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武勇伝?

クリスマスが終わり、年末モードまっしぐらです。

大掃除皆様はお済みですか?

私は予定すら立てておりません。

双子の王女への縁談は、国交のない遥か遠い砂漠の国からだ。

「意図が読めませんね」

フランは率直に呟いた。その言葉にエスレッラも、全くの同意見だ。

近隣でもない上に国交もない。名前は辛うじて地図上で知る程度のものなのだ。

トランが海洋都市で、海を隔てた向こう側の国とかならまだわかる。

地続きでもなければ民間レベルの交易すらないのだ。

疑問どころの話ではない。


フランはかつて生国においてフランネイルと呼ばれ、皇子として生きていた。

暗殺されかけて逃げていたところをトランの双子王女所縁の者に助けられて後、トランに身を寄せている。

戻っても、暗殺される可能性を増加させるだけだと踏んで、エスレッラも、フラン含め当時孤児だった三人の幼女も引き取り育てた。

フランも三人の娘も、今や女王エスレッラの忠実な臣である。

王族としての心得や必要不可欠な教育に加えて、勇者教育もしっかり叩き込まれている。

今のエスレッラは、天の存在の序列にあり、人の範疇を超えている。ルーパパの眷属になった証である。

つまり、エスレッラは正確には既に勇者ではなく、勇者として人の生き方を象るなら、一番それと呼ばれる立場に近いのは、今のフランだった。

それに次いで、三人娘のハル、ナツ、アキである。


四人はさりげなくエスレッラに人として最強の一つ、勇者の戦闘スキルを与えられていた。

本人たちにしてみれば、死ななかったのが不思議なほどの訓練であった地獄体験の記憶でしか無い。

何より、そのスキルの一番の活かしどころと言えば、城を抜け出して各地世界中気まぐれに遊びに行く王女たちを回収しに行く事なのだ。

本人たちが自分たちの立場を今一理解できていなくとも無理のない話なのである。


「メルとネルを呼んで頂戴。万が一にも無いと思うけれど、二人が何か知っていかもしれない」

「はい」


フランも、王女は何も知らないだろうとは思うが、万が一もある。

そして、その万が一があれば、きっと女王も自分も頭を抱える事態になるのだろうと予感するが、あえてその予感は封じた。


砂漠の国サーハ。

砂漠の中に緑あふれる楽園として語られる物語がある。

王都は金銀瑠璃で建造され、王族は魔神を従える強国である、と。

常に戦乱の最中にあり、勇者を数多く輩出している歴史があると言う。





「サーハ?知ってるよ」

嫌な予感をどストライクで撃ち抜いてくれたのはメルだった。

エスレッラの膝の上で甘えながらネルも頷く。

「ずっと前にお出かけした時にね、サーハ行ったのよ。お砂お土産にしたの!」

「お庭を、全部サラサラのお砂にしたかったけど、そんなにたくさん持って帰れないから、少しだけで悲しかったよね」

「そうそう、そうなの」

双子の王女は、きゃっきゃっと会話を弾ませる。

「サーハの王様から、二人に結婚を申し込むお手紙が来ているけれど?」

エスレッラが尋ねると、二人は首をかしげる。


「王様?

サーハの王様はしらない。メーもネーも、砂漠で遊んだり街でお買い物したけど、お城とか王族とかは知らないよ」


きっと、その遊んだ内容が、今回の求婚に繋がっている。フランは言葉にしないが思う。

勿論、エスレッラも思っている。


「あ!でもねー。お兄さんなのに泣き虫さんがいてね。

マグマの洞窟に魔法の指輪を取りに行かなくちゃいけないけど、一人だと怖くて無理って泣いてたから、一緒に行ってあげた事ならあるよ」

「名前忘れたけどね」

メルの説明に、ネルも続けでまたその言葉にメルが頷く。


「名前忘れた。えーっと、メーとネーが5歳くらいのときかな?」

「怖いとか、痛いとか、寂しいとか、なんども泣いてたね」


「お別れの時に、お嫁さんになって!て言われたね」

「私たちの旦那様になるには、まず泣き虫を治してからにしなさい!て言ったのよ」


もう間違いなくそれだ。

とエスレッラもフランも思う。

面倒臭そうなのが絡んできたな。と言うのが彼らの正直な気持ちだった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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