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読み切り2


「無料で恐竜退治する見返りに農地を貸して欲しいって、怪しいな……」

「いーえ、怪しくはありません。猿飛さんの方こそ、特殊詐欺のにおいがプンプンします」

 二人の事件屋は依頼人の前で牽制し合う。

 依頼人である牧師は頭を抱えて唸っていた。

 というのも、二人は恐竜退治の報酬が目的で村を助けに来たわけではなかった。

 サムライを名乗る猿飛金之助は恐竜退治をする代わりに農作物を安く売ること、村のパン屋やカフェなど飲食店にレシピを提供するのでその売上手数料が欲しいようだ。

 一つ星の魔術師であるジャレッド・マーティンは恐竜退治する代わりに、農地を安く貸してほしいというもの。そこで採れた農作物はマーティンのものになるようだ。

 どちらが信用できるかといえば、マーティンだろう。先に契約書を差し出したからだ。

「三年間ですか……」

「まずは三年間、お付き合いできればと思います」

「いい条件だと思いますが、私は牧師です。土地については村人の許可が必要です」

「ええ、重々承知しております。牧師さんには仲介していただければと思います。もちろん、成功したあかつきには、報酬をお支払いします」

「報酬?」怪訝な顔にあるサムライだ。

「ええ、お近づきの印ですよ。この村は自然豊かで山も川もある。都会の喧騒で疲れた私たちビジネスマンには憩いの場となり得ますので」

と、黒革のカバンから封筒を取り出した。中身は100万GL、報酬額と同じだ。

 牧師は思わず手に取る。牧師業は主に村人からの寄付で成り立つ。もらえる金は欲しい。

「……わかりました、マーティンさん。村人は私が説得しましょう」

「えー、マジかよ」

「村がこーなってしまったら、私の生活も貧しくなります。背に腹は代えられないんです」

 牧師は猿飛金之助に理解を求めた。しょうがないか、と理解を示す。

 金之助たちは仲介手数料を出す金はない。自分たちができることはパンを作るか猿芸だ。

 牧師と魔術師が握手を交わしたとき、慌てた村人がやって来た。

「牧師さん、大変だ! ダニーロのガキどもが戦車に乗って恐竜退治にいっちまった」

「戦車? この村にはないだろ」

「そこのあんちゃんの戦車だよ!」

「そこのあんちゃんってことは?」と、子猿が飼い主を指さす。

「ムサシ丸じゃねーか! おいおい、ちょっと待って! ムサシ丸はレンタル戦車なんだぞ。なんかあったら、タダじゃすまねーぞ!」

「おい、キンスケ! とっとと取返しに行かないと町に帰れないって!」

「そうだよ。夜までに帰らないとヒゲゴリがブチ切れやがるぞ!」

「……待ってください! そうやって抜け駆けして恐竜退治をするおつもりでしょ!」

「オイラたち、そんな余裕ねーって!」

「だったら、あんたも来いよ、マーティンさん!」

「お言葉に甘えずとも、先に私が恐竜退治します!」

 こうして二人と一匹は村を襲った凶悪恐竜、ティラノサウルス討伐戦を始めたのだった。


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