魔法大会決勝戦
sideレイア
無事二回戦を突破し、決勝戦が始まった
「レイア、なん、で、こんな、に、決勝が、早い、の?」
「ああ、この大会はステータスに左右されやすいからな、試合数が少な目に設定されてるんだ」
「ふぅん・・・・」
やっぱり魔法関係だとアヴァールは好奇心旺盛だな。
『さあ、やって参りました決勝戦!!
なんと今回は両選手共に王国出身です!今年の王国は強いぞぉ!!
さて、対戦内容ですが、今回は帝国皇帝陛下より提案していただきました魔法対戦です!!
ルールは簡単、ただひたすら魔法を撃ち合い、相手のHPを0にするのです!!
なお、張られる結界はHPが0になると無傷の状態で外に放り出される仕組みとなっております!!
それでは皆様、存分にお楽しみください!!』
これはまた、帝国らしい過激でシンプルな競技が出てきたな。ちなみに張られてる結界は本来闘技大会で使われるものだ。
さて、フィールドには我らが王女と公爵令嬢、どういう訳か仲良しな二人は結構マジな雰囲気で睨み合っている。
おかしい、あの二人は結構仲が良かったはずだが・・・・何かあったのだろうか?
『それでは、試合開始!!』
試合が始まったが、ノリが完全に闘技大会のそれと一緒だった。
攻撃が始まったのはほぼ同時。
アリシアお得意の【火魔法】の下級魔法とソフィの【風魔法】の下級魔法がぶつかり合う。
相性だけで言うならアリシアのほうが有利だが、そういうものだけで決まらないのがこの大会だ。
分が悪いソフィは即座に別の魔法を展開する。
展開したのは相性の良い【水魔法】、その中級魔法。
予定通りとでも言うかのようにアリシアは次の魔法を放つ。例の魔王様(笑)の笑えないレベルの爆発魔法だ。
あの魔法は【闇魔法】の性質が濃いから【水魔法】に負ける事も無いと判断したんだろうな。
事実アリシアの極悪魔法はソフィの魔法を押し返している。
「・・・・なんか、過激、な、戦い、ね。
【風魔法】を、使っ、て、移動した、り、【闇魔法】で、ブラインドとか、すれば、いいの、に」
「まあ、効率を考えたらそうなんだろう。
けど、あの二人は多分、ちゃんと正面から挑んで、どちらが上なのかはっきりさせたいんじゃないか?
こんなに良い環境で戦えることは早々ないからな。たとえ王女であったとしても・・・・
それを別としてもソフィは動きながら魔法を使うのは難しいだろうし、アリシアも余計な消耗は抑えなければ長期戦に持ち込まれたとき不利だ」
「・・・実践、経験浅い、と、そうかも、ね?」
俺たちが喋っている間にも戦況は変わっていく。
ソフィは一旦状況をリセットするために全てを吹き飛ばそうとした。
つまり去年俺に使った【水魔法】と【風魔法】のコンボによるごり押し。
ソフィの目論み通り、濁流は全てを飲み込んだ。アリシアはちゃっかり防御を張っている。
「・・・流石ですねアリシア。こちらは手一杯なのに随分と余裕そうです」
「あら、皮肉かしらソフィーナ。貴女の魔法は一撃食らっただけで終わってしまうものが殆ど。
だから防御には細心の注意を払っているのだけれど・・・」
・・・・だんだん雰囲気が険悪になってきている。
「『レインランス』」
ソフィは再び【水魔法】を放つ。今までと違って上からの中規模範囲攻撃魔法だ。
ソフィとアリシアの相性は良くもあれば悪くもある。ソフィの【風魔法】では【火魔法】を無効化できないが、【水魔法】なら無効化できる。
アリシアが【闇魔法】を使うか接近戦に持ち込んだらアリシアに分があるが、この試合で接近戦は認められていない。【闇魔法】もそれ単体で使う事はないだろう。
結果、アリシアのほうが若干不利ではあるものの、ソフィの【水魔法】はレベルがまだ低いから拮抗している。
そうなれば問題は魔力量だが、ソフィには『星紅のネックレス』で魔力量が+1000ある。
アリシアが火力で押し切らない限りソフィの勝ちだ。
そしてそれをアリシアもわかっているのだろう。最大火力を使う他なくなった。
「『黒炎魔導砲』!!」
叫ぶのも恥ずかしい【黒炎】シリーズを使い始めた。
【闇魔法】によるブーストがある以上、ソフィがあれを消すのは骨が折れる。
さあこの不利な状況、ソフィはどう巻き返し、アリシアはどう押し切るのか・・・・
sideアリシア
決勝戦が始まっておよそ10分、私とソフィの戦況は未だに変化がない。
HPはお互いに全く減っていない。お互いに魔力だけが減っていく一方。
このままいけば『前衛も出来るなんちゃって魔法使い』の私より純粋な魔法職のソフィに負けてしまう。
しかもソフィには魔力を蓄えるネックレスがある。
見かけ上は拮抗していても、明らかに私の方が不利。
なら私がすることは・・・・・
「出し惜しみなんてしない、最小の労力で、最大の破壊力をもたらして見せる!」
「受けてたちます、アリシア!」
私たちは同時に魔力を高め、魔法を放つ。
さっきまでと違うのは私が【闇魔法】と【火魔法】を合成しているという事、そしてもう一つは私が走りながら攻撃しているという事。
「・・・・くっ、面倒な事をしてくれますね・・・・」
「ふふふ、流石にどこから来るかわからなければ、そちらに力を回さねばいけなくなるだろう?」
物理法則に縛られないのが魔力だが、魔力から魔法として変換され、質量を得た後は普通に物理法則に縛られる。
当然走りながら魔法を撃てば魔法が曲線を描いて飛んでいく。
1個2個なら予測はしやすいが、私は5発同時に撃っている。これはもう【風魔法】で軌道を先読みするしかない。
私の消費も激しいが、あちらの消費も私以上に激しいはずだ。
「結界系の魔法は常時展開型だものね・・・」
「くっ・・・貴女は、貴女は何時も、私の邪魔ばかり・・・!!
私は!貴女に勝って、自分の価値を見出さなければいけないんです!!
貴女にだけは、負けられないんです!【風の神に願う、我が名はソフィーナ・・・・】」
「-っ!?風の最上級魔法!?あれを使うには、貴女では魔力もレベルも足りないハズ!!」
「私だって、決め手の1つや2つ、練習していましたよ!!
成功して・・・!『風雷龍の憤怒』!!」
ソフィは風の最上級魔法の一つを試みる。
【風雷龍の憤怒】は風属性最上級の中でも単体相手でならトップクラスだ。
ソフィのそれは、成功した。発動してしまったのだ。
その効果は大きく、周囲に雷を含んだ竜巻を発生させ、中では雷と風の刃が渦巻いている。
あれが直撃したら私の体はあっという間に蹂躙されてしまうだろう。この間のワイバーンすら屠れる威力だ。
「・・・・どうせなら、全力を尽くすまでよ!!
ソフィ、私だって貴女には負けないわ、私の単一最強攻撃魔法で貫通して見せるわ!!『黒龍灰燼砲』!」
お母様から教えてもらった【闇魔法】の上級魔法の改造版。
ヴァンパイアの血を半分引いている私なら、【闇魔法】の適正は十分にある。
成功率は高いしソフィンそれより速い。
私の手から出た黒く輝く魔法陣から真っ黒な龍が出現し、2m程まで大きくなり、その口からこれまた黒い炎の塊が放たれる。
趣味の悪い事に黒龍のめは白目をむいて口から舌がはみ出てる。
私も最初見せてもらった時に驚いた。
「なによこれは!?どれだけ引っ張るつもり!?遠回りしすぎでしょ!!」
そう言った私にお母様は言った
「ええ、面白いでしょう?冒険者時代に宴会で使う一発芸の為に私が構築したのよ。威力も申し分ないわよ」
と、まあ、お母様にとっての一発芸は上級魔法の中でも上位の威力を持っていた。
閑話終了
私の魔法は竜巻を突き抜け、余波によって竜巻の殆どを消し飛ばす。
惜しい事に魔法はソフィには当たらず、消滅してしまった
「・・・・どうやら、引き分けのようですね」
「・・・いいえソフィ、貴女の魔法と私の魔法には違いがあるのよ」
「え?」
「貴女の魔法は魔法陣から直接魔法が放たれるわ。けど私のは違う。私の魔法は魔法陣から龍が出て、その龍が炎を撃つのよ。
ここで問題、魔法陣とは何でしょう?」
「・・・・・-っ!!そう言う事ですか‼︎」
魔法陣とは、魔力を注ぐだけで魔法を発動させるための、言わば触媒。
触媒である以上それ自体が発動に必要なわけではない。
問題はその後だ。
この手の上位の魔法を行使する際、その魔法陣が魔法の補助として出てくる。
この魔法陣には2通りの種類がある。
直接魔法をぶつけて消滅する使い捨てタイプ
物質を生成して、それを維持するタイプ
ソフィのは前者で私のは後者。
前者のソフィの魔法陣は役割を終えて消滅しているが、私の魔法陣はまだ存在している。無くなっているのは黒龍だけ。
つまりそれが示すことは・・・・
「連射機能付き、という訳ですか・・・・」
「ええ、最低3発、これは覆らないわ。そしてインターバルは7秒。
貴女のまけよ、ソフィーナ・ドライア・ナイトヴァンス」
第二の黒龍が相変わらずの顔を出現させ、黒炎を放つ。
ソフィの体は炎に包まれ、HPが0になり、司会のジャッジが入る。
『し、勝者、アリシア・フォン・イーストラル王女!!
素晴らしい【闇魔法】と【火魔法】を駆使し、見事風の最上級魔法を破って見せました!!
よって今回の魔法大会優勝者は、アリシア・フォン・イーストラル王女!!』
ーわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!




