最後のラブレター
○月×日、日本から一人の男が消えた。
◆◆◆
愛理へ
急にびっくしたかな?びっくりしたよな。俺は消える。真菜のために消える。このままじゃ真菜は死んでしまう。もうこれしかないないんだ。他に方法が見つからないんだ。愛理ごめんな。二人で他の方法を考えようって、真菜と三人で生きていこうと約束したのに。本当俺は嘘つきだ。結婚する前にもしてからも嘘つきって何度も怒られたな。怒ってくれていい、恨んでくれていい。いや本当最低だな、俺は。
最後にこれだけはいっておきたい。ありがとう。こんな最低な俺と結婚してくれて、そして、真菜を産んでくれてありがとう。君と真菜といる時間は本当に幸せだった。君と真菜と暮らした時間は僕の大切な宝物だ。本当に幸せだった。ありがとう。本当にありがとう。俺の人生は君と真菜のお陰で素晴らしいものだった。
真菜へ
真菜、小学校卒業おめでとう。来年からは中学生になるんだな。ごめんな。始業式に出れなくて。お願いがある。これからはお母さんを助けてあげてほしい。しっかりしているようで弱いところがあるから、真菜が支えてあげてほしい。お父さんはずっと真菜を見守ってるいるよ。大好きだよ。真菜。
◆◆◆
「あ、あれ?どうして涙なんか?別に悲しいことなんてないのに。真菜?」
「お、お母さん、胸が苦しいの。なんでなのかわからないけど胸が苦しいの。」
二人はそれから長い間、リビングで抱き合っていた。まるで大切な思い出を忘れてしまわないように。まるで大切な誰かを忘れてしまわないように。ずっと。
その傍で手紙が空気に溶けて消えた。
消えた手紙の最後にはこう書き記されていた。
愛理と真菜の記憶から、私こと三上一の記憶は消える。そして、二人の幸せをただ願っていると。
読んで頂き、ありがとうございました。
これでひとまず完結とさせて頂きます。
少しでも何かを感じてもらえたのであれば幸いです。
あなたのこれからの人生に幸多いことをお祈りしております。




