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幼馴染のテイムモンスターですが何か?~VRMMOでキャリーしてたらユニークモンスター扱いされて世界中から追われてる件~  作者: あずーる


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第十話 テイマーズアリーナの大穴

 桃花が大量に獲得したメタチルスライムのドロップ素材を一つひとつインベントリへ整理している間、俺は木陰に座り込み、自身のステータスウィンドウを静かに凝視していた。


 ──なぜ俺のレベルは30で停止したのか。


 その答えは、システム画面の最下部にひっそりと明記されていた。


【キルポイント:2】

【進化条件を満たしています】

【上位種族への進化により、レベル上限が解放されます】


(なるほどな……キルポイントを消費して上位種族へ進化することで、レベル上限が引き上げられる仕組みか)


 進化の項目へ指を伸ばしかけ──ふと、俺はその手を止めた。


 だが……。


「わぁ……マキマキが悪そうな顔してるー」


 素材の回収を終えた桃花が、半目になりながら俺の顔を覗き込んできた。


「それで、モモ。ゴールドはどれくらい集まった?」

「8000ゴールドも集まっちゃったよ!」


 ぱっと表情を輝かせ、ポーチを振ってみせる桃花。中から重厚な金貨の触れ合うジャラリという金属音が響く。初期資金700ゴールドから考えれば大金だ。


「まあ、妥協ラインだ。街へ戻るか」

「次は何するの?」

「テイマーズアリーナにエントリーしよう」

「え! やる気になったの!?」

「ここを逃したら楽にぼろ儲けできなくなるからな」


 アハドンへ引き返し、中央広場に聳え立つ巨大なコロシアム──テイマーズアリーナの特設受付へと足を進めた。


「テイマーズアリーナへの登録ですね! こちらで種族とレベルの方を確認させていただきますね!」


 案内板の前に座る女性受付NPCが、大きな虫眼鏡のような鑑定用の魔導具を手に取り、笑顔で身を乗り出してきた。


(できるだけ弱く見せるぞ……そうだ)


 俺はわざとらしく身を縮こませると、おどおどとした動作で桃花の華奢な背中の後ろへ隠れてみせた。


「じっとしてなよマキマキ」

「いいからいいから」


 服の裾を引っ張り、怯える従魔の演技を完遂する。

 受付嬢は怯える俺の姿に呆れを含んだ苦笑を漏らしながら、鑑定用魔導具をかざした。


「はい、登録が完了しましたよ! こちらの番号からご確認できます」

「ありがとうございます!」

「よし、倍率を確認するぞ。あっちの方へ進んでくれ」


 桃花はうなずくと、俺の手を引っ張るようにしながら、壁一面に設置された巨大な人気順位・リアルタイムオッズの掲示板の前へと進んだ。


「1番人気のレッドドラゴンLv203は1.01倍だって~これじゃあ全く増えないよ」

「もっと下だよ。えーっと、ブラックエイプLv30はっと……」

「下がりすぎ! さっきあった!」

「どこだ?」

「いた! 193倍だって!」

「おお、なかなかいいじゃないか」


 最下位圏の枠にひっそりと刻まれた【ブラックエイプ Lv30:193倍】の数値。

 思わず口元がニヤりと歪む。危なかった。さっきキルポイントを使って下手に上位種族へ進化していたら、こんな美味い倍率はついていなかったはずだ。


「え? マキマキ自分に賭けるつもりなの?」

「193倍だぞ?」

「でもドラゴンとかに勝てるの?」

「レベル3桁程度のドラゴンに俺が遅れを取るとでも?」

「さすがに無理じゃないかなあ……」

「安心しろって。俺は旧作で初期武器・装備なし縛りでエルダードラゴンロード倒したことあるんだぞ」

「なんでそんなことしてるの?」

「趣味だよ」

「趣味かあ」


 呆れ果てたように吐息を漏らす桃花。


「とりあえず、試合開始まで時間あるし、今日はログアウトしようぜ」

「おっけー」


 メニューを展開し、ログアウトを実行する。視界が白い光に包まれ、浮遊感とともに現実の世界へと意識が引き戻された。


 ◇


 眼前に広がる天井。

 頭からゴーグルを外すと、窓の外は茜色の美しい夕焼けに染まっていた。


「じゃあそっちのゴーグルはマキマキが持っておいて」


 ベッドの脇で立ち上がり、服のシワを伸ばしながら桃花が微笑む。


「でもお前のだろ?」

「いいからいいから。明日は朝8時から試合だよ? 寝坊しないでね」

「わかってるって。お邪魔しましたー」


(……やっべ。鍵持ってくるの忘れた)


 今朝、鍵を持たずに窓から跳び降りて桃花の部屋へ向かったことを思い出した。当然、玄関はロックされている。


 こうなったら、あれをやるしかない。


 庭へ出ると、敷地を囲むブロック塀に手をかけ、腕の筋力を使ってひらりとよじ登る。そこから2階の屋根へと身を乗り出し、開けっ放しにしていた自分の部屋の窓を目指して這い進んだ。


 夕暮れ時の住宅街。人に見られたら空き巣と間違われて通報される。


 ふと隣家を見ると、2階の窓から身を乗り出した桃花が、お腹を抱えて大爆笑していた。


「マキマキガチおさるさんじゃん!」

「うきー!」


 俺は屋根の上に屈み込むと、胸をドスドスと叩いてブラックエイプっぽく威嚇してやった。

エタるわけではないですが、他を先に終わらせたいのでそれまでお休みさせてもらいます。


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