散々な三回戦
司会「さて、先ほど遅れをとっていたチーム野丸、第二ポイントの橋まで差し掛かりました。」
宇多「急げ、急げ。おっとっと、ここから橋だぞ。一列になって。」
佐藤「社長、どうしたんでしょう?」
宇多「後ろから聞こえる悲鳴が全てを物語ってるじゃないか。おっと、何だこれ?ふりこ?」
佐藤「このボールにぶつかって、落ちないようにしなきゃならないんじゃないですか?」
宇多「ああ、そうか。じゃあ、タイミングをはかって・・・ヨイショ。みんなも気をつけて。」
向社長「ほら、橋まで来たぞ。みんな急げ。」
向課長「社長、みんな目が回ってそんな狭い道歩けませんよ。」
向社長「仕方ない、匍匐前進で行くぞ。」
向課長「でも、ふりこにぶつかったら、落っこちちゃいますよ。」
向社長「大丈夫だ、所詮張り子のふりこだからしがみついてれば耐えられる。行くぞ!」
宇多「苑自君、迫って来ちゃったよ、どうする?」
苑自「じゃあ、光線をあのボールに当てたら・・・」
ビビビビビ
苑自「ご覧のように鉄球になります。」
宇多「やり過ぎじゃない?」
苑自「もう、どうしようもないですよ。」
向課長「社長、鉄球になってますよ!」
向社長「伏せろ!」
向課長「匍匐前進以上に伏せろと?」
ブチッ ドシイイン
苑自「糸の強度を考えてませんでしたね。」
宇多「まあ、当たらなくて良かったんじゃない?」
苑自「あとですね。」
宇多「うん?」
苑自「さっきの鉄球が落ちた衝撃で丸山が向井ビルの怖い顔の人と、鉄球の上に落ちました。」
宇多「えっ?」
苑自「いや、さっきからずっと台詞が無くて気づかなかったんですけど、ずっと遅れてたみたいです。」
角田「うわっ、とっとと。あっ、丸山。」
丸山「あっ、兄貴。おっとっと。」
角田「おいおい、下手に動くな。落ちたら潰されるぞ。」
丸山「じゃあ、どうすれば・・・」
角田「ああ、そっち傾いたぞ。こっち来い!」
丸山「おお、人間いざってなるとできるもんだね。」
角田「そんなのんきな事言って・・・おい、観客席、観客席!あああ!」
苑自「あーあ、観客席の仕切り壊しちゃって・・・いくらぐらいとられますかね?」
宇多「まあ、言っても簡単なセットだからそんなには・・・」
向社長「スキあり!」
苑自「あっ、ちょっと何すんの?」
向社長「今度はこっちが使わせてもらうぞ。」
苑自「何言ってんの、もともとこっちの物・・・」
ビビビビビ ビビビビビ ビビビビビ
グオオオオ!
宇多「今、『グオオオオ!』って聞こえなかった?」
100倍犬「グオオオオ!」
宇多「うわっ、何だあれ?怪獣?」
苑自「違いますよ。さっき取っ組み合ってるときに光線が観客席の犬に当たったんですょ。」
佐藤「あの、さっきから丸山さん達の乗ってる玉を追いかけてるのは?」
苑自「進化しても、精神は犬のままですからねえ。ボール遊びでもしてるつもり何でしょうね。」
宇多「あれ、進化?生物学的には退化してるんじゃないの?あと、平野さんが妙に嬉しそうなのはなぜ?」
佐藤「二人とも壁壊して玉ごとどっか行っちゃいました。」
苑自「躾のなってない犬ですね。飼い主の顔が見てみたい・・・」
宇多「いや、そんなのんきなこと言ってる場合じゃ・・・何かこの建物傾いてない?」
苑自「多分、シロアリか何かに光線が当たったんでしょうね。」
宇多「ちょっと、まずくない?このままだと・・・」
苑自「大丈夫ですよ。こんなこともあろうかとちゃんとキャンセルボタンが・・・」
100倍カラス「クアアアア!」
苑自「あれ、アップグレード倍々光線銃は?」
宇多「今、デカいカラスに拐われたよ!」
苑自「ああ、じゃあボタンは押せませんね。」
宇多「それが無いとどれくらいで効き目がきれるの?」
苑自「6時間ぐらいですかね?」
宇多「となると?」
苑自「会場の修理代で賞金がなくなるっていういつものパターンです。」
宇多「あああああ!」
その頃丸山の田舎
カメラマン「この村では伝承とか言い伝えとかそういう物は?」
農民「そうだっぺねえ・・・この村では昔から神様かカラスの姿になって飛んで来るっていう神社があるだよ。」
カメラマン「だ、そうですよ。」
プロドゥーサー「でもなあ、そんな話どこにでも有るしなあせめて本物がいれば・・・いたあああ!」
丸山家
医者「息子さんまだいらっしゃらないんですか?」
丸山母「すいません、本当にしょうのない息子で・・・」
100倍カラス「クアアアア!」
ビビビビビ
医者「な、なんだ。今の・・・あっ、そうだいつものお薬です。」
丸山母「はい、どうも・・・ 本当に治せる薬は無いんですか?」
医者「すいません、気休めにしかならなくて・・・あれ、ラベル変わったんだっけ?すいません、お水を・・・」
丸山父「ゴクッ・・・治ったあああ!」
医者・丸山母「えっ」
ええ、今回も無事書き終わりました。
感想お願いします、相変わらず作者が寂しがるので・・・