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天然ミノタウロスダンジョン

極上の温もりと柔らかさの中で目が覚めた。


これぞ夢にも出てくるキングオブオッパイ。


ああ、たまんない。


思わず顔をグリグリする。


「あん、アキラさん。くすぐったいわ。」


顔を上げるとステラさんの顔があった。


「おはよう、ステラさん。今日はステラさんが添い寝してくれたんだね。」


「おはよう、アキラさん。今は表立ってあえないから。せめて・・・ね。」


「ありがとう。」


オレはステラさんに軽く口付けをしてベッドを出る。


1LDKの寝室だ。


パジャマをいつもの黒ジャージに着替えて洗面所で顔を洗った。


「じゃあ、いってくるね。ステラさん。」


「ええ、いってらっしゃい。」


黒いスリップ姿のステラさんを抱きしめて、いってきますのキスをした。


玄関でスニーカーを履いて、ドアをクリックする。


玄関ドアが掃除用具入れのドアみたいなものに変わった。


オレはそれを開いて中に入る。


そして再び、そのドアを開けて外に出ると、そこは冒険者ギルドが用意してくれた箱馬車の中だった。


箱馬車の中に掌握できそうな密閉空間を用意してもらったのだ。おかげで、旅の途中でも、自由に1LDKやステラ邸に一時帰宅できる。


因みにここを掌握したときは、

===============

箱馬車倉庫を掌握しました。

===============

とウィンドウが開いていた。


オレは馬車がとめてあった宿の裏庭から、宿の食堂に向かった。


そこには皆そろっていた。もしかしてオレを待ってくれていたのかな?


「おはようございます。ご主人様。」


てててとアリエスが駆け寄って抱きついてきた。


「おはようなのじゃ、ご主人様。」


幼女ゴールドも駆け寄って抱きついてくる。


「おはよう、アリエス、ゴールド。」


「ご主人様、こっちなの。」


オレはアリエスとゴールドに手を引かれ、席につく。


テーブルには、ほかほかご飯に味噌汁、焼き魚に海苔の朝食が既に用意されていた。


「皆、待たせちゃったみたいでごめんね。じゃあ、食べよう。」


「「「いただきます。」」」



「アキラさん、あたしはこの後、昨日の野盗の件をここの冒険者ギルドに報告に行ってきます。」


デイジーちゃんが朝食を食べながら話しかけてきた。


「そう、オレたちも一緒に行った方がいい?、」


「いえ、水晶に詳細に記録を残してありますから、あたしだけで大丈夫です。」


「じゃあ、オレたちは少しここのミノタウロスダンジョンに入ってきていいかな?」


この街の北には天然のミノタウロスダンジョンがある。できれば、入って一部を掌握しておきたい。


「昼前には出発しますから、それまでに帰ってきてもらえれば、いいですよ。」


「わかった。じゃあ、少しだけ様子を見てくるね。」





リタンブールはイネルバの街よりも少し小さいくらいの規模だ。


メインストリートは朝だけどそこそこ賑わっている。


オレたちはそこを北上していく。


街の北門を出ると、でっかいピラミッドがあった。


エジプトのピラミッドより大きいんじゃないかこれ?


実は街中からも見えていたんだが、近づくと改めてそのデカさが実感できた。


ピラミッドの中央にはこれまた大きな入口があり、脇に冒険者ギルドの職員らしき人が立っている。


「おはようございます。」


「おはようございます。ここは初めてですね。冒険者カードをチェックさせてください。」


オレたちは白金の冒険者カードを提示した。ゴールドは従魔タグを提示する。


「はい、ケッコウです。ではこれをどうぞ、ここの攻略マップです。」


「ありがとうございます。助かります。」


「上級冒険者は国の宝ですからね、がんばってください。」


攻略マップをただでくれるとは、明らかな待遇アップを実感できたな。


どれどれ・・・やっぱり天然のミノタウロスダンジョンは隠しダンジョンと違ってちゃんと入り組んでいるな。


・・・うん、入ってすこしいった所にいい感じの袋小路がある。今回はここに行って掌握して帰ってこよう。





中に入ると石壁の広大な広間となっていた。分岐路が3つほどある。


オレたちはそれの一番左側を選んで入っていく。通路の幅は隠しダンジョンと同じ100メートル幅くらいだ。


しばらく歩くとミニマップに赤い点1つと黄色の点6つが現れた。どうやら他の冒険者パーティがミノタウロスと戦っているようだ。



激しい剣戟の音が聞こえてきた。


大きな盾をもった男がミノタウロスの棍棒の一撃を受け止めた。なんか盾の周囲が光ってるな、オレのアンブレラガートと似たようなスキルかな?


「ハードアタック!」


大剣を持った男がミノタウロスの棍棒を持った利き腕を大上段からの一撃で切り付ける。


人の背よりも高い太さのミノタウロスの右腕が綺麗に切断された。


「ブモォオオ!」


ミノタウロスは切られた腕を反対側の手で押さえて蹲った。


「「「ファイヤーランス」」」


その動きが止まった頭に炎の槍が3つ降り注いだ。後ろに控えていた。魔法使いと思われる女性たちが一斉に放ったようだ。


ミノタウロスは光の粒子となって消えていった。



流石、白金ランク以上の冒険者たちだな。見事な連携だった。


オレたちは、戦いが終わって一休みしている彼らの横を通り過ぎて先に行かせてもらった。


通り過ぎるとき、軽く手を上げて挨拶すると、相手も気さくに手を振って返してくれた。





前方に再び赤い光点1つ、今度は回りに他の冒険者はいない。


「前方に敵1体。狩るぞ!」


「「「「はい。」」」」


「ウィンドバリア!」


シルフィが風の障壁を展開する。


「「行きます!」」


アリエスとトレイシーが左右に分かれて飛び出していく。


「みんな頑張るのじゃあ!」


ゴールドは応援担当。いろいろとゴールドが手を出すとまずそうな気がするしな。とりあえず。


「ブモオオ!」


ミノタウロスがオレたちに気付いて突っ込んできた。


オレはアイスアローのウィンドウを展開し、素早くトリプルクリックした。


3本の氷の矢がミノタウロスの右足に突き刺さった。そして凍りつく。


「スラッシュ乱舞!」


凍った足をアリエスの15連撃が粉砕した。


ドドーン!


瞬く間に右足を失ったミノタウロスはハデに前のめりに転倒する。


「ハードアタック!」


地面にさらされたミノタウロスの頭をトレイシーの大上段の一撃が真っ二つにした。


ミノタウロスは光の粒子となって消えていった。


うん、オレたちも無敵領域がなくても、さっきの冒険者たちに負けてないな。

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