おむかえ
メリークリスマス!
煮込みハンバーグに夢中で更新忘れてしまってました。
真紅の髪色にウォルターは目を見張る。
最近この界隈で赤い悪魔と称される正体不明の無差別殺人者が出没する。
その報せを何度も受けているので、メルとネルの真紅の髪は必要以上に目につく。
今、この都市を牛耳る連中の使えないものを切り捨て、統合させようと動いている時に、厄介なものはできるだけ遠ざけたい時期である為、余計に反応してしまった。
数少ない生き残りの目撃証言は、小柄な人影、そして真紅の髪。
ハイロと戯れている双子も、小柄、と言うか子供なので小さく、ツインテールに結ばれた髪は真紅だ。
「ソロソロ送るヨ」
ハイロが双子に持ちかけると、途端に不満顔になりブーイングがはじまる。
「えー、もうちょっと遊ぶー!」
「もう少し遊ぶー!」
甘やかされて育ったのだろう。大人の顔色を見ずに大いにワガママを言える子供というのは、この都市では珍しい。そもそも子供そのものが珍しい。
大体は奴隷として子供は高値で売買される為、大人に見つかることを恐れて表には出てこない。何より子供の人口そのものが少ない。
その子供たちは、どこから?と素朴な疑問が浮かぶが、ハイロが双子を宥めつつ、送ってくると告げるので、ウォルターは頷いた。
「報せを受け、お待ちしておりましたよ殿下方」
私たちを街の外で待っていたのはフランだった。
フランは私たちがうーんと小さい時に私たちの国にやってきたの。私たちが連れて来たの。
助けて助けてって泣いてた声に迎えに行ったのよ。
今はフランが私たちを迎えにくるの。
報せ、ってハイロがしたのかな?
地面に私たちを下ろして、ハイロは微笑んでいる。
「きちんとお知ラせをしたら、叱られないヨ」
そ、そうかな?
フランは、いつもニコニコしてる顔だけど、今は目が笑ってないよ?
メルを見たら、メルもハイロとフランを何度も見返してる。
「「うー………」」
「ほラ、大丈夫だヨ」
帰りたくない私たちを、ハイロが優しく促す。
頬に髪にキスして頬ずりしてくれる。
「ハイロはいつ帰ってくる?」
聞いてみた。
お仕事で今日会うまで、お家にいなかったから。
「もう少しカな?お仕事はアト少し残ってルカら」
うー、さみしいな。
もうちょっと一緒にいたかったのに。
「殿下方」
フランが私たちを急かす。
「スぐ会えるヨ。待っててネ、ハイロのお姫様たチ」
待つけどお。
じっとハイロを見上げたら、チュッとほっぺにまたキスされた。
「行くヨ、またネ」
メルにも同じようにキスをして、ハイロは風のようにサッと消えてしまった。
「「あーあ」」
行っちゃった。
「帰りますよ。メル殿下、ネル殿下」
「「はーい」」
フランの側には3人の、私たちと同じくらいの女の子が控えている。
フランと一緒にうちにやって来た女の子たち。
今はフランのお仕事の補佐になってる。
3人は私たちを囲んで手を繋いでくれる。
「ネル殿下、お城にいらっしゃらなくて寂しかったですわ」
ハルは三人の中で一番のしっかり者。リーダーなのかな?
「メル殿下も、おやつも食べずにお二人ともいなくなっていらしたので、どこかで行き倒れているのではと、大変心配いたしました」
アキはにっこり笑った。アキは少し皮肉屋さん。
「この度はハイロさんがお知らせをしてくださったため、強制回収は避けられましたが、勝手にお城の外に出られるなど褒められたことではありませんよ」
ナツは真面目さん。
私たちの手を握ってくれるのは嬉しいけど、お説教付きだ。
「さて、帰りましょうか」
フランはエロロから教わった風の精霊魔法を発動させる。
これが使えるから、わたしたちが世界のどの場所にいても、居場所が判明したら即飛んで来られる。
いつもすぐバレてすぐ連れ戻されるんだよね。
今日はゆっくりだと思ったら、ハイロがお知らせしてたからなんだね。
キラキラした風が私たちを包み込む。
これでほんの一呼吸の間にお城につく。
はぁぁ、とため息が出ちゃう。
お家に着いたら、お説教かなぁ?
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。




