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ダンスダンスダンス

ステラさんが持ってくれてるスーツの袖に腕を通す。


そして振り返る。


「どう?、ステラさん。」


「ええ、カッコいいわ。アキラさん。」


「ありがと。じゃあ、いってきます。」


「いってらっしゃい。」


白いスリップのステラさんをギュっと抱きしめてキスをする。


革靴を履いて、1LDKのドアをクリックるすと、扉がクローゼットの扉のようになる。


それを開いて中に入る。振り返るとステラさんが笑顔で手を振っていた。


扉が一旦しまり、再び開けると、そこは王都の迎賓館の客間だった。


ここにはウォークインクローゼットがあり、掌握できたのだ。





玄関には豪華な馬車が横付けされていた。


メイドさんが扉を開けてくれた。


そこにオレと王女様たちが乗り込む。


アリエスたちはギルドの箱馬車で先に行っている。





馬車はゆっくりとメインストリートを北に向かう。


道路脇にはたくさんの民衆がいた。歓声に軽く手を振って答える。


やがて馬車は城の敷地に入り、王城前に横付けされた。


先に王女様たちが降りてオレに手を差し伸べてくれた。おれはその手をとり馬車を降りる。


足元には城の中から赤い絨毯が敷かれていた。


両側から王女様たちに腕を絡められて歩き出した。


城の中に入ると両側に軍服を着た兵士がズラッと並んでいた。


その中をゆっくりと進む。


正直、こちらの作法なんか全然わかんないが、こういうのはとにかく堂々としてればいいと思う。作法が分かっていてもうろたえると、そっちの方がカッコ悪い。


やがて大きな両開きの扉の前に来る。


その前に立つと、両側にいた兵士がゆっくりと扉を開いてくれた。


扉をくぐって中に入る。


大きな広間となったそこは謁見の間らしく、正面に一段高くなった場所があり、玉座に王様らしき人がクラウンをかぶって座っている。脇には王妃さまらしき人が立っている。その両側には王子、王女らしき人たちが立っていた。


吹き抜けになった部屋には二階に観覧席があり、多くの人々が座ってこの模様を見ている。その中にはアリエスたちの姿もあった。


赤いフカフカの絨毯をオレたちはゆっくりと歩き、玉座の前まできた。


王女様たちはオレの両側から離れ、他の王女様たちの末席に向かった。


オレは片膝をついて、王様に頭を下げる。


王様は玉座から立ち上がった。


「我はガルム17世、コーカス王である。冒険者アキラ・クラタ、面を上げよ。」


「はっ」


オレは片膝をついたまま顔を上げた。


「冒険者アキラ・クラタ、そなたはイネルバの街の北においてドラゴンダンジョンを発見した。その功績を認め、黒ランク冒険者への昇格を認める。」


「ははっ」


執事のような人がひとかかえある大きな黒いカードを持ってきた。


それを王様に渡す。


オレは立ち上がり、そのカードを王様から両手で受け取った。


カードが光の粒子に包まれると、普通のカードの大きさになった。


びっくりした。てっきり象徴的なものを仮に渡されたんだと思っていたら、本物だったよ。


観覧席から割れんばかりの拍手が沸き起こった。


こうして、オレは黒ランク冒険者になった。





「ご主人様、かっこよかった。」


「うむ。流石我が主じゃ、」


「あたいもご主人様のこと惚れ直したよ。」


「私ももっと好きになりましたよ。」


休憩室に行くと皆がいて褒めてくれた。


「ありがとう。皆。」


「あたしもカッコよかったと思います。ステラさんにも見せてあげたかったなぁ。」


デイジーちゃんまで・・・褒め殺しですな。でもそうだな、やっぱりステラさんにも見てもらいたかったな。





「今回の主賓、黒ランク冒険者、そしてドラゴンマスターのアキラ・クラタ様の登場です。」


そのアナウンスを聞いてオレは王女様たちにエスコートされてパーティ会場に入った。


会場に割れんばかりの拍手が起こった。


広大な広間には所々に料理が置かれ、楽団までいて演奏で場を盛り上げていた。


大勢の人々が用意された料理に舌鼓を打っている。


オレたちは中央にいた王様に挨拶に伺う。


王様は金髪をオールバックにし、綺麗に手入れされた口ひげを備えていた。


体はがっちりしており、まだ老いによる衰えなどは感じられない。50過ぎくらいかな?


「王様、このような場を設けていただきありがとうございます。」


「いやいや、アキラどの、よくぞドラゴンダンジョンを発見してくれた。ありがとう。」


「運が良かっただけです。」


「運が良かっただけで、あのような美しいドラゴンまで従えることができるのかな?、」


「ええ、彼女を従えることができたのも本当に運が良かっただけです。」


「ではそういうことにしておくか。それと、アイとレイとも仲良くしてくれているようだな。」


王様はオレの両側の王女様たちを見てニヤリと笑う。


「ええ、彼女たちにはとても良くしてもらっています。とっても・・・ね」


オレは両側の王女様たちを抱き寄せ、ニヤリと笑いかえす。


「「あ、アキラさま・・・。」」


王女様たちが真っ赤になっている。うん、可愛いな。


「な・・・・」


王様が一瞬絶句する。


「くくく、あっははははははは!」


そして豪快に笑い出す。


「なかなか食えぬ男だ。気に入った。アイとレイをこれからもよろしくたのむ。」


「はい、たのまれました。」


王様は笑いながら立ち去っていった。


入れ替わりに冷たい印象を受ける金髪縦ロールの美女がやってきた。


「こんにちは、アキラさま。私はリリム・コーカス。第一王女です。」


「これは、リリム王女、お目にかかれて光栄です。」


「我が国にドラゴンマスターの黒ランク冒険者が誕生したことを大変嬉しく思います。」


「よろこんでいただけて私もうれしいです。」


「できれば、後ほど、ゆっくりとお話をきかせていただきたいですわ。・・・そんな妾の子たちと話すよりも楽しいと思いますわ。では、ごきげんよう。」


リリム王女はアイとレイに侮蔑の眼差しを投げかけて去っていった。


なるほど、アイとレイの立場は確かにあまり良くないようだな。





次々と挨拶に訪れる王族や貴族の相手を適当にこなしながら、アリエスたちの様子をみる。


アリエスはデイジーちゃんとなにやら楽しそうに話している。


ゴールドはここぞとばかりに肉料理を食べている。


シルフィは・・・あ、なんか男に話しかけられている。でも背中の奴隷紋を見て去っていった。


会場には他の白金ランクの冒険者もいて、その人たちが連れているパートナーの奴隷冒険者もそこそこいる。


しかし、それに侮蔑の視線を向ける輩も少なからずいるようだ。


ふむ、少し面白くないな。


オレは楽団の指揮者に話しかける。


会場にワルツが流れだした。


オレはアリエスの前に行って手を差し出す。


「お嬢さん、踊っていただけませんか?」


「え?、ご主人様、私、踊りなんて・・・」


「いいから、オレにまかせて。」


オレは強引にアリエスを抱えて踊りだした。


アリエスの足をほんの僅かに浮かせて周りから自分で動いているように見せる。


最初はただオレに振り回されていたアリエスだが、やがて要領がわかり、自分で踊りだす。


もともと運動神経の良い子だ。一度コツをつかめば早い。


会場は可愛らしいアリエスの踊りに魅了された。


「ご主人様、我とも踊るのじゃ。」


一曲終わるとゴールドが背中に金色の翼を生やして飛んできた。


ええ?、ゴールドって人間形態で翼だけだせるの?


内心あせりまくりながらもゴールドともそのまま踊る。


本当に飛んでいるのだからエスコートも楽だ。


会場は突然の天使の登場に騒然となったが、やがて可愛らしい踊りに魅了され、静かになった。


その後、シルフィとは優雅に、トレイシーとは激しく踊った。この二人は元々心得があったらしく、逆にオレほうが踊らされた印象だ。


「アイさん、踊っていただけますか?」


オレは会場の隅で俯いていたアイ王女に手を差し出した。


「アキラ様・・・はい、喜んで。」


流石王女様、そのダンスは華麗で会場中が虜になった。勿論、この後一緒に踊ったレイ王女のダンスも観衆を惹きつけて止まなかった。


これでオレの愛する女たちが素晴らしいと人々に知らしめることができたかな?

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