ぶちのめすッ!
「はァ…?急に襲ってきてなんのつもりだよテメェ、話の前にまずは挨拶だろバカか?俺はバサラです」
「ぶ、文圧が凄いな…私はリンフウ、このゲームのトップと評されるプレイヤー10人の1人だ」
槍を握った男に対し俺は怒りのままその名を問う。
ほうほうリンフウというのだな?風鈴っぽくていい名前だが俺はあの不定期で鳴る音が嫌いだから死んで良いぞ!
早速【狂化】かまして殺しにかかりたい所だが、今の状況だとまず一番距離の近いブラン達へ襲いかかってしまうだろう、故我慢だ。
「リンフウ…面倒な野郎に絡まれたな」
「有名人なのか?」
「アイツは本人も言う通りトッププレイヤーだからな、裏掲示板でよく聞くし…というか前も言っただろ?」
モリの「覚えてないの?」と聞くような言葉に思考を巡らせ記憶を掘り返す。えっとえっと…
オキ曰く『裏掲示板』と呼ばれる公式運営でない別所の掲示板では、公式掲示板で上がる特定の個人に対するアンチ・ヘイトを超える行為…簡単に言ってPKや嫌がらせの依頼が横行しているらしい。
その大概は「アイツにぶつかられた」「嘲るような目で見られた」「活躍してて腹立つ」などといったイチャモン的な理由による依頼が多いそうで、「変にそういうの受け続けると逆に自分が狙われる」と情報精査の面倒さに辟易していたのは覚えているが…あっ!思い出したッ!
「あ~自己中のカスかッ!!」
「正解だけどこの状況で指差しながら言うのやめてくれるかあ〜!?」
「あっ、丁度くしゃみしてて聞こえなかったっぽい!良かったァ〜!」
そうそう言ってた言ってたァ〜ッ!
「でもリンフウは精査しなくていいから楽なんだよなぁ〜!アイツ普通にやりたいことの為に他人切り捨てるし恨まれるだけのことを日に1〜10個ぐらい軽くやるからッ!あと実力は確かだから殺さなくていいのも楽ッ!!」ってッ!!
つまり今もなんか自己中拗らしてるって事かぁ?マジで迷惑な野郎だなぁ〜ッ!オキの腕1本飛んだし二人死んでるしッ!
こりゃ徹底的にぶちのめさなきゃダメなタイプだな。
「んんっ…ふぅ、ゲーム内にも風邪やらはあると聞いていたが面倒だな…まぁいいが。
さて、バサラ君と3人に今一度提案しよう…私の側につかないか?」
「つかない、ゲームある程度やっててアンタにつくやつなんかいねぇよ。ってか俺の腕落しといてよくんな事言えたな?」
「話には聞いてたが本当に自己中な奴だ、仕事仲間にしたくないタイプ…初対面だが既に嫌いだね俺は」
「そうか?私は君の姿に親近感を感じる、むしろ好きだね。
それと暗殺者の君だが…まぁ仕方なかっと思って欲しい。弱者は私の計画には邪魔なんだ」
再びの提案とそれに答える2人へ、リンフウは微笑みと共にそう謝罪とも言えぬ言葉を呟く。
マジで嫌いなタイプだなぁ〜、純粋にキショい!人間性的にはロイの方がまだマシ…まぁ100と95ぐらいの差だが。
断りなく人の店を壊す野郎と人を切り捨てる事をいとわずに殺しすらするやつとか常人と比べる以前の話だろ。
「知らねぇよボケ、ともかく俺らは仲間にならんと言ったがこれじゃ物足りないか?」
「あ、俺もなる気無いで〜すっ!」
「ふむ…そうか、そうだな。まぁまだ私側につくメリットも何も話していない、まずそこについて話してからでなければつくものもつかないというものだ。少し長くなるぞ」
「コイツマジで話聞かないんだが何なの??」
「酩酊状態なんだよ、自分に…」
「自分から会話持ちかけてても話できる男じゃねぇから諦めろ」
は、腹立つぅ〜ッ!めっちゃ無視しやがるッ!!
しかも「ふふふ…」みたく笑いつつ戦車の操縦席的なあれに座って足まで組んでるッ!!
正直今すぐにでも斬りかかりたい気分だが、先も言うとおり【狂化】を使うと周りを襲っちゃうので我慢…我慢…ッ!マジで普通に大剣使えりゃとっくに特攻して死んでるのにィ〜ッ!!
…ん?いや待て。
ふむふむなるほど、いい案が浮かんだねぇ〜ッ!
「それではまず、【ロイヤルジュエル】とは何なのかについて説明させてもらおう。
これは結論を言って進化エネルギー・成長エネルギー、つまる話経験値の結晶でッ!?」
「うおおおおジャンピ─────ング俺ッ!!」
話に夢中なフウリンくんに彼の攻撃から着想を得たジャンプじゃオラァッ!空からの急な攻撃は判断を鈍らせるだろうハハハッ!!
当然大剣を構えてかましたから────
「技能【槍障壁】ッ!」
そう、俺を知らなきゃそうしちゃうよなッ!
バサラって名乗ったのに反応が無い時点で俺を知らないのは察してたッ!だから使えない大剣の攻撃を警戒すると読み、それは見事に当たったァッ!!
愚かな事よなぁ〜その手に持つ槍で一突きかませば事は済んだというのにッ!!
そして俺は撮影開始のカウントを眺めると共に、お待ちかねの言葉を叫ぶ───────ッ!!
「技能【狂化】──────ッ!!」
瞬間、視界は真紅に染まるッ!!
全身に満ちた体感覚は失われ、同時に【自動操縦状態】の表記が現れ─────体は【槍障壁】を蹴って急旋回ッ!!
「うぐおッ!?気さくな挨拶の前に変な動きしないでくれるかなぁ〜ッ!?」
直後に振るわれた大剣の一閃により、戦車を引く二馬の首が落とされたッ!南無ッ!!
そんな突如の出来事に混乱を浮かばせるフウリンを尻目に、俺は息を整えて今度こそまともに口を開いたっ!
「イエ────イ彼氏くん見てるゥ!?筋骨隆々ッ!狂化特化狂人おじさんでェ〜すッ!!
本日は初のイベント動画ッ!『【腹立つ】襲ってきたカス殺してみた!【傲岸不遜】』を撮影していこうと思いますゥ〜ッ!!是非是非最後まで見てってねぇ───────ッ!!」
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今日の昼見て初めてVRの月間TOP10に載ってる事を知りましたッ!本当にありがとうございますッ!!!
これからも読者さんも私も楽しめるように頑張って書かせていただきますッ!!俺を見ていてくれッ!!!




