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「え、えーっと、お待たー」
お兄ちゃんの部屋に入る。
「いや、待ってない、よ。えっと、それで…さっきの、説明してもらっていい?」
「ん、うん」
さっきと同じ場所にいたお兄ちゃんに、私も元の場所に座りなおして向かい合う。
説明、と、言われても…えっと、…まだ、まだ早いよね。告白とか。だって、ドキドキするからって、本当に恋かなんてまだわかんないし。
とりあえず、ドキドキはなかったことにしてなんでキスしたかだけ説明しよう、
「えっと。お兄ちゃんが軽々しくキスするなーって言うから。お兄ちゃんにだってキスくらい余裕だって行動で示したっていうか…それだけ! 別にほら、キスしたって何にもならないじゃない。だからそんな怒らないでもいいでしょ、ね?」
「…は、そんな理由でキスしたの?」
「うん」
「でも顔赤くなかった? 余裕なくなってたよね?」
「よ、ヨユーだし」
「ふーん」
うっ、なんか疑われてる!? そりゃ上手くごまかせたとは思ってなかったけど、お兄ちゃんだからなんとかなるかなーと。…駄目ですか?
「そっか、挨拶なんだ。じゃあ仕方ないか」
「えっ、あ、うん! そうなの! 仕方ないよねーっ」
あれ、ごまかせ、た?
あー…でもまだお兄ちゃん顔恐いかも? 笑顔になったけど恐いかも?
「じゃあこれからは僕と悠里ちゃんとちゃんと挨拶しないとね」
「え? ん!?」
気づいた時にはお兄ちゃんにキスされてた。
反射的に離れようとしてお兄ちゃんの胸に手をあてたけど、力をいれる前にぎゅって抱きしめて拘束された。
「ちょっ、っと、なに!」
「さっきは怒ってごめんね、悠里ちゃん」
「そ、それはいいけど、んむっ」
離れて、と言う前にまた唇を押し付けられた。
ああああぁぁあなに!? どうなってるの!? やばいやばいやばいやばいやばい!! 心臓爆発するから! 死ぬから!
ドキドキしすぎてもうわけわかんないんだけど!?
「んっ…悠里ちゃん」
「な、なにするのよぅ」
「挨拶だよ、挨拶。初対面でもキスするなら僕たちくらい仲良しならキスして当たり前でしょ」
「う、う~っ、く、口は、しないもんっ」
「僕らはほら、凄く仲良しな兄妹だし? いや、正確には兄妹じゃないから…幼なじみ? そう、僕らって超幼なじみなレベルで仲良しだからキスは唇で当然でしょ」
「超って…」
「それとも、僕とじゃ…嫌?」
そんな聞き方、ずるい。
恥ずかしいしドキドキして、お兄ちゃんの顔ろくに見えないのに…嫌なんて、思うわけない。
「嫌じゃ…ないけど」
精一杯視線をそらしながら言う。
「ありがと」
「う…またしたぁ」
瞬く間に、3回も私の唇が奪われてしまった。そりゃ、最初にしたのは私だけどさぁ。
こんな、こんなつもりじゃ…ない、し。
ていうか、私、ドキドキして、う、でも…恋、なのかな? わかんない。ドキドキしすぎて頭まわんない。
「嫌じゃないならするよ。これから毎日おはようとかありがとうとかお休みって言う度にするよ。だって挨拶だもんね」
「う~」
な、なんでこうなったの!? お兄ちゃんキャラ違うよ!?
ていうか片思いの相手いるんじゃないの!? もうわかんないー!
「と、とりあえず…今日はもう、帰るね」
「うん、わかった。お休み」
解放されると同時にまたまたキスされた。
あー! あーあーあーー!!
なんかもう意味わかんなすぎて泣きそう!!
○
高文のターン




