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二度目の私  作者: 川木
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「お姉ちゃんお姉ちゃん」

「なになに? どうしたの?」


ノックをしながら最近にしては珍しくご機嫌なハイテンションで私を呼ぶ優生に、何だか私まで嬉しくなってにこにこしながらドアを開けた。

昨日から素直な優生に私は2年くらい戻った気持ちになってとても嬉しい。


「お姉ちゃん、勉強教えて」


顎をひいて上目遣いになる優生。可愛い。なにこの可愛さ。まるで計算され尽くしたみたいな可愛さだっ。


「もちろん。いくらだって教えるよっ。約束してたもんね」


自分から勉強をと言い出すのは珍しい。中学年ごろから勉強は面倒と言いだして中々しなかったのに。

優生が急に優等生な完璧いい子になっちゃって驚いたけど、まあいいか! また何か心変わりするなにかがあったんだろう。


私は自分がやっていた課題は放り出して優生の部屋に行く。

優生の部屋には勉強机しか机がないので優生を座らせて私は隣に立って卓上を覗き込む。


「あのね、こことこことあとこっから先がわからなくてー」


多いな。5年生になってから算数が難しくなったのか成績も下がってたから予想はしてたけど。あ、下がったから一念発起したのかな。


「これはね、ここを」


とりあえず一つ目から教える。


「んー、わかんない。ちょっとお手本見せてよ」

「ええ? …仕方ないな。こう、ここの数字を持ってきて」

「ふんふん」

「わかった?」

「んー…もうちょっと。こっちのも」

「こっちは応用で、ここの」

「口じゃわかんないー。お手本見せてよ」

「……こう、ね、見て。まずこの下から」

「ふんふん」

「…わかった?」

「わかんない。もうちょっとお手本見せて」

「……」


い、いいように使われてる!?


「ね? お姉ちゃんお願いっ。いいでしょ?」


計算づくの可愛さだった。可愛いけど…これが目的か!


「優生! 真面目にしなさい。ちゃんとわかるまで説明してあげるから」

「ぶー。いーじゃん。お姉ちゃん頭いいんだから」

「宿題は私がやってあげれても、テストは出来ないのよ? ちゃんと優生が理解できないと意味ないの」

「うー…もういいよ! お姉ちゃんのブスっ! 嫌い!」

「なっ…」


なんてことを。優生が…私を…嫌いって……。


「もう出…ってええ!? な、なな泣いてる!? お、お姉ちゃん? なに泣いてんの?」

「ゆ…優生、おね、お姉ちゃんの、ここと、き、らい、なの?」


昨日のも全部宿題のための嘘だったの!?


「き、嫌いは嘘、嫌いは嘘だよっ」

「ほん、と?」

「本当だよ! 昨日言ったでしょ。一生お姉ちゃんの面倒見てあげるって」

「でも…宿題やらせる嘘なんでしょ?」

「嘘じゃないって。お姉ちゃんはうざいし、口うるさく勉強やらせるし、うざいけど、好きだよっ」

「う…あ、ありがとう、優生」


とりあえず涙はとまったけど、優生にかなりうざがられてたのは本当みたいだ。うぐぐぐ。教育って難しい。


「もういいよぅ。僕が悪かったよ。言いすぎた。ごめんなさい」

「うん、いいよ」


ごめんなさいができるいい子に育ってくれてはいるけど、やっぱり優生も反抗期なんだなぁ。思い通りにいかなくてイラッとして私にあたって、心にもないこと言ちゃったんだ、よね?

てゆーか、考えたらブスとか生まれて初めて言われた。地味にそれもショックだ。


「じゃあ、勉強しようか」

「…だりぃ」

「こら、口悪いよ」

「お姉ちゃんさぁ、そーゆーとこは本当、うざいから気をつけた方がいいよ」


……嫌われてないとは信じるけど、また泣きそう。











優生回終了。多分しばらく出番はありません。

今回悠理が泣いたので嫌いだけは言わなくなります。が、優生は反抗期なので今後も機嫌が悪くなると「うっせー、ばーかばーかブス」とか言います。でもうざいと思いつつ悠理を慕ってはいるので機嫌がいい時は側に寄ってきたり抱きしめかえしたりはします。

あとお願いしたりして甘える時は露骨に弟ぶりっこします。悠理もうすうす気づきつつ大抵甘やかします。


思春期の不安定さを表現したかったんですけど、難しい。こんなものなのかどうか、よくわかりません。おかしなところがあればご指摘お願いします。


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