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黒銀の魔眼剣士  作者: 神名一葉
第2章:学院三年生
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魔物の軍勢

sideレイア


俺とエンヴィは魔物の軍勢を押しのけてAランク目指して走っていた。


「そろそろヤバイな。【救済者】!【救済剣】!」


「レイア、【部分龍化】は温存しておけよ!

ああなったお前はどうも動きが雑すぎる。体力の無駄だ。」


「そりゃあ強過ぎて制御できてねぇからな。【部分龍化】であれなら【龍化】はどうなってんのか見当もつかん」


ナイトの話では【部分龍化】<【半龍化】<【龍化】らしい。

【部分龍化】でも持て余してるからお前じゃ【龍化】は1000年早いなんて言われた。


と、ここで目の前にいかにもな姿が・・・


「さて、Aランク魔物様のお出ましだな。頑張って行こうぜ!」


「あぁ、Aランク等と戦える機会は少ないからな、今更だが、負けてて良かったと思ってるぞ!

勝ってたら体力を消耗してたからな」


俺達の目の前にいるのはAランク下位指定の魔物


三頭犬、所謂ケルベロスだ。


体長4m、足は4本、頭は3つ、尻尾が1本、魔法を扱える犬型の魔物だ。

ケルベロスは身体に属性付き色付きの魔力を纏っている。今回のケルベロスは黒色の魔力を纏っている。つまり属性は【闇魔法】か【深淵魔法】。

俺の場合は【神聖剣】を使えば滅茶苦茶強くて頭が3つある犬程度の認識だ。

それでも十分強いが。


「エンヴィ、お前ならあいつの【深淵魔法】、捌けるか?」


「・・・・ものによるな。物理技は無理だが、純粋な魔法なら恐らく捌けるだろう」


なら俺が盾やる必要はないな。


「よしエンヴィ、なんとかなるだろ、お互い1本首を落としに行こう!」


「わかった、私は左をやろう」


そう言ってエンヴィは左の方の首に突撃していった。

エンヴィが突撃したことで真ん中の首はエンヴィを迎撃、右は俺の方を向いている。

一応は有利な立場なわけだし、遠距離攻撃でエンヴィの補助をしつつ右首を落とすか。


「『ライトアロー』!【斬光波】!」


敵は闇属性のケルベロス。ならば【光魔法】に【神聖剣】、【救済者】の補助を混ぜれば十分倒せる。

ケルベロスは『ライトアロー』を手で払いのけ、【斬光波】を魔法で迎撃しようとしたが、何時ものように斬撃が通り抜けてケルベロスを攻撃する。


・・・・・今、『ライトアロー』素手で弾かれたんだけど、俺の魔法ってそんな弱いの?


「ガァァァァ‼︎‼︎」


「ーっとと、あっぶねぇ!」


変なこと考えてたせいで反応が少し遅れた。まあ、ちょっとかすっただけ、と言うかかすってもないんだけど・・・


「それでこの傷か・・・」


俺の皮鎧にはケルベロスの爪と同じ形状の傷が付いていた。

これは結構危ないな。


「エンヴィ!いけそうか⁉︎」


「レイア!すまないが少し厳しい!そっちを処理したら加勢してくれ!」


「了解!」


俺は身が首のケルベロスを睨みつける。

今なら周りに大した人も居ない。だったら・・・・


「いくらでもやりようはある。【水晶眼】!」


「ガァァァ⁉︎⁉︎」


久々の【水晶眼】でケルベロスの右脚を凍らせる。

凍った右脚に驚き、注意が向いた一瞬に


「【ブレイドキャノン】!」


【ブレイドキャノン】は突き技だけど、威力が高い。これなら格下の俺でもなんとか目を塞げる。

ケルベロスが悲鳴を上げる。


「レイア!よくやったぞ!【堕星】ぃぃぃ!」


「え、なんで⁉︎」


エンヴィの方を見ると、エンヴィは既に刀で頭を1つ切り落としていた。


「ぼけっとするなレイア!真ん中と右が残ってる!」


「あ、ああ!」


考え事を後回しにし、ケルベロスを見る。

ケルベロスは真ん中の奴がこちらを向いてるが、どういう訳か右の頭もしっかりとこちらを見ている。


「なんだあいつ、なんでこっちを・・・?」


「恐らく、五感を共有した生き物なのだろう。お前が何かした時、奴の頭の動きの統制がいきなり崩れた。

お陰で頭1つ切り落とせたぞ」


「そういう仕組みか・・・・じゃあ、属性的優位があってもやっぱ1人で挑まなくて正解だな。」


Aランク指定でも下位で属性的優位があるからこれだけど、やっぱ強いんだなぁ


「ガァァァァ‼︎」


「あ、ヤバイ、【深淵魔法】だあれ。ブレス系の何かだ」


「レイア!なんとかしろ!」


「ふざけんな!ブレスって無効化できてもなんか痛いんだぞ⁉︎」


ナイトのブレスとかアリシアの魔法を受けてる俺にはわかる、あれの痛さは洒落にならない!


「『光鎧』!エンヴィ!俺は真ん中抑えるから右のをどっかに反らせ!

このまま撃たせると後ろに被害が出る!」


「わかった!任せておけ!」


俺は『光鎧』を身に纏い、ケルベロスの顔に突進する。

このまま顔に貼り付けばおれのほうは問題ない。


「・・・・『スロウヒール』(ボソッ)」


やっぱりね、不安だからね、遅延式回復魔法は必要だと思うんだ、うん。

結構勇気がいる突進だが、ケルベロスはここで思いもしない行動に出た。


「ガァァァァ‼︎」


「ーっ⁉︎ぐっ⁉︎」


ケルベロスの奴、いきなりブレス中止して俺に噛み付いてきた‼︎


「がっ、ああぁぁぁぁぁ‼︎⁉︎」


や、ヤバイ・・・‼︎Aランクの顎力尋常じゃない。こじ開けれるとかそんなんじゃねぇ‼︎

正直今までナイトとかの手ほどき受けてて余裕とか言って浮かれてた・・・‼︎


「レイア⁉︎急にこっちのブレスが強くなったぞ⁉︎」


こっちのブレスが消えたんじゃなくて、むこうのブレスに加算されたのか⁉︎


「こ、いつ・・・‼︎ブレス中止して、噛み付きやがった‼︎」


「はぁ⁉︎レイア!お前生きてるか⁉︎」


「いいから!さっさとそいつ、どうにかしろ‼︎」


俺の叫び声と同時に、エンヴィは刀で頭を攻撃し、追い詰めていた。


「【乱華】!」


「ガァァァァ‼︎⁉︎」


ケルベロスは1頭死に、1頭俺に噛み付き、1頭目が潰れてるため、エンヴィの攻撃であっさり死んだ。

ついでに俺もあっさり死にそうだ。


「エンヴィ!なんかこいつこのままブレスの準備してんだけど⁉︎」


「何⁉︎レイア!急げ!」


「無理だって!こいつ、力強すぎ・・・‼︎」


「顎の筋を切れ!対処法は学院で習っただろう⁉︎」


・・・・そいえばそんな事言ってたわ!


「サンキューエンヴィ!【ブラスト】ォ‼︎」


【ブラスト】は顎を引き裂き、俺の腰の辺りを通過して反対の顎も引き裂く。

あっぶねぇ!男として死ぬところだった!

俺は戦慄しながらも落ちてる間に剣を振るい、ケルベロスの首を落とす!


「【ライトニングラッシュ】!」


俺はスキルでケルベロスの首を連続で切り裂き、落とす。


「はぁ・・・・あっぶねぇ、度々死ぬところだった」


「あぁ、少し疲れすぎじゃないのか?

アヴァールと戦ったばかりで疲労がたまってるのに、よく生きてられたな。

私としてはお前にはフォローか囮を担当してもらうつもりだったんだが・・・」


「いやいやいや、殆どそうだったでしょ!

流石にこの状態でAランクに挑むのにアタッカーにはならないよ。足引っ張っちゃうばっかりだ」


実際、足引っ張ってたしな、俺。


「さて、帰るか。レイア、おぶってやるから剣をしまえ。疲れただろう?」


「いや、流石に頑張ってもらったのにそこまでされるわけにはいかない。男の意地的に」


ほら、一応公爵家長子だし、継承権無いけど長子だし!

あと他のみんなに見られたく無い


「そうか?飛んで戻るから大した手間では無いのだが・・・・」


危ないって!俺、飛ぶの苦手なんだよ⁉︎

ナイトに連れまわされて少し慣れたけど、抱えられたりして飛ぶのは未だ恐怖だよ⁉︎

・・・・断ってよかったぁ








俺とエンヴィが帰還すると、みんなは既に撤退をしていた。


「早いなお前ら」


「あらレイア、初撃であれだけやったからね、数はいても殆ど瀕死よ。アヴァール先輩が途中で復帰したしね。

お母様も暴れながらAランク2体討伐してたし」


見てみるとアヴァールが壁にもたれて休んでいた。あれから参加したのか、止めろって言ったのに・・・・。

しかしイリス様も滅茶苦茶だな。流石英雄って所なのか?


「うむ!流石母上だな!私達では出来ないことをあっさりやってのける!」


・・・・エンヴィ元気だなぁ、もうそろそろ日が暮れるからかな?


「さて、じゃあちょっと休んだら残党狩りに行かないとな」


「必要ありませんよ、お兄様」


地面に座ろうと思ったら、いきなり頭を押されて仰向けになってしまった。


「ソフィ?」


俺はこの謎の膝枕体勢について質問したのだが・・・・


「今、アーケティア副団長含む騎士の皆様が残党狩りに向かいました。

それ以外の皆様はお休みにならられていらっしゃるので、お兄様も少し寝て休んでください」


ソフィが微笑んでこちらを見て言う。


「お疲れでしょう、私がこうしていますから、お休みください」


「・・・・わかった。移動の時とか、何かあった時に起こしてくれ」


「わかりました」


それじゃあ、と俺が寝ようとしたその時・・・・・


「ほう?この私が来ているのは『何か』に該当しないと言うのか?」


黒い姿の壮年が、『悪意』が、そこに佇んでいた。


「ーっ⁉︎雷魔⁉︎」


「私の侵攻を邪魔しおって、雑魚のくせして随分と付け上がってるようだな」


雷魔がそう喋ってる間に、俺はソフィを抱えて雷魔から距離をとる。

俺の後ろでは俺の声に反応し、エンヴィやアリシア、アヴァールが戦闘準備に入っている。


「レイア、これが雷魔か⁉︎」


「あぁ、アヴァールをメインにして攻めるぞ。

アヴァールは【強欲《アワリティア》】で攻撃してくれ。エンヴィと俺は前衛、アリシアは援護、ソフィはイリス様を呼んできてくれ」


「・・・・わかりました。無茶しないでくださいね、お兄様」


ソフィは【風魔法】で移動し、いなくなった。


「・・・・雷魔、なんの用だ」


「フ、なに、用というほどのものではない。

どういう訳か我ら悪魔の『罪源』を持つ人間がいるのでな、見にきてやったのだよ」


『罪源』?


「『罪源』、だと?」


「そうだ、貴様らは【カーススキル】等と呼んでいるようだな」


ーっ‼︎【カーススキル】が、悪魔の力⁉︎それでここに・・・?

いや、それだけなら前に俺にあった時に何かしてもおかしくない。なら目的は・・・・


「アヴァールが目的という訳か、アヴァールをどうするつもりだ・・・‼︎」


「決まっている。悪魔の力を持つ者に、悪魔が会ったら何をするか」


雷魔は手を振りかぶり、莫大な魔力をその手に纏う。

それを見て、俺たちも全員、剣を構え、魔法を唱える。


「その魂、喰らって我が糧とする!【傲慢《スペルヴィア》】【召喚:プライドグリフォン】!」


「【部分龍化】!【救済者】!【救済剣】!」


第2の戦いが始まる










「アヴァール!お前は下がってグリフォンを!俺とエンヴィ、イリス様は雷魔を倒すぞ!」


「ふん、この私相手に勝つ気でいるのか、『封印の番人』レイアよ」


「ーっ⁉︎」


なんでこいつが俺の称号を知ってる⁉︎


「『ダークライフル』!」


「『フレイムバースト』!」


俺がパニックになってる間に、エンヴィとイリス様は雷魔を攻撃していた。

一方の雷魔は動かない。


前に戦った時のように


魔法が雷魔を襲う。だけど・・・・


「効かんな、その程度の魔法。そもそも私に牽制など、通用しないのだよ」


雷魔は魔法を手で払い、再び唱える。


「【孤高の存在《オンリーワン》】」


瞬間、雷魔が消え、俺の背後から声が聞こえた。


「・・・・これが魔王の一族か、本人は勿論、あいつの足元にも及ばない」


「ーっ⁉︎」


俺が振り返ると、エンヴィとイリス様が腹を貫かれて倒れていた。


「なっ、エンヴィ!イリス様!」


「どうしたレイア、貴様は勿論この程度ではないのだろう?

まだまだ楽しませてみろ!」


俺は雷魔が何か言うよりも先に、すでに行動に移していた。


「【縮地突き】!」


「効かんわそんなもの‼︎」


当然の如く弾かれるが、俺の目的はそこじゃない。


「こっちには時間がないんだよ‼︎【古代龍の息吹】!」


「なっ⁉︎それは・・・!」


俺の口から黄金のブレスが出る。

【古代龍の息吹】は古代龍のみが使えるブレス。

威力は【龍魔法】の中でもトップクラスだ。威力は消費魔力に依存する。

今回消費した魔力は・・・・・5500


雷魔を中心に爆風が吹き荒れ、床にヒビが入る。


「はあっはあっはあっ、早く、回復しないと、2人が・・・」


俺がエンヴィとイリス様に『スロウヒール』と『メガヒール』をかけようとすると・・・


「2人が、なんだと言うのだ?」


「ーっ⁉︎雷魔⁉︎まだ生きていたのか⁉︎」


後ろを振り返って見ると、雷魔は立っていた。

多少の傷こそあるものの、致命傷は皆無、見ている間にも傷が治っている。


「流石に焦ったが、私の【優越】を永続的に覆すほどではない。

さて、次はこちらの番だ、レイアよ。【傲慢の剣《ゴウマンノツルギ》】」


雷魔の手に出現した錆だらけの悍ましい剣が、俺の体を貫いた。

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