アイナ・キタヤマ
sideレイア
あれからなんとか父さん達を見つけ、収集がつきひと段落したと思ったんだが、世の中そんなに甘く無いようだ。
「レ、レイア!まままままだ、その、あ、あれなのかしら⁉︎」
「ん・・・・ふふふっ」
「お兄様、お兄様のソフィーナはお兄様に一生ついていきます・・・・!」
前門のアリシア、後門のソフィ、そして脚にアヴァールがしがみついている。
あの騒動からみんなは半日程眠っていた。目覚めていたのはエンヴィと俺と残党狩りに出た連中と非戦闘員だけ。
故に未だ誤解が解けていないのだ。
「あー・・・・まずアリシア?」
「なっ、まず私から、ですって⁉︎」
「ん・・・・見せ、つける、なんて・・・鬼畜・・・・でも、そこ、が、素敵」
「わかりましたお兄様!手配してきます!!」
「待て待て待て待て!!そう言う意味じゃ無いから!先走らないでくれ!」
なんて面倒な。
この状況が『ぼく』の望み、仕組んだことなら、俺はあいつを許さない。やっぱ一発殴る。
「よし、全員一回静粛に!
これから雷魔との戦いで何があったか説明します。なので、父さんとアーケティア副団長、イリス様とエンヴィが来るまで風呂にでも入ってなさい!
昨日から風呂に入ってないでしょう」
「女性にそう言うこと言うのもどうかと思うけど、確かに初夜なのに風呂に入ってないのは問題ね!」
「・・・・私は、別に、レイアの、足、と、蔑み、の、目が、あれば、良い」
「ほらほら、アヴァール先輩、お兄様にご迷惑おかけしてはいけませんよ。
アリシア、行きましょう」
アリシアとソフィとソフィに引きずられているアヴァール、ようやくまともな雰囲気に戻ってきた。
「さて、イリス様の様子を見に行かないと」
父さん達とエンヴィはイリス様の病室にいる筈だ。
「失礼します」
「おぉレイア!ようやく来てくれたか!」
中に入ると、既にエンドルフ様、イリス様、父さん、母さん、アティさん、エンヴィが居た。
まあ、イリス様は横になってるが
「レイア!よく、よくイリスを助けてくれた・・・・‼︎」
「ちょ、エンドルフ様⁉︎頭を上げてください!その事も含めてお話があって来たのです!」
エンドルフ様は話と聞いて真面目モードになったようだ。
他のみんなも同じく表情が真剣だ。
「少々お待ちください。アリシア達が部屋に来てからにしましょう」
「そうか。ではまず私から先に話をしておこう。
イリスとエンヴィの傷はほぼ完治した。
イリスの方は内臓を貫かれていたため、エンヴィに比べると治りが遅いが命にも今後にも心配は無いそうだ。
今回の騒動で出た死人は冒険者17名、一般人37名、学生6名、騎士29名の89名だ」
全部で89人か・・・
「そんなに死者が出たんですか・・・」
「いや、魔物約200の突発的襲撃に対してこの被害だ。言い方が悪いかもしれんが、この程度の被害で済んだのは大きいぞ、レイア」
父さんが説明してくれるが、やっぱり納得がいかない。
「死者は主にAランクによるものだ。
今回はイリスが2体、エンヴィとレイアが1体、騎士団が1体、冒険者が1体討伐した。
やはり対人に特化した騎士では難しかったようで、騎士の被害はここが1番大きかった」
Aランクは残りは騎士と冒険者が担当してたのか。
俺たちはやっぱり運が良かったな
「そんな事よりレイアの怪我は無いの⁉︎大丈夫よね⁉︎」
「母さん、大丈夫だよ。怪我は完治したから」
「怪我してるんじゃないの!」
いや、Aランク相手に怪我で済んだのは幸運なんだけど・・・
「シーナ落ち着きなさい。Aランク相手に完治可能な怪我で済んだのは幸運なんだよ」
こうして見てると段々父さんの役割が見えてきた。なるほど仲裁役か。さすが武官なのに外交官してるだけのことはある。
「レイアくん、やはり騎士団に入る気はないのですか?なんなら近衛騎士の見習いにでもなりませんか?」
「アティさん、今回の件があって、俺はより冒険者になる覚悟を決めたんです。
申し訳ありませんが、その話はもうしないでください」
俺の決心が鈍るから。
俺がそう言うとアティさんはやや青ざめた顔で部屋の隅に行ってしまった。
大丈夫だろうか?傷でも痛むのだろうか?あの人まだ18か19歳だから、今後に響く傷じゃないと良いんだけど・・・
「レイア、続けてもらっても良いか?」
「あ、いえ、ここからさきはアリシア達が来てから・・・・」
「失礼します、レイアがこちらに・・・いますね。
じゃあこのまま入室させて頂きます」
俺が言ったそばからアリシア達が部屋に来た。なんでこう、タイミングが良いんだろうか?
「・・・・アリシア達も来たことですし、話を進めさせていただきます」
エルスとクラリスには後で言えば良いだろう。
「まず、魔物の討伐終了後、仮本部となっていた闘技場に帰還。
それから休もうとしていた時に唐突に雷魔が出現し、そのままなんらかの魔法、スキルでグリフォンを召喚し、皆さんはこれと交戦。この件につきましてはアティさんやアリシア達の方が詳しいでしょう。
俺とエンヴィ、イリス様は雷魔と交戦、結果は惨敗。
どうにか雷魔に傷つけた程度で、その傷もあっという間に修復されました」
「ふむ、イリスがいて尚倒せぬか」
「まあ、イリス様は雷魔に傷も付けれませんでしたが、本気じゃなかったからでしょう。
それに、戦女神様の神託から推測するに、雷魔を倒すにはカーススキルが必要なようです。
雷魔はカーススキルを悪魔の力、『罪源』と呼んでいました。
・・・話を戻しましょう。
雷魔に傷つけた後、雷魔が剣を召喚し、俺を貫いた・・・・筈だったんですが」
「どういう事だ?」
「んー!!んんん〜!!」
「はいはいシーナ、落ち着こうね」
父さんも忙しいな。
父さんと母さんを見ていると、エンドルフ様に視線で促され、話を続ける。
「俺が貫かれたと思ったその時には、俺の体がいつの間にか移動していました。
その後、去年話した『ぼく』が、声をかけて来たんです」
あいつ、雷魔からすげえ恨まれてたけ上に雷魔の事おちょくってたけど、なんなんだろう?
「また、『ぼく』か。雷魔絡みになるといつもその名前が出てくるな」
「はい、どうも雷魔も『ぼく』を恨んでいるみたいで。
しかも『ぼく』が出てきた瞬間、雷魔が俺にもわかるくらい、『ぼく』に怯えたんです」
「出てきた、とはどういう事だ?『ぼく』は肉体が無く、レイアの内にいる存在なのだろう?」
「はい。正確には、俺の体を乗っ取ったんです。ゴブリンロードの時と違って、俺の意識はありましたが」
「体を乗っ取れるのか・・・・」
「続けます。『ぼく』はそれからカーススキルを使用し、雷魔を一方的に、無傷で倒しました。
雷魔はあの場にいた少女に乗っ取っていたようで、本体じゃなかったようです。
その後、『ぼく』は俺の体を乗っ取ったままアリシア達を気絶させ、俺に話しかけました。
『ぼく』曰く、「本体じゃないから死んでいない。結構なダメージを与えたから再起するまで1年猶予がある」と言っていました」
「雷魔を一方的に、か。恐ろしいな。それともカーススキルがそこまで強力なものなのか・・・・」
カーススキルは確かに強力だ。強力無比なその力を持ってすればAランクどころかSランクさえ倒せる。
それだけの可能性を感じさせる力だった。
「陛下、問題はその者の力よりも1年で出来る事でしょう。
雷魔が復活してすぐに襲いかかってくるとは思いませんが、『ぼく』が雷魔の時に助けてくれるという事は、雷魔が今回のように魔物を引き連れてきたときは期待できませんぞ。
ましてやSランクなどが出て来れば、今回のような国の重鎮と護衛がいない限り、街など簡単に滅ぶでしょう」
父さんの言う通り、各国の実力者が揃っているからここは落ちていない。
つまり、こういう状況でもない限り同じ事があれば、そこは滅びる。
「ふむ・・・・・私はこれからの会議にて情報をある程度開示する。
幸いレイアが雷魔を倒した事になっておるし、こちらは『ぼく』については隠しつつカーススキルについて探りを入れる。
アーケティア副団長とマルス公爵は私と共に会議室へ、シーナ夫人はここでゆっくり休んでくれ。
エンヴィ、お前はここを頼む。レイアはアヴァール・アワリティと共に乗っ取られていた少女からできるだけ情報を引き出せ。少女は第5囚人医療室にいる。
他の者は情報を漏らすな。後は好きにしてくれて構わない。
では解散だ。」
みんなが行動を再開し始めた。
「アヴァール、俺たちも行こうか」
「・・・・・わかっ、た」
アリシア達は『ぼく』がアリシア達を気絶させたと言う時点で顔を真っ青にした後真っ赤になっている。
そのせいか、アヴァールも若干赤いが、なんとか話は聞けるようだ。
「さて、行くか」
「ここが囚人医療室ねぇ、医療室って言うより、監獄じゃね?」
「・・・・あくま、で、囚人、の、だから」
俺たちに目の前には鉄でできた扉と、横に立っている2人の門番がいる。
俺たち何も悪くないけど、ちょっと怖いな。
門番が幾つもついた鍵を外し、扉を開け、俺たちを中へ入れる。
「・・・大丈夫そうだな」
中の作りも違うようで、中には病人用のベッドに鎖がついており、少女も鎖に繋がれていた。
肝心の少女は、ちゃんと意識も回復したようで、起き上がってボーッとしている。
「大丈夫か?」
「・・・・・だれ?」
意識がハッキリしてないのか、やや反応が遅いように見える。
「俺はレイアだ。こっちはアヴァール。
君は雷魔と言う悪魔に体を乗っ取られていたんだ。
覚えてるか?」
「・・・・・(ぶんぶん)」
少女は首を横に振る。
「記憶がないのか・・・・自分の名前とか、わかるか?歳は?」
少女は少し考えると、自らの名前を答えた。
「アイ、ナ。私、は、アイナ。15、さい」
まさかの年上であった。いや、同年代かもしれない。
改めて外見を観察する。
髪は黒く、背中まであるようだ。目は黒くて若干虚ろ、身長は150〜160辺りって感じか。
ぱっと見戦人ではない、雷魔に滅ぼされた街や村の女の子か?
「アイナ、自分の出身地とか、記憶、しっかりしてるか?」
「・・・・・わかん、ない。なんにも、わかんない」
いきなり少女・・・もといアイナ、アイナさん?が、涙を流す。
「わっ、ど、どうした⁉︎なんで泣いてんの⁉︎」
「???なん、だか、懐かしい、感じがする」
アイナは目を拭こうと鎖に繋がれた手をガシャガシャする。
「アヴァール、あの子?の、鎖外してやってくれ」
「むぅ・・・・私、その、人、嫌い。
・・・・私、の、アイデン、ティティ、が、揺ら、ぐ」
アヴァールは話し方や雰囲気からしてアイナ、さん?、に似てるもんな。
「仕方ない。ほら泣かないで」
アヴァールは鎖を外してくれないようなので俺が代わりに涙を拭いてやる。
「・・・・ちっ、【強欲】」
突然少女の鎖が消え、アヴァールの手元に現れた。
「なんだよアヴァール、取ってくれるなら最初から取ってくれよ」
「・・・・・損得、の、関係、上、仕方なく、外した、だけ」
「何言ってんだ?」
アヴァールは時々よくわからない。
アイナさんを見ると、顔を背けて拗ねてるアヴァールと違って大分落ち着いていた、と言うかボーッとしていた。
「それじゃあ・・・・ステータスを見てみるか。アイナ、さん、ステータスを開いてもらえるかな?」
「・・・・・ステータスって、何?」
そこからか・・・・記憶がないせいか?
俺はアイナさんにステータスの開き方を教え、ステータスを可視状態にするよう指示する。
名前:アイナ・キタヤマ
種族:人間
年齢:15
性別:女
称号:>{*]+|$,!;,'\$_・s/¥&-「
レベル:1
HP:235/235
魔力:1980/1980
攻撃:110
魔攻:320
防御:98
魔防:220
俊敏:115
スキル:【闇魔法LV1】【光魔法LV1】【凍結魔法LV1】【闘術LV1】
固有スキル:【肉体強化】【治癒魔法】
加護:【神の王の最愛】【魔法神の庇護】【創造神の庇護】
わーお
「なんか、いろいろおかしい気がする」
まず、何だその称号、見れないって何だ。
あと、魔法が3つって何だ。普通、てか常識的に魔法というのは1人2属性持っているものだ。
決して3属性あっていいものではない。
しかも魔法3つに【闘術】って、前衛なのか後衛なのかどっちだ⁉︎
しかも固有スキル2つって、後天的について増えるならまだしも、元々2つって何だそれ⁉︎
いや、記憶のない人生で手に入れたのか?
あと、俺が言えた義理じゃないけど、加護どうなってんの⁉︎
戦女神様に直接会ってる俺でも精々【戦女神の溺愛】だ。
それなのに【神の王の最愛】って⁉︎しかも俺を呪ってる魔法神様から【魔法神の庇護】もらってるし、なんか凄そうな創造神様から【創造神の庇護】もらってるし!
ヤバイこの子、俺以上に国家機密の塊だ
「・・・・・ここ、まで、いくと、妬ましい、わ」
「待て待て待て待て、絶対に【強欲】使うなよ?あと、俺の手には負えないから、エンドルフ様に相談しよう」
決して思考を放棄したわけではない!
「アイナさん、自分のステータス見て、何か思い出せたか?」
「・・・・・思い出せない。わかるのは、名前と年齢だけ」
「参ったな・・・・一応、国かうち(公爵家)で保護って感じか」
「・・・・・学院に、入れる、べき」
「あー、いや、記憶ないっぽいし、今入れても時期的になぁ・・・・・計算とか、出来るか?」
アイナさんに聞いてみる。
計算について聞いたのは計算が生きていく上で重要だからだ。決して自分が計算苦手だからではない!
「・・・・・出来る。四則計算は勿論、二次関数位なら余裕」
「・・・・化け物だな」
「・・・・・レイア、が、苦手、な、だけで、普通、出来る」
失敬な。二次関数位なら俺だって5問に2問は解ける。余裕がないだけで。
「取り敢えず敵意どころか記憶すらないみたいだし、俺の権限の元仮釈放って事で。
エンドルフ様の会議終わるまでエルス達探すか。アイナは俺から離れるな。アヴァールはどうする?」
「・・・・私も、着いて、いく」
「・・・・わかった」
無口な幼女(仮)2人連れてる男(身長170前後)って構図はマズイから急ぐか。
いやぁ、予定にないキャラ出しちゃいました。
しかし!後悔はしてません!予定に大幅な修正が必要ですけどね




