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優生回ってことで今日は2話同時更新です。
8月1日、私は彩ちゃんたちの家族旅行から帰還した。お母さんへの挨拶もそこそこに優生の部屋へ突撃する。
「優生ーっ」
「おかえり」
「んーっ、たっだいまー! 愛してるよー!」
「はいはい」
一週間ぶりに帰宅した私は思いっきり優生に抱き着く。時差ぼけで眠いのもあるけど毎年のことだったりする。
旅行はもちろん楽しいし海外の綺麗な海で泳ぐのは最高だったけど、優生に会えない分今の私には優生分が不足してるのだ!
「優生ー」
「暑いよ」
優生も久しぶりだからか二人きりだからか、文句を言いつつも振り払おうとはしない。くんかくんか。優生の臭いがする。ちょっと汗くさい。
「今週いっぱいは家にいるから遊ぼうね」
ちなみに夏休みに入ってすぐ行く日程なのは向こうの都合で毎年そうだったりする。今回葉子ちゃんの家にはお盆前に行くことになったしちょうどいい。間を空けないとしんどいし。
「んー。あのね、お姉ちゃん」
「なぁに?」
「その…今日は手、ずっと繋いでてもいいよ」
「え? なに? どうしたの? あ、もちろんもちろん嬉しいけどねっ」
「べ、別に。ただ今年はお姉ちゃんまた旅行行くし…僕と離れて寂しくて泣かれたら困るからね。仕方ないから手くらい繋いでてあげるよっ」
「優生っ、好きっ」
私と長ーく離れると寂しいと思ってくれてるんだ! ううー! 優生がいい子に育ってくれて本当に嬉しいよぅ!
最近たまに口が悪かったり、テストの点が悪いと隠したりする優生に、育て方間違えたかと不安になることもあったけど…やっぱり優生はいい子のままだった! あれはただの反抗期なだけで根はいい子のままだった!
「うー…お姉ちゃん」
「なーに? なんでも言って」
「僕のこと…一番好き?」
「もちろん。お姉ちゃんはいつだって、優生を世界一愛してるよ」
「…んふふ」
にたぁ、と鼻の穴をふくらませて笑う優生。お菓子を独り占めした時によく見せてくれた笑顔にそっくりだ。そんな顔も可愛い。
「あのね」
「なに?」
「耳貸して」
頭を傾けると耳にキスするみたいに内緒話してきた。息があたってくすぐったい。
「あのね…誰にも秘密だよ」
「ふふ、なにかな?」
「僕も、お姉ちゃん大好きだよ」
ちっちゃな声で言われた。
かっわいいー!! 可愛すぎ!! 最近の生意気な態度はこのための布石ですか!
「んふふー、もう優生大好きっ。どうしたの急に素直になっちゃって」
「別に…僕、いつだって素直だし」
「そうだねー」
「…お姉ちゃん、知ってる?」
「なに?」
「兄弟は、結婚できないんだよ」
「…し、知ってるよ?」
突然なにを言うんだろう。真顔だし。
「でもね…僕考えたんだ」
「なんでせうか」
「結婚できなくても兄弟なんだからずっと一緒にいればいいよねっ。だって僕たち両思いだもんねっ」
ぎゅう、と抱きしめかえしてきた優生をより強く抱きしめながら、ちょっと考える。
そういえば去年まではお姉ちゃんと結婚すると言ってた優生だ。反抗期に入って私をうざがっても、ただのポーズか、うざくてもなお私を好きなままだったらしい。
ううん、凄く凄く嬉しいし、優生とずっと一緒にいるのは素敵なことだ。
でもちょっとシスコン過ぎる気も……お風呂を嫌がるのとかも単に恥ずかしくなったからかも。まだ反抗期じゃないのかも?
「? お姉ちゃん、どうかしたの?」
「あ、やー、なんでもないよ。私は死ぬまで優生と一緒だからね」
「死んじゃ駄目っ。僕が、お姉ちゃんを守ってあげるからね」
「うん、守ってね」
まあ、いいか。
優生も中学にあがるまではシスコンでもいいよね。誕生日遅いからまだ10歳だもんね。
……いい、よね?
ちなみに部屋から出るとハグは解かれたばかりか距離をとられた。手を繋いでもいいと言ったのも二人きり限定らしい。
そりゃないぜつれないぜベイビーと言ったら叩かれた。赤ちゃんじゃないと言いたいらしい。
どうも、お母さんにすらシスコンだと知られたくないらしい。恥ずかしがりやさんめ。
しかしまあ、今回の急な姉離れは私が気をつかって距離を開けすぎだったとわかったので、これからはまたたまにハグしてキスしようと思います、まる。
○
二人との旅行は省略です。




