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第五十四話 「美名城の格言」
「目的は一つだけよ。
図書室でも言ったと思うけど、
タロちゃんの企画の手伝いに来たの。」
それは確かに聞いた。
「それにね、
一年生のタロちゃんが一人でっていうのが
可愛そうだからという理由だけじゃなくて、
私も今年の体育祭が最後だから、
悔いが残らないようにやりきりたいの。
企画はすごい大事だってタロちゃんも思うでしょ?」
「まぁ、それは思いますけど」
「でしょ。だからタロちゃんに任せたの。」
「はぁ~?」
「私と一緒に頑張りましょ。
遠回りしたけど、
ここに来たのは何か面白い企画が思いつくかなと思って。
ちなみにヨット乗りがお兄ちゃんだったって気付いたのは、
海辺に来ておじさんと言った時に返事がきてからだったかな。
たぶん・・・。
大丈夫、ヨット乗りに悪い人はいないから。」
そう堂々と笑顔で言われても・・・・
お兄さんと分かっていて
おじさんと言ったんじゃなかったのか!!
やはり、
美名城夏帆の突発的な思いつきによる行動、
いや暴走は止めようがなさそうだ。