点の絶好機を作り出した。
ここで打席に入るのは「3番・銭形豹馬」。
しかし、マウンド上の平松陽星の目には凄まじい執念が宿っていた。
(銭形君……第1戦の借りは返す! 今日こそ絶対に打たせはしないぞ!)
平松が投じた渾身の一球は、打者の手元で鋭利に変化する伝家の宝刀「カミソリシュート」!
狙いを定めていた豹馬のバットだったが、手元での鋭い切れ味に芯を外され、どん詰まりの内野フライに打ち取られてしまう。
なおも2死二塁で迎えた4番・ロイに対しても、平松は外角低めのボールゾーンへと沈むカミソリシュートを解き放ち、見事な空振り三振! 千載一遇の好機を、平松の執念が力でねじ伏せた。
豹馬も9回まで投げ抜き、モントラに許したあの一発以外はランナーを一切出さないという鬼神のごとき投球を見せたものの、打線が平松の前に沈黙。
試合は「0-1」の完封負けを喫し、今回はライバル・平松陽星に軍配が上がった。
カーズが驚異の粘りで勝敗を「3勝3敗」のタイへと持ち込み、決着の行方はついに最終決戦へ。
次回はいよいよ、泣いても笑っても最後となる運命の第7戦!
ともに下剋上から頂点へ駆け上がり、「下剋上日本一」の栄冠を掴み取るのは果たしてどちらなのか――!




