トランと女王エスレッラ
メリークリスマス!
昨夜が本番?
今夜が本番?
そんな事もよくわかっていないです。
しょうせつかいてるとねむくなるんですさ。
なぜだろう?
トランは標高の高い国土で、そもそもあまり人口が多くは無い。
鉱山と切り立った神々の住むとされる山脈に囲まれ、畜産が盛んなのと、鉱山資源が豊富である。
国土は広くはあるが、人の住める場所、活動できる範囲は限られているため、国交もあまり盛んでは無い。
世界有数の金持ち国家ではあるのだが、あまり知られてもいない上に、王女幼少期の王城簒奪事件も殆ど知られていない。
トランとしてはこれ幸いとなった。
他国に攻め入られる隙に気づかれる事なく、国政を回復出来たからだ。
かつて、王を殺し使役とした外法の主たちは、魔王たちによって救われた当時の王妃、現女王の手により国土より完全排除された。
宗教の姿を借りた反社会組織として、徹底的に叩き潰した。
犯罪者の無法な行為に便乗して、王女や王妃の衣装やアクセサリー、ましてや国庫にまで手を出していた者たちにも、手を緩める事なく女王エスレッラは断罪した。
王家の財産を持ち出した者が、エスレッラ復帰後に、また働かせてくれと戻ってきたことも少なくなかった。
今やエスレッラは断罪の女王として国内では恐れられている。
彼女を疎ましく感じるものは、漏れる事なく犯罪者であると公言されるほど、エスレッラは罪に寛容では無かった。
恐怖政治と貶められる事もままあるが、国は潤い民は豊かになった。
エスレッラが即位する以前よりも、ずっとだ。
「私が気に食わぬのならば、この国を好まぬと同義。縛りはせぬ、どこへとなりと行くが良い」
エスレッラへの抗議の声に、常に返される文言。
元々が戦う者のエスレッラは、敵に容赦はしない。それは戦いにおいても、政治においても変わることはない。
双子の愛子の王女たちは今や12歳を数える。
そろそろ婚姻を考えて縁談をまとめるのが王族としての習わしであり、責務であり、常識でもあるのだが。
メルとネルに関して言えば、2歳当初で魔王とその親友との魂の契約を交わしてしまっていた。
主人であり妻であるメルとネルを、彼らが手放すはずもない。
エスレッラもその他の家臣たちも考えは同じだった。
「ふむ、どうしたものか」
執務室で決算書類とにらめっこしていたエスレッラは、無意識につぶやいていた。
「どうされたのですか?」
双子の脱走追跡&回収で今程戻ってきたフランがエスレッラに尋ねる。
「いや、大したことないのだが。
いや、大したこと?なのか?
双子に縁談が来ている」
親書と共に送られてきたものをフランに見せながらエスレッラは呟いた。
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