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イネルバ温泉郷

「それじゃあ、早速、これから家に行きましょう。」


「え?、ステラさん仕事中ですよね?」


「大丈夫ですよ、この時間はもともと、アキラさんの相手をするために受付に座っているんですから、あ、メアリーちょっと受付お願い。」


「はあい、マスター、頑張ってきてくださいね。」


メアリーさんが悪戯っぽい笑顔で返事をした。


「じゃあ、行きましょう。」


ステラさんは、オレの手をとって歩きだした。なんかすごく楽しそうだ。




ギルドの裏の通りを歩いて数十メートルの所にその建物はあった。五分も歩いていないと思う。


洋風の平屋建てのそれはとても広々として見えた。まぁ、確かにここで一人暮らしは寂しいよな。


「じゃーん、ここがあたしたちの愛の巣でーす。」


なんか、ステラさんのキャラが変わっている気がするんですけど、


「で、これが合鍵よ。」


「ステラさん、それを受け取る前にもう少し話がしたいんですけど。」


「・・・・そうね、じゃあ、リビングで話しましょ。」




落ち着いた感じのリビングには過度な装飾はなく、観葉植物と応接セットがあるだけだった。


オレとアリエスは三人掛けのソファーに並んで座り、対面の一人掛けのにステラさんが座っている。


「ステラさん、気付いていると思いますけど、オレはこことは違う異世界から来ました。」


「ええ、恐らくそうじゃないかとは思ってたわ。」


「そしてオレにはかなり特殊なスキルがあります。ステラさんと同居するにあたり、そのスキルの内容を話さないわけにはいかないと思っています。ただ、オレはそのスキルのことをできるだけ他人に知られたくないんです。ステラさんも秘密を守っていただけますか?」


「・・・私は冒険者ギルドという組織に属しているわ。だからその組織の不利益になることがあれば上への報告義務がある。そのスキルは・・・どうなのかしら?」


「それは・・・使い方次第ですね、正直不利益になるであろう使い方もできます。逆に大きな利益になる使い方もできます。」


「そう・・・」


ステラさんは、数秒考え、そして口を開いた。


「それは大きな力を持ったスキル全般に言えることね、そして多くの冒険者は切り札としてその内容を秘匿している。結局、その人物を信用できるか、できないか・・・なのよね。」


ステラさんは立ち上がり、こちらに歩いて来てオレの頭を抱きしめた。


「あたしはアキラさんを信じます。秘密は守ります。だから・・・一緒にいてください。」


「・・・はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。」


ステラさんは、いい女だな、惚れ直しちゃったよ。





「ダンジョン掌握?」


「はい、見てもらった方が早いですね。」


オレは立ち上がり、リビングの壁をクリックする。そこに洞くつが開いた。


「?!こ、これはダンジョン?」


「はい、ついてきてください。アリエスは、ちょっとここで留守番しててくれな。」




洞くつの中をしばらく歩くと広間に出た。その中には赤い核を持ったスライムが一匹だけいた。


「スライム?」


オレは鋼の傘でスライムの核を一突きした。


パキン、


スライムの核が割れた。スライムは光の粒子となって消えて行き、赤い魔石とマジックポーションを残した。


===============

スライムダンジョン広間を掌握しました。

===============


スライムの出現は今日の朝にはできるようになっていた。マンモススライムを二匹発生させたのはこのダンジョンにとって魔素的なエネルギーの負荷が激しすぎたのだろう。しばらくは控えめにしておこうと思う。


「オレは一度制圧したダンジョンを文字通り、掌握することができるんです。そして、その入り口を何処にでも作ることができる。」


スライムの魔石とマジックポーションを拾いながら、ステラさんに言った。


「それで、このスライムダンジョンを掌握したアキラさんは、スライムの素材を大量に持っていたのね。このダンジョンは未発見のものなのかしら?」


「はい、オレが掌握する前は完全に出入口が塞がっていましたから、他の人はこのダンジョンの存在は知らないはずです。」


「そういえば、アキラさんはコブリンダンジョンにも入っていたけど、もしかして・・・」


「コブリンダンジョンは広間のひとつとそれに繋がる通路だけ掌握してあります。ボス部屋も一度は掌握しましたが、今は開放してあります。」


「それぐらいなら問題なさそうね。」


オレは広間の壁をクリックして、1LDKの扉開いた。


「こちらへどうぞ、」


ステラさんを中へ招きいれる。


「こ・・・ここは?」


「オレがもともとあちらの世界で生活していたマンションです。朝起きたら、ここごと、こっちの世界にいたんです。ここの出口が袋小路になったスライムダンジョンに繋がってたんですよ。」


オレは玄関扉をクリックし、裏路地とつなげ、ステラさんを連れて街にでた。


「ここは、イネルバの街の裏路地?」


「ええ、ここはダンジョンじゃないですけど、入り組んだ状況が似ていたようで掌握できたんです。」


「便利な転移魔法みたいな使い方もできるのね。」


「ええ、ただ、この設置する入り口って一方通行なので、掌握してないところに戻るのに苦労したりもするんですよね。ステラさん、あの家の中にダンジョンっぽいところって・・・ないですかね?」


「そうねぇ・・・・」


オレとステラさんは歩いてステラ邸に戻って来た。


「ご主人様おかえりなさい。」


アリエスが飛び出してきて、オレに抱きついた。


「ただいま、アリエス。」


優しく頭をなでてやると、アリエスは気持ちよさそうに目を細めた。


気がつくとステラさんもオレに抱きついていた。


頭を差し出してくる。


頭をなでると、ステラさんも気持ちよさそうに目を細めた。普段の大人っぽい雰囲気とのギャップがあって、ムチャクチャ可愛くみえた。


「それで、ステラさん。いけそうなところありますか?」


「・・・・うん、あそこならいけるかも。ついて来て」


ステラ邸の庭には物置小屋があった。ステラさんは、その扉を開ける。一緒にそこに入ったが、掌握ウィンドウは出ない。


その物置小屋には地下倉庫もあるようで、ステラさんは床にあったその扉を開いた。そこに一緒に入る。


===============

ステラ邸地下倉庫を掌握しました。

===============


「あ、ここを掌握できました。」


「そう、よかったわ。じゃあ、家に戻って部屋割りを決めましょう。」


ステラ邸はリビングを中心にその周りに五つ個室があり、中心の部屋が一番大きく、ここをステラさんが使っている。


「じゃあ、オレはステラさんの右隣を使わせていただきますね。」


「私はご主人様と同じで、」


「ええ?、じゃあ、あたしもアキラさんと同じがいい。」


「いやいや、アリエスはオレの反対側のとなりな。」


「・・・・・・・」


「1LDKの方はこれまで通り一緒に使おうな?」


「分かりました。」


「ええ!!、あたしは?」


===============

ステラが仲間になりたそうにこちらを見ています。

仲間にしますか?

[YES/NO]

===============


・・・・しょうがない。YESをクリック。


===============

ステラが仲間になりました。

===============


「あら?、アキラさんとなにかが繋がったような感じがする。」


「はい、ステラさんをオレの能力のPTメンバーにしました。これでステラさんだけでも、自由にオレの1LDKに行けますよ。行き方は後で、アリエスに聞いてくださいね。」


この世界にPTを組む考え方はあるが、あくまで一緒にいて戦うだけのものだ。ゲームのように経験値やバフを共有したりできるものではない。まぁ、オレの能力のPTはゲームそのままのことを再現しているみたいだが・・・


「あら、そうなの?、ふふ、楽しみ。」


「じゃ、部屋割りはそんな感じで、あと大きなオフロがあったんでしたよね、見せてもらえます?」


「ええ、こっちよ。」




その露天風呂は日本の温泉地の旅館にあるような規模で十人ぐらいは余裕で入れそうな大きさがあった。洗い場も広々としている。


そして、ライオンの口を模したところから滾々と今もお湯が出つづけており、湯船からお湯が溢れだしている。


「なんか温泉みたいですね。」


「あら、本物の温泉よ、源泉掛け流しなんだから。」


「ええ?、そうなんですか?」


「ええ、イネルバは温泉地でもあるのよ、ダンジョンの方が有名であまり知られてないんだけどね。どう?、今入ってみる?」


「はい、是非!」




カポーン!


何処からか鹿威しの音が聞こえてきた。庭にあるんだろうか?、


オレは肩まで温泉につかり、湯船で足を伸ばしていた。


うん、やっぱり温泉はいい。疲れが吹っ飛ぶ。


「「失礼します。」」


ステラさんとアリエスが入ってきた。


メガネをとって髪をアップにしたステラさんは、なんとも艶っぽい。


アリエスも髪をアップにしたの初めて見たけど・・・これもいい。


「「お背中をお流しします。」」


「はい、お願いします。」


二人がかりで前から後ろから隅からすみまで綺麗にしてもらった。オレも逆に二人を同時に洗いまくった。当然その後二人まとめて美味しくいただきました。




カポーン!


オレは再び湯船につかっている。右にはステラさん、左にはアリエスが寄りかかっている。うん、温泉はやっぱり最高だな!、

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