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ゲーム脳盗賊、闇を狩る。  作者: 土の味舐め五郎
第二章 ~アシバ皇国:白ムジナ盗賊団~
68/93

メインクエスト:小目標『墳墓を攻略せよ』2


   ◇


 古代ピキリーナ王族の眠る墳墓の内部は、神殿とは遙かに違っていた。

 狭く、暗く、ジメジメとして、土や植物の匂いに混じって不快な生臭さとカビ臭さが鼻を突く。


〈試練を受ける者よ。我らはお前達を歓迎しない。財宝を望むのならば、覚悟して来るがよい〉


 そんなメッセージを含んでいるような 不気味な空気が地を這ってやってくる。

 ここから先は、集中して行かなければな……。

 アルミナを先頭に、サーベイ、俺、そして左にチカ、最後尾にキリバという隊列で通路を進む。

 通路は、俺とチカが両手を広げて左右の壁を繋げるくらいの幅はあり、それほど窮屈ではない。ただ、奇襲を受けたら回避は難しそうだ。下層まではほとんど戦うことは無いらしいが、不安はある。


「そういえばサーベイ。最初で躓いたって言うのはどの辺だ?」


「ここから一つ下の階層だね」


「なんだ、この階層じゃないのか」


「まあね。あぁ、もっと正確に言った方がいいかな。三つ下の階層まで行くことは行った」


「どういうことだ?」


「そこまで行った時に、自分達の最初の選択が間違っていたことに気づいたんだ」


「何があったの!?」


 急にチカが割り込んできた。

 

「恐ろしい大蛇がいたのさ。外皮の硬い、瞬発力もあって、牙からは猛毒が出る。というか、単純に首や尻尾を振り回されるのが一番嫌だったね。掠っても重傷だよ」


「それで、最初の選択がどうのっていうのは?」


「掟にあったろう?手足のない生き物とは敵対するなって」


「ああ。つまり、上階層で蛇と敵対してしまったってことか」


「らしいんだよねぇ。もちろん俺たちは掟のことを覚えていたし、敵対しないよう対策して、遺跡の仕掛けを解除していったんだよ。特に変わったこともなかったし、失敗したとは思わなかった」


「でも、何かが間違っていたわけだ」


「そう。だからね。今度は、ちゃんとやりたいわけなのさ」


「……そうか」


「大丈夫だよ~!なんたって今度は私がいるんだから!例え蛇と戦うことになっても!ギャラクチカ様の極太魔砲で消し炭にしちゃむごぉごッ!むぉッ!?」


 チカの口を両手で塞ぐ。手袋越しにもごもごしている感触がくすぐったいが離さないようにして説教する。


「駄目に決まってるだろう!掟を破って酷い目に遭ったっていうのにまだ懲りないのか!蛇に魔砲禁止!つうか攻撃的行動一切駄目だ!いいな!」


「ンハッ!乙女の口を無理矢理塞ぐとは乱暴な!衛兵に突き出しちゃうぞ!」


「パワーでごり押しの魔砲使いよりは乱暴じゃないね。もし俺を衛兵に付きだそうとしたら、その杖も含めて装備やら衣服やら全部いただいちゃうけどそれでもいいかな?」


「な、なんと!?おのれ非道な盗賊め~!身ぐるみ剥いだついでに私の身体まで弄ぶつもりだな!エロ同人みたいにッ!」


「いや、そこまではしないかな……」


「なんでテンション下がってるの!?」


「おい。遊んでないんで早く行けよ。前と距離あいてんぞ」


 キリバが鬱陶しそうに眉根を寄せて言った。


「おっと、すまない。ほら行くぞ脳筋チカ」


「急にヒドイあだ名!?」

 

 チカとふざた会話をしつつも、さっきのサーベイの会話の中の言葉が気になっていた。


「牙から猛毒」「掠っても重傷」


 それはつまり、大蛇の攻撃によって毒を受けた者、重傷を負った者がいるということだ。

 

 毒あるいは重傷を負ったその人物がその後どうなったのか、聞こうとは思わなかった。


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