チェリシュ(見守る)
「弟は、『堕天』という天使族の必殺技を使って、」
「全てを大幅強化している」
「おそらく、もう私は勝てないと思う」
「だが、勝たなければならない」
「そこで、とっておきを使う」
「それが、優勝景品となる…」
「その技の名前は、《チェリシュ》」
「この技は、誰でも使える」
「しようと思えば、君にもできる」
「その効果は、」
「自分の持つ技の全てを次代に託し」
「使用先の者が持つ技と同化し、パワーアップする」
「というものだ」
「チェリシュされた方は変な事をしなければ身の安全がある程度保障される」
「じゃあ、なぜわたしに?」
「なに」
「この大会でチェリシュしてもいい人材を見極め」
「その頂点に達したのが君だった」
「それだけの理由だ」
「…なるほど」
「これで長い話は終わりだ」
「すぐに答えを出さなくていい、そうだな…」
「1年後ぐらいに答えを聞かせ…」
「わかりました」
「わたしを依り代にして下さい」
「⁉︎」
「?違うんですか?」
「ちょっと待て」
「そんなに簡単な問題じゃないんだ」
「君はまだ現実が直視出来ていない」
「人生に関わってくる事だ…慎重に…」
「違う」
「?」
「現実を直視しなければならないのは」
「あんたの方ですよ大天使ミカエル」
「その1年は」
「【チェリシュ】の同化訓練に使うべきだ」
「あなたは、一番頑張り屋だが…」
「何もわかっていない」
「…」
「ただし、二つ条件がある」
「まずひとつ、大天使の力で、」
「今、念話している皆にも『祝福』を与えて下さい」
「…なぜ?」
「さっきあなたは2対1と言っていたが…」
「【皇帝】の魔法は《ルシフェルの部下》も待っているんでしょう?なら、まだまだ仲間は必要だ」
「力を渡した上で、志願者を募って下さい」
「…わかった」
「『祝福』後、説得してみる」
「二つ目の条件」
「ダイヤモンド家を守護する10人の勇者を、」
「世代ごとに配置してください」
「…」
「ダイヤモンド家を天使の戦いに巻き込むなら」
「これからも天使に対抗できる程ほどの魔法使いが必要になる。だから、善宝石で《勇者》の魔法使いを選んで、ダイヤモンド家の…いや、その周りの安全をある程度護れる様なシステムを作ってくれ」
「わかった」
「約束しよう」
「…」
「それでは、チェリシュを開始する‼︎‼︎」
「双天使ミカエルから、ダイヤモンドへ!」
…始まった!




