敗北の代償
sideレイア
目が覚めると、そこは白い空間だった。
「・・・・またここか」
「やあ大馬鹿野郎」
やはりと言うか、そこに居たのは銀髪に右が蒼、左が紅のオッドアイの少女のような少年。
「『ぼく』、いつにも増して辛辣じゃないか?」
「辛辣にもなるさ。
あの悪魔がやった攻撃は魂に直接攻撃するスキルだ。
あいつが加減してなかったら死んでたぜ?」
うわっ、そんなヤバイものだったのか・・・・
「・・・なぁ、俺大丈夫かな?」
「普通ならダメだね。四肢の何処かが動かなかったり、ステータスがイカれたりする。
けど、『ぼく』が居て良かったね。
本来『俺』が受ける筈のダメージを『ぼく』と『俺』で分割し、実質半分の威力で済んだ」
わ、わかんねぇ
「・・・・つまり?」
「はぁ、つまり『俺』が1000ダメージ受ける筈の攻撃だとしよう。
『ぼく』が居るから『ぼく』に500、『俺』に500ダメージはいるんだよ」
「なるほど、最初からそう言ってくれよ」
「言ったよ。君の頭が悪いのが原因じゃないか」
し、失礼な・・・・・否定しきれないぞ?
「それと、現実世界へ帰った時、気をつけろよ」
「??何をだ?」
「雷魔の攻撃は魂に攻撃するスキル。
『ぼく』が居たから良かったものの、普通なら魂に受けた傷は体に反映される」
「つまり、起きたら俺の体にどんな傷が出来てるか分からないってことか?」
俺の体は元々傷が多い。殆ど訓練で出来た傷だ。
その傷も訓練で肌が浅黒くなってるから目立ちにくくなっている
「傷で済めば良いけど、下手したら心臓に影響があったりするぞ?」
「それはヤダな・・・・頭とか、足とかは大丈夫なのか?」
そっちも不安だ
「足はわからないけど、頭は大丈夫だ。
もし頭に影響があったらそもそも会話できてないよ。
多分、あばばばばば、とかほっほぁあああああ‼︎、とか言ってたりするんじゃないの?」
「頭が無事で良かった‼︎」
心底そう思った瞬間だ。
「まあ良い、精々頑張って自力で来れるようになりな。
雷魔に攻撃してもらって来るとかじゃダメだからね」
「やんねぇよそんな事⁉︎」
「どうだか・・・・」
ここで、俺の視界が眩み始める
「おやおや、もう時間か?早いもんだ。じゃあ最後に忠告しておくよ。
雷魔に勝ちたければ、【色欲】の条件を満たせ。
そうすれば使い方は自ずと分かる」
それだけ聞き俺は意識を失い、現実世界へ帰還した。
「うっ・・・あぁぁ・・・何処だ、ここ?」
目が覚めると、目の前は真っ暗だった。
「え、マジで何処だここ?」
気絶、と言うかボコされたため倒れた後の記憶なんて当然ない。
だから、ここが何処かわからない。
「あ、レイア、起きたみたいね」
「その声は、アリシアか?なんで真っ暗なんだ?ここは何処だ?」
「落ち着きなさいレイア、貴方が気絶してまだ数分よ。貴方、雷魔の攻撃にやられたのよ。
驚いたわよ、いきなり体に大量の切り傷が出来るんだもの」
そこまで影響があったのか。
そう言えばステータスがイカれたりするとか言ってたな。
調べてみるか?
「ステータス」
名前:レイア・ドライア・ナイトヴァンス
種族:人間
年齢:14
性別:男
称号:封印の番人
レベル:34
HP:1733/2162
魔力:722/722
攻撃:1298
魔攻:365
防御:790
魔防:223
俊敏:711
スキル:【両手剣LV6】【分析】【火魔法LV4】【光魔法LV6】【念話】【恐怖耐性LV3】
固有スキル:【魔眼王】【救済者】【龍魔法】
カーススキル:【色欲】
加護:【剣神の加護】【聖神の加護】【戦女神の溺愛】【魔法神の呪縛】【古代龍との絆】
若干レベルが上がってる以外、変化無しだ。
イカれてはないな。安心どころか【光魔法】のLVが上がって嬉しい位だ。
「結局異常は体の傷だけか」
まあ、なんともなくて良かった。
と、思ったら急に腹が痛み出した。
「ーっ⁉︎・・・え、アリシア⁉︎」
痛みは傷じゃなく、アリシアが腹に抱きついてきたからだった。
「うっ・・・うぅ、し、心配、したのよ⁉︎
あんな、あんないきなり、向かってって、ぐすっ、死んだかと思ったのよ⁉︎」
アリシアは泣きながら、俺に語る。
「うっ、ご、ごめん」
「ダメ、ゆるさない。だから、もーしばらく、このまま」
「・・・・わかった」
俺はそのまま暫くの間、アリシアを抱き締め続けた
「ぐすっ、ありがと、もう良いわ」
「そうか」
アリシアが泣き止み、次の話に入る。
「それで、他の皆はどうなったんだ?」
「副団長は馬車と騎士達の亡骸を取りに行ってるわ。
伯爵は自分の馬車に戻っていったわ。早く妻と護衛達を埋葬したいんですって」
「雷魔は?」
「雷魔は・・・消えたわ。貴方に攻撃した後、霧になって何処かへ消えたの。
それと、その時に伝言を残してったわ。「レイア・ドライア・ナイトヴァンス、愚かなる人形へ、貴様の相手はまた今度だ。次は楽しませろ」・・・って」
「くそっ、俺が、あいつを仕留められなかった所為で、また、新しい犠牲者が出るかも知れないのか・・・・‼︎」
もっと、もっとレベルと、スキルと、ステータスを上げなければ・・・‼︎
「レイア、戦女神様も仰ってたんでしょう?
雷魔を倒すならカーススキルは必須だって、だったら今回倒せなかったのは貴方の責任じゃ無いわ。
時期が、悪かったのよ。せめてベルゼが居れば、良かったのだけれど」
そうだ。未だに俺たちは、カーススキルの解放が出来ていない。
出来てるのはベルゼただ一人だけ。一番近いのはアヴァール、次にエンヴィ、そして俺。
俺の場合はどうせ年取れば解放されるだろう。アヴァールも一回暴発したみたいな事仄めかしてた。
問題は、エンヴィ・インヴィディアか。
「まあ、いいか。所詮本人の問題だ」
「??どうしたの?レイア」
アリシアが俺を心配そうに見上げてくる。
「いや、何にも無い。行こうかアリシア、アティさんも大変だろうし、こっちから行こう」
「ええ、わかったわ」
俺たちは腕を組みながら馬車の方へ進んでいった




