桜誇院 犁櫻の終わりと姫夢 雫の始まり
読んでくれてありがとうございます。
さて、今日は彼女事、桜誇院 犁櫻に会える日だ。楽しみだぜ☆
俺は高級車に乗って、パーティーに向かっている。ワクワクして早く会いたい気持ちが止まらない。
「まだっかな♪まっだかな♪」
「あらあら♪そんなにパーティーが楽しみなのね♪膤が楽しみなら母さんも楽しみになっちゃう☆」
俺の隣に座っているのは、俺の母事、姫夢 睡蓮である。彼女は基本家族を溺愛しているのだが、仕事の忙しさでよく家に帰らない日が多いのだ。最初俺と出会った時、俺の事が誰か分からなかったようだが、俺の性格は大人しくはない!というか、膤の二の舞になってたまるか!ということで、俺は母に積極的にアプローチする事にしたである。その結果、母様は俺をちゃんと家族として覚えてくれたのだ。
「母様、着いたら自由にしていいですか?」
俺の台詞に母は、う~んと、考えこんでから
「いいわよ♪但し、4時迄には母様の所に来ること良い?」
と言った。勿論答えはyesだ☆
「はい☆母様、ありがとう♪」
俺は母様に抱き付いた。
「ふふ♪良いのよ♪母様はパーティー会場の中で待ってるからね♪ちゃんと帰って来るのよ♪」
「わかりました!」
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着いた、着いたは良いけど。男共がうざい!やたらと俺に近づいて、
「美しいですね、お姫さま。クスっ。」とか。うわぁ~、鳥肌立った。
「お前を俺の伴侶にしてやる!どうだ光栄だろ!」などや。偉そうな時点でねぇよ!消えろ!くたばれ!
「あっあっの、ぼっぼぼぼ僕、」こいつはやたら喋るのが遅いので無視した。
もう全員無視しよう。そう考え、俺は走り出した。後ろから男共の声が聞こえたが、気にしないで走った。
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「ここだ。」
俺はとある部屋の扉の前で走るのを止めた。ここに、彼女がいる。ドクンと心臓が鳴る。俺は扉に手を掛けて扉を開けた。部屋の中には誰も居なかった。
俺は部屋を見渡す、部屋は和室で、入るとスリッパを置く所があり、普通はスリッパを脱いでから部屋に入るのだが、俺はスリッパを脱がずに部屋に入り、畳を剥がした。畳を剥がすと地下に続く階段が出てくる。
この先に、彼女がいる!俺はそう確信し、階段を下りた。
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彼女事桜誇院 犁櫻は子供の頃に、地下に監禁されていた。
地下で彼女は柚御子に暴力や罵声をぶつけられる毎日を送っていた。最早拷問のような毎日に彼女が耐えられる筈がなかった。
時々食事を渡す事も忘れられ、あったとしても少量だった。彼女は毎日空腹で、体は痩せ細ろいでいった。
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俺は彼女に出会った。服はボロボロで、体は痩せ細ろいで、髪は伸ばし放題の彼女、床に横たわっている彼女は、まるで奴隷のように思えた。
だって彼女の首には首輪がついていて、首輪についている鎖が柱に巻き付いているから。
俺は彼女に近づいて首輪を引きちぎり、彼女を優しく抱き上げた。――恐ろしく軽い。彼女は目をあけると虚ろな目で俺を見たが、直ぐに目を閉じて眠りに落ちた。
彼女をお姫さま抱っこの状態で俺は階段をあがりとある場所に向かった。
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俺は彼女を抱っこしたまま、母様の所に戻った。周りのゴミ共がしかめっ面して此方を見てくるが気にしないで母様の所に戻った。
「母様この娘を、家の家族にしてください。」
「あら、良いわよ♪早速その娘の、戸籍を変えましょう。膤、その娘の名は何て言うの?」
母様即答かよ!名前、名前ねぇ~。正直に言うべきかな。
「この娘の、『前の』名前は桜誇院 犁櫻、新しい名前は姫夢 雫だよ♪」
「あらあら、その娘、桜誇院家の娘なの?」
母様がさほど驚いてなさそうにきいてくる。
「元桜誇院家だよ♪この娘は今を持って姫夢♪姫夢 雫になったんだよ♪」
周りが騒がしくなるなか、俺は高らかに宣言する。――お前等に、彼女は渡さないと。
「分かったは、後は母様に任せなさい♪」
母様は胸を張って言った。本当に頼れる母親だ。
「ありがとう。母様。」
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こうして彼女は姫夢 雫になり、姫夢家に住むことになった。
暑い。