第五話 「カメラの神様」
「カメラオタクに違いなんてあるのか?」
「もちろんあるとも。
同じプロスポーツ選手でも一軍や二軍、三軍の選手だっているだろ。」
「いるな」
「カメラオタクの業界にも
一軍、二軍選手がいるってわけ。分かる?」
「いや、分からねぇーし、
カメラオタクは、そもそも選手ではないのでは」
「あま~い、ピーナッツバターよりも甘いぞ、太郎氏。」
「それは、相当甘いな、・・・って
その呼び方はやめてくれ、さすがに恥ずかしい。」
「自分の名を恥じる出ない」
「いや、お前が呼ぶとなお恥じる」
「拙者はお前ではない、孝也殿だ!」
「うん、もういいかな、お前」
「よくない!いいか太郎氏、
女子のカメラオタクは、
カメラのメーカーであったり、外観の可愛さに強くこだわりを持っている」
「確かに!」
「カメラの鮮明度など機能性を第一に考えている
女子カメラオタクは非常に稀と言っていい」
「じゃあ、鮮明度とか機能性にこだわる者が一軍ってことか?」
「やはり甘いな太郎氏。
教えてやろう、真のカメラの神髄とは」
「神髄とは?!」
「カメラにあらず!!」
「カメラにあらず?どういうこと?」
「やはり理解に苦しむか。よかろう。
つまり、
カメラを通して写す
光景、情景、女子にこそカメラの神様はやどりけり。」
「いきなり古語出てきたけど。
でもなるほど・・・
その場の光景、情景、そして、あれ、最後なんて言ったっけ?」
「なぬ、最後が一番重要だぞ。
いいか、忘れるな、二度は言わんからな。」
「ああ、すでに二度目になるが、
もう一度最後をキメ顔で頼む」
「カメラの神様は」
「カメラの神様は?」
「女子にやどりけり」(キメ顔)
「・・・」
孝也がその言葉を発した瞬間、
女子からの変態を見るような視線が
レーザービームとなって
絶え間なくこちらに注がれてきていることを、
隣にいてひしひしと感じていた。
その視線の矛先は無論、俺にもだった。