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曖昧恋色Lifes*  作者: 愛流。
6章 すれ違う2人
24/24

溢れ出す気持ち

藍春ハルタside〜

「な……タカト、どう思う?」

「どうって?」


三葉さんが帰ったあと、俺達は部屋に戻った。

そして俺はタカトにひとつ問いかけた。


「カノンが、別人なことについて、」

「……そのことだけど」


そう言って、タカトはすっとその場に立ち上がった。


「沢城は、お前に嫌われてるって思ってるんじゃないのか?」

「!!」

「その理由はよくわからねぇけど、とにかく……」


どうして、俺が嫌ってるって?

俺がカノンを嫌うわけないじゃないか。

むしろ俺が嫌われてるみたいなもんだろ?

俺は完全に自分の世界に入り、その後のタカトの言葉に耳を貸すことができなかった。



───バタンッ



「!は、ハルタっ」

「タカト、俺……行ってくる!」


気づけば思いきり部屋の扉を開けていて、

タカトに向かって大声でそう叫んだ。

初めは驚いていたタカトだったけど、俺の真剣な顔を見たのか、笑顔で頷いた。



.



行かないと、

行って、素直に伝えないと、

また、会えなくなる気がして、


「はあ、はあっ……」


俺は息切れしながら、カノンの家の前にたどり着く。

やっぱり、昔と変わってなかった……

何年ぶりだろう、カノンの家に来たのは。

俺が転校したあの日から見ることのなかったその家は、ずっとカノンが過ごしてきた跡をしっかりと残していた。


確か、あそこがカノンの部屋で、よく遊んでたんだっけ……

思わず昔を懐かしむように、俺は家を見上げて以前よく遊んでいた2階の部屋へと目線を移した。



───と、その時



ちょうど見ていたその部屋の窓がゆっくりとあいた。

そこから見えたのは、儚い瞳で窓から顔を覗かせるカノン。

視線は俺と交わっていなくて、ただぼーっとしているように見える。


「……っカノン!!」

「……!」


思わず声を出して呼んだその名前に、反応したのはやっぱり俺が見ていたカノンで、

「どうしてここに?」とでもいうような表情で、少し慌ててる様子だった。

だけど、次の瞬間カノンは窓を閉めようと、窓の取っ手に手をかけた。


閉められる?

そしたら、もう

話せなくなる……?


その窓が閉まったら、俺の気持ちが一生カノンに届かなくなってしまいそうで、

急に、怖くなった。

俺は、暗くなりかけた空を見つめて大きく息を吸った。


「嫌ってなんか、ないから……!」

「え、」


その後のことなんて、何も考えていなかった。

ただ、今何か言わなければ……そうとしか思わずに、頭にふと出てきた言葉を並べ叫んだ。

その言葉は、俺が思ってたよりもずっと、ずっと何倍も……カノンの心の奥に響いていたなんて知らずに、



.



「俺っ、カノンに謝りたいことがあったんだ……」

「……」


俺は外から、カノンは窓から、傍から見ればなんとも不思議な光景ではあったが、そんなこと俺は全然気にならなかった。

カノンは黙り込んで何も言わないけど、俺は口を開いて続けた、


「ひとつは、何も言わずに勝手に転校したこと」


そう、俺は早くあのいじめから開放されたくて、転校できるのに舞い上がり、1番お別れを言わなければいけない人に何も言わなかった。


「もうひとつは……」


そこまで言って、俺は小さく息を呑んだ。

ほんとに、言ってもいいのか?

ここで……

俺は拳をぎゅっと握り締めて、覚悟を決めて息を吸った。


「俺が、カノンのこと好きだったこと!!」

「!!!!」


カノンは、俺のことが嫌いだったんだって、態度を見たらわかる。

それが、昔からだったのか、高校に入ってからだったのかは、わからないけど、

でも俺は、カノンのことが嫌いだなんて思ってない!

その誤解だけは解いておきたくて、俺は迷惑も承知で、人の家の前で大声で叫んだのだ。


「嫌いだよな、俺こと……でも俺は、好きだった!ずっと、ずっと前から…」

「………っ」


抑えられなくなって、好きだって言葉が溢れ出す。

俺を守っていてくれた時から、いつかは俺がって思い続けてきた。

俺が変われたのだってカノンのおかげだし、

そもそも、俺を変えてくれたのはカノンだ。

カノンと出会ってなかったら、俺は今頃……変わらず臆病で弱虫な男になっていたであろう。


カノンは一体、どんな気持ちでこの話を聞いている?

俺は気になってカノンの言葉を少し待ってみる、


すると…


「…………き」


わずかに聞こえた、カノンの声。

遠くだから、聞き取るにはとても困難な声の大きさであった。


もう一度聞こうと耳を澄ました瞬間、カノンの大きな声が聞こえた。

その声は、震えていて、その言葉を発した本人は、すごく泣きそうな顔をしていた──



.




「……ウソつき…!」



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